アメリカ大統領選挙はご存じの通り、
ヒラリー・クリントンを破って
ドナルド・トランプが勝利する結果となりました。
!!!!\(◎o◎)/まさかの大逆転\(◎o◎)/!!!!
今回の選挙について
私はトランプの反グローバリズムの主張には評価すべき点があるものの
いかんせん言動が乱暴すぎると考え、
クリントン推しを表明してきました。
たとえばイラク戦争で戦死した
フマユーン・カーンさんの遺族を批判したのもそのひとつ。
アメリカ・ファーストを謳うなら
これはやはり違うのではないでしょうか?
ついでにアメリカ国内の経済政策については
クリントンが富裕層への増税を打ち出したのにたいし、
トランプが打ち出したのは法人税(所得税もですが)の引き下げです。
ふつうに考えれば
クリントンが平等志向、トランプが自由志向ということに。
グローバリズムは新自由主義と相性がいいという定説にしたがえば
あれ?
という感じがしませんか?
そりゃクリントンだって、例のメール問題をはじめ
叩けばいろいろホコリが出る人だとは思いますよ。
とはいえファーストレディ、上院議員、国務長官と歴任してきた彼女については
少なくともどう出てくるか、それなりに見当がつく。
ひきかえトランプは政治経験がない。
本当のところ、どう出てくるかはフタを開けてみるまで分からないのです。
・・・そして何より。
どちらを推すかという点とは別に
アメリカにおける世論調査のデータを見ても
トランプが勝てるとは正直、思えませんでした。
マスコミはクリントンびいきだから報道が偏向していたんだ!!
というだけでは、この説明はつきません。
たとえば共和党系の政治ストラテジストであるジョン・ウィーバーは、
投票日前日、11月7日の段階でこう語っていたのです。
I believe she’s going to win in an electoral landslide
and be the most unpopular president in electoral history, which is quite the paradox(.)
クリントンが圧勝することになると思う。
ただしそのあと、彼女はアメリカ史上最も人気のない大統領になるだろう。
矛盾しているって? その通りだよ。
共和党系のストラテジストが、クリントンびいきの発言をすると思いますか?
それどころか、同じ政治系サイト「THE HILL」には、
開票が進んだ11月9日午前零時(現地時間)の段階で、
こんな記事まで。
トランプの側近たち、自分たちの予測の狂いに衝撃
なんでも11月8日の晩の段階における出口調査では
トランプはかなりの差をつけられてクリントンに負ける
という結果が出ていたというのです!!
トランプ陣営内部の調査ですら、
同様の結果が出ていたとか。
陣営内部で唯一、トランプ勝利を信じて疑わなかったといわれる
選対本部長ケリーアン・コンウェイまで、
11月8日の晩には
共和党の大物たちが十分支援してくれなかった
などと、
落選の言い訳じみたことを述べていたとか。
トランプ陣営が、クリントンびいきの予測をすると思いますか?
草の根のアメリカ人はトランプ支持だったが、
偏向した同国メディアはそれを無視しつづけたのだ
というだけでは、
今回の勝利、どうにも説明できないものがあるのです。
もし参考になるものがあるとすれば
それは1948年大統領選挙の結果でしょう。
このときは共和党候補がトマス・デューイ、
民主党候補がハリー・トルーマンでしたが
事前の予想は圧倒的にデューイ勝利でした。
もともとトルーマンは、
前回の1944年大統領選では
フランクリン・ルーズベルトの副大統領候補。
1945年にルーズベルトが急死したせいで
繰り上げで大統領になった人です。
要するにピンチヒッター。
そんなやつが勝てっこないという先入観もあったのでしょうが、
世論調査を見てもデューイ優位は揺るぎませんでした。
実際、調査の結果を根拠に
「デューイ、トルーマンに勝利す!」と大誤報をやらかした新聞まであったのです。
しかし実際にはトルーマンの勝利。
というわけで、じつは今年の大統領選挙でも
クリントン優位というが、1948年のような番狂わせがありうるのでは?
とする主張が出ていました。
メディアもこの主張を取り上げています。
たとえばハフィントンポストは10月21日の記事で
トランプがトルーマンのごとく逆転する可能性を分析しました。
けれども結論は、
たぶんそうはならないだろう
というもの。
理由は以下の通りです。
1)クリントンとトランプの(記事配信の時点における)支持率の差は
デューイとトルーマンの差よりも大きい。
2)1948年当時は、今ほど世論調査の数が多くなかった。
3)しかも10月下旬以後(つまり選挙の直前)になると、
デューイ勝利は揺るがないという結論に安住してしまい、調査そのものがなされなくなった。
ついでにハフィントンポスト、
ブレクジットのような番狂わせが起きるのでは?
