ここ数日、
16冊目の本
(来年初めに出る単著のほう)の仕上げ作業に没頭しています。
タイトルを書かないのは
単にまだ正式決定していないためであり
それ以上の理由はありません。
むろん仮タイトルはついていますが
それを公表した後で
最終的に別のタイトルになったりすると
混乱を招きかねませんので。
17冊目の本
(来年春に出る藤井聡さんとの共著)については
前にも書いたとおり
目下、藤井さんが担当パートを書き上げるのを待っている状態。
刊行が待ち遠しいと思って下さるみなさまは
藤井さんにたいして
早く書くよう
お励ましのプレッシャーをかけてあげて下さい\(^O^)/
ちなみに18冊目以後についても
そろそろ準備を始めています。
それはともかく。
12月24日ということで
クリスマスがらみの話題をひとつ。
1978年、
「ブルークリスマス」というSF映画(東宝)が公開されました。
脚本は倉本聰さんのオリジナル、
監督は岡本喜八さん。
この年は
「未知との遭遇」
「スター・ウォーズ」
「さらば宇宙戦艦ヤマト」など
SF映画が次々に公開されてブームになっていましたので
その流れに乗ったものでしょう。
映画の出来は、後に述べるとおり
控えめに言ってもイマイチでありましたが
佐藤勝さんが担当された音楽には
じつに素晴らしいものがありました。
ところが「ブルークリスマス」の音楽は
なかなかサントラ化されなかったのですよ。
公開当時、
17センチのシングル盤なのに33回転という
変わったフォーマットのサントラ盤(むろんレコードです)が出たあとは
「映画音楽 佐藤勝作品集」の第4巻(こちらはCD)に
9分間ほどの抜粋が収録されたのみ。
東宝特撮系の某CDボックスセットには
完全版が収録されていたそうですが
単体として手に入るのは上記二つしかなかったはず。
ところが12月21日、
公開から38年にして
完全版サントラCDが発売されたのですよ!!
いや、めでたいめでたい。
さっそく購入して聴いているところ。
さる9月には
デイヴィッド・ボウイ主演の傑作SF映画
「地球に落ちて来た男」(1976年)のサントラが
公開40年にして2枚組で初リリース(※)されましたが
世の中、良いことも起きるものです。
(※)こちらはCDはおろか、レコードでも全く発売されたことがありませんでした。
ただし「地球に落ちて来た男」と違って
「ブルークリスマス」は
映画としてはかなり困った出来ばえ。
「シン・ゴジラ」の庵野秀明監督は
本作の大ファンなのだそうですが、
いかんせん、シナリオに穴が開きまくっているのです。
近未来、世界各地にUFOが出現。
しかもUFOを目撃した人々の間に
血が青くなる怪現象が続発。
どうもこれは
人類がより高度な段階に進化するためのステップか何からしいものの
赤い血の人間が淘汰されるのではないかと憂慮した各国政府は
青い血の人々を強制的に隔離、
さらにはクリスマスの日、全世界で虐殺するにいたる・・・
とまあ、そんな話なのですが
私の記憶するかぎり
青い血の人間は、赤い血の人間に比べて
どこがどう高度なのか
具体的な説明が何もない!
血が青かったら何なのさ?!
先に紹介した記事でも
血が青くなった者たちは実際のところ、
それまでの攻撃的性格が収まり、
むしろ穏やかに丸くなっていった者がほとんど
としか書いてありません。
!!!!\(◎o◎)/それだけかい!\(◎o◎)/!!!!
しかも。
倉本先生、
青い血の人間は、外見上赤い血の人間と区別がつかない
とおっしゃるのですよ。
そうです。
この映画に登場する国家権力は
目を真っ青に充血させている人間がいても
その人の血の色が分からないのです。
ヾ(℃゜)々\(◎o◎)/マヌケな権力だなあ・・・\(◎o◎)/(゜;)エエッ
こう言っちゃ何ですが
血の色が赤いか青いかなんて
口を開けさせりゃ一発で分かるでしょうに。
青い血の人間の舌が赤いと思いますか?
舌には血液が集まっているんですからね。
とはいえ。
この映画で私が愛してやまない最大のナンセンスはこちら。
「ブルークリスマス」は後半、
モロに「ロミオとジュリエット」になります。
ロミオにあたるのが
自衛隊の特殊部隊員・沖退介(赤い血の人間)。
ジュリエットにあたるのが
美容室の店員・西田冴子(青い血の人間)。
それはいいんですが・・・
西田冴子さん、
沖と初めて一晩過ごし、
処女を失うまで
自分の血が青いと知らなかったことになっている!!!!
ヾ(℃゜)々\(^O^)/倉本聰さんは生理が何か知らないらしい\(^O^)/(゜◇゜)ガーン
いや、まあ、
佐藤勝さんの音楽だけはいいんですよ(ホント)。
あ、ただし。
青い血の人間というのは
もしかしたら憲法九条信者の比喩なのかも知れません。
それまでの攻撃的性格が収まり、
むしろ穏やかに丸くなっていった者がほとんど
なんですから。
「ブルークリスマス」がつくられた1978年と言えば
日本社会の保守化・右傾化が
最初に話題になった時期。
倉本聰さん、
このままでは戦後の絶対平和主義が滅びる!
という危機感(←彼にとっての)を
SF的寓話として表現したかった可能性はあるでしょう。
だとしても、ここまでシナリオが穴だらけであることの言い訳にはならないなあ・・・
ではみなさま、メリークリスマス♬
12 comments
玉田泰 says:
12月 24, 2016
血が青いとは、真っ赤なお鼻のトナカイさんも真っ青なお話ですね。
それにしても「全世界で虐殺にいたる」とは穏やかではありませんね。17冊目の本の「苛立ちをつのらせた社会に生じるヒステリー現象」とも通ずるのかな?とは、うがった意見でしょうか?
先生の16冊目の本も凄く楽しみです。先生の本が出版されるんを待つのは初めてなので。
それでは、メリークリスマス!
ただこれが書きたかっただけです(苦笑)
GUY FAWKES says:
12月 24, 2016
それホラあれですよ、『ブルークリスマス』を理解できない人は「べ強」が足りないのですよ(震え声)
「人間じゃねぇ、叩っ斬ってやる!」ならぬ「てめえらの血はなに色だーっ!!」…と。
>西田冴子さん、沖と初めて一晩過ごし、処女を失うまで自分の血が青いと知らなかったことになっている!!!!
>ヾ(℃゜)々\(^O^)/倉本聰さんは生理が何か知らないらしい\(^O^)/(゜◇゜)ガーン
なお、クリスマスは聖夜と形容されますがモテない人々の間では「性夜」と揶揄されるらしいです。
「生理が何