という主張にたいしても、否定的な見解を示しています。
EU離脱をめぐる国民投票をめぐる世論調査では
もともと賛成と反対が拮抗しており、
今回の大統領選挙のような差がついていなかったというのがその理由。
で、こんな結論を出しました。
かりにトランプ勝利が起きたら、
世論調査は史上空前の大コケをやらかしたことになる。
「デューイ、トルーマンに勝利す!」もそこまでの空振りではなかった。
・・・とはいえ、
その大コケが起きちゃったんですよね。
つまり今回の選挙結果は
少なくとも1948年いらいの巨大な番狂わせということに。
しかるに1948年大統領選挙といえば
日本占領の方針が転換される節目でもありました。
権力基盤を強めたトルーマンが
共和党系の マッカーサーが仕切るGHQから実権を取り上げ、
わが国を東アジアにおける社会主義勢力への防波堤とすべく
じきじきに動き出したからです。
そしてドナルド・トランプは、
事と次第によっては、在日米軍の撤退までありうるとほのめかしている人物。
この符合、なかなか象徴的ではないでしょうか?
こう言っちゃ何ですが、
TPPの承認なんて、実質的に吹っ飛んじゃいましたからね。
これで今日、衆院の採決をしようとするなど
この世は全て宇宙のジョーク!(Ⓒアレイスター・クロウリー)という感じです。
現にわが国政府は、
開票が進んでゆくにつれて、衝撃を隠せなくなった模様。
国家安全保障局の幹部など、こう語ったそうです。
トランプ氏は何を考えているかわからないし
何も考えていないのではないか。
安全保障の問題は最初から話すしかない。
こんな態度で、果たして大丈夫なのでしょうか?!
好むと好まざるとにかかわらず、
戦後はいよいよ終わるかも知れませんよ・・・
ではでは♬(^_^)♬
(↓)今のうちに、ご覧になったほうがいいかと思います。
18 comments
マゼラン星人二代目 says:
11月 10, 2016
>TPPの承認なんて、実質的に吹っ飛んじゃいましたからね。
それはどうでしょうか。
食言は政治家の得意技。
われらの稲田朋美防衛大臣がそのいい例です。
参照: https://kenjisato1966.com/%EF%BD%94%EF%BD%90%EF%BD%90%E3%82%92%E3%82%81%E3%81%90%E3%82%8B%E7%A8%B2%E7%94%B0%E6%9C%8B%E7%BE%8E%E8%AD%B0%E5%93%A1%E3%81%AE%E8%A6%8B%E8%AD%98/
マゼラン星人二代目 says:
11月 10, 2016
>クリントンが平等志向、トランプが自由志向ということに。
>グローバリズムは新自由主義と相性がいいという定説にしたがえば
>あれ?
>という感じがしませんか?
コアにあるのは「強きを助け弱きを挫く」というマッチョイズムの「気分」のみであって、富裕層優遇も排外主義も(政策というよりは)「気分」の引きたて役でしかない。だから少しくらい矛盾しててもどうでもよかった。そう考えれば充分説明がつく。
マゼラン星人二代目 says:
11月 10, 2016
>「強きを助け弱きを挫く」
「アメリカファースト」なのにどうして戦死者遺族批判なのか、もこれできれいに説明できる。
日本でも何かにつけて「不幸を売りものにすんな」とか「タブーブタ」とか湧いてくる。これと一緒。
薩摩ンド・バーグ says:
11月 10, 2016
私はトランプの発言内容の方が理解し易かったので、米国民であったのであればトランプ派だったのでしょうが、、、。
> 国家安全保障局の幹部など、こう語ったそうです。
> トランプ氏は何を考えているかわからないし
> 何も考えていないのではないか。
> 安全保障の問題は最初から話すしかない。
レーガン大統領のときはどうだったのでしょうね。
国家安全保障のコアな機密内容も含めて新大統領の頭を上書きする作業は必須でしょうから、国家安全保障局の人の発言には「それがお前さん達の仕事だろ?」と思いますね。
それでもトランプが、段階的にアジアから米軍を撤退させる、と言うなら消極的にではありますが賛成します。尖閣に支那公船がやってきたと言っては、米軍が動いてくれるだろうか、助けてくれるんだろうか、みたいな情けない意見を聴くのは好きではありませんので、トランプに上手に相乗りして憲法改正・富国強兵に勤しむターンかな、との思いを強くしました。
TPPは支那共産党政府が存続する限り、準備は進めておいて、隙を見て米国を引きずり込むべきだと私は考えます。米国の最重要交易先は支那ではなくTPP諸国なのだ、と財界人のトランプならすぐ理解できるはずですので。もちろん、それまでに支那が消滅するならTPPなど不要でしょうね。
mashimaro says:
11月 10, 2016
TPPは安全保障対策ではありません。
そこを見誤ると賛成の結論になるのでしょうが、あれはグローバル企業との問題であって、
寧ろ、安全保障の弱体化です。じゃなきゃ、米国が反対するわけが無い。
どうにも日本人は甘く考えているようで。
企業活動への国の縛りを、介入を無くしていくという過程のものです。
安全保障対策にはなりません。
薩摩ンド・バーグ says:
11月 13, 2016
コメント頂き感謝いたします。
TPPは安全保障ではないとお考えなのですね。危険な香りを感じていらっしゃるのだと思います。たしかに何か得体のしれない不気味さはありますよね。
それでもTPPを推進すべきだ、と私が考えるのは、ベースに対支那戦略においての米国への不信感があります。米国議会、ウォール街、銀行、もちろん米国政府も軍も産もそうなのでしょうが、親支那勢力と反支那勢力がいて、米国の方針が定まらない。クリントンみたいな親支那勢力が頑張っているからだと私は受け止めています。
安全保障は結局のところ経済活動をやり易くする為の取り組みですので、米国の一番大きな交易先が支那であれば対支那強硬策はなかなか難しい話になると考えています。「最重要な交易先」は親支那勢力のパワーの源泉ですね。
ですので、危険は承知で、米国における親支那勢力を抑え込むために、TPP諸国を交易先筆頭に据える必要がある、TPPには支那を交易先筆頭から引きずり下す意味がある、と私は考えています。三橋さんがさんざん述べられているように、日本の対支那交易量はGDP比では大したことはない、の米国版でしょうか。
直面する対支那戦略だけに注目し過ぎている面は否定しませんが、支那を叩くために米国を参戦させなければならず、そのためにTPPは必要、すなわち日本の安全保障対策になり得る、私はそのように受け止めているところです。
せい says:
11月 10, 2016
伊藤貫さんによれば、いまだに日本の復讐を恐れて、中国が駄目でも日本だけは永遠に封じ込めておこう、というのがアメリカの支配層の本音だそうで、、、それが共和党だろうと民主党だろうと反日のこの点は変わらないとの事。トランプの主張は本当に歴史の転換点になりうるなのだなあと思いました。
tamaleah says:
11月 10, 2016
トランプである必要はない。けれどもヒラリーではだめ。
底意地の悪い政治家より、お人よしがいい。
改めて考えるとトランプ大統領はオバマ大統領の路線上にありますね。
低所得者層にも「声」があるのだと、そういう気持ちが続けて選ばせたのだと見た方が自然な気がする。
1%の富裕層でない、その他99%の象徴として。
この象徴に持たされた意味は、日本の天皇の持つ「象徴」と良く似たものかも知れんですね。
泥臭くも清廉な、矛盾する気持ちを受け入れてくれる存在として。
言いすぎでしょうが、我々は大統領という肩書きの天皇の誕生を目にしたのかも。
Guy Fawkes says:
11月 10, 2016
https://m.youtube.com/watch?v=YXE3Ku-mGrk
Trump in Home Alone 2
そういえば、ホームアローン2にもカメオ出演していたのですね。
道理でクリスマス近くの映画でデジャブを感じると思いました。
この頃はカルキン君とミスタートランプ、共にダークサイドに取り込まれる前でしたね(苦笑)
シンプソンズの予言もありますが、場所がプラザホテルというのも何とも意味深な暗喩…
GUY FAWKES says:
11月 11, 2016
さて、トランプ氏の当確が済んだところで身近にある傍迷惑なグローバリズムの好例をご紹介します。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161110-00000000-jct-soci
新・洗濯表示は「まるで暗号」 「12月から国際マークに」で大混乱?
自称保守と自称リベラルに共通する「日本を国際標準に!」で一番割りを食う羽目になるのは
郷土愛を重んずる人々な訳ですな、いと哀しき。
夜更かし says:
11月 10, 2016
カーン父は憲法よりイスラム法が優先すると考えています。
http://www.breitbart.com/national-security/2016/08/02/khizr-khan-constitution-sharia/
保守派が本音としてこの親子を「アメリカ」の一部であると考える方が奇妙です。
そもそも一般のアメリカ人はイスラムというだけで内心警戒します。軍人への敬意なんて綺麗事です。
税制についてもトランプは富裕層増税や中間層減税を訴えています。
法人税減税と消費増税がセットだった財政均衡主義の日本とは訳が違います。
イトキン says:
11月 10, 2016
仮に棚ぼた的に戦後が終わったとしても、今後も姿形にちょっと手を加えただけの「戦後〝改〟」が出来上がるだけなのではないかと思えてならない
玉田泰 says:
11月 11, 2016
先ず、自分で勝手に決めた約束事を、今回撤回します。
一つは、先生の著作の感想を書かない。もう一つは、遅れてコメントを書き込む、です。
先生の言葉に従って「戦後脱却で、日本は『右傾化』して属国化する」をナナメ読みで読み返しました。特に終章はとてもナナメ読みで済ませられるものでは有りませんでした。余りにも示唆的な内容で、まるでトランプ大統領の出現を念頭に置いて書かれたかのようでした。日本(人)自らが覚悟出来るかに関わらず、米国側から日本人よ目を覚ませと突き付けたかの如くです。
「多少のことがあっても、とにかくアメリカについていけば大丈夫とする主張が説得力を失う日はあんがい近いかも知れない(307ページ)」まるで予言のように的中しましたね。
そして「あの戦争を本当には反省しないためにこそ、対米従属の姿勢を取りつづけてきた(325ページ)」日本はこの機会に改めて戦後を捉え直す絶好のチャンスなのかも知れません。トランプは「自国の存立と繁栄はみずから守るしかない(326ページ)」ことを日本に突きつけただけなのかも。
結局「現実を直視することで、キッチュや思考停止を克服する以外にない(327ページ)」のです。
トランプが大統領になってどのような政策を打ち出してくるのか分かりませんが、今回の選挙結果を、日本(人)は自らの戦後史観を問い直す良い機会にすべきと肯定的に捉えることも可能なのでは、と考えます。
Daniel says:
11月 11, 2016
今回は、「隠れトランプ支持」が、平素踏み絵を踏まされていた(世論調査等に反応しない)ものの、投票という信仰告白によって、その隠された支持を顕わにしたということかもしれません。
それにしても凄い。これが民主主義というものだろうと、思想・内心の自由というものだろうと、英米両国民の真骨頂だろうと感嘆しました。切迫的強迫から自由となって、繁栄と指導的地位を謳歌した経験のある両国民の志操の強さであろうと、大変に羨ましいと思いました。
またそれはそれだけ、両国民の庶民、中間層が、痛い思いをし、かくも不満と怒りを抱え込むまで追い込まれていたことを示す証左でもありましょう。
トランプが良き大統領として、振る舞えるか、例えば二期目も盤石な支持で以て再選されうるかは、次の問題です。
いずれにしてもその次は民主党の大統領でしょうから、その際は、バーニー・サンダースのような候補者が当選して、トランプの次の大統領に就任することを望みます。
ゲレゲレぷっくる says:
11月 11, 2016
今回トランプ氏の選挙のスローガンが偉大なアメリカへの復活、甦りが特に目につきましたが、どう復活するのか具体的に米国民に伝わっているのか、理解されているのかは正直疑問です。先月29日の佐藤さんのブログのように偉大なアメリカを国民が各々の期待像を抱いて、いざ蓋を開けるとてんで違ってはいるけれどきっとトランプ大統領の本心は別で、周囲の既存体制の政府要人たちが悪いんだという、日本と同じ状況になる可能性も考えられますし、日本よりエネルギッシュらしいせいで激しい反動が起こるかもしれません。日本国内ですらトランプ氏に各々の期待像を抱いている傾向が見受けられ、日本の独立は程遠いと痛感しております。日本自体、土台がしっかりしていればトランプだろうとヒラリーだろうとここまで期待したりオロオロする必要ないはずですよね?第二次安倍政権も復活っぽい類な臭いを醸し出していたのがとても懐かしいです。
Daniel says:
11月 13, 2016
相変らずトランプの話で恐縮です。
しかし一応、何と言っても、TPPを葬ってくれた功績は大きい。
ここは陛下に、勲章をトランプに授けていただくのはどうでしょう。
そして彼が良い政策を打って世界が好転する度に、また一つづつ渡すのです。
彼の政策は支離滅裂に思えるのですが、これで誘因を促す(笑)
より良い方法に行くかも。
今のところ敵は周章狼狽、茫然自失。
とはいえ、やがてもっと邪悪な対策を打ってくることは目に見えています。
ここは矢継ぎ早に、追撃せねば。
真珠湾でアリゾナが燃えているからと言って、工廠も燃料タンクも、空母も無事だ。
攻撃は、反復する必要があります。こちらも死に物狂いでないと、手痛い反撃を食らいます。
有効打?は、何でも出さねば。
こちらには、錦の御旗が必要であります。
しかし、勲章の理由、は、どうしたらよろしいですかねぇ。
SATOKENJI says:
11月 13, 2016
「毒をもって毒を制した功績により」
Daniel says:
11月 13, 2016
さすが先生!振るってますね(笑笑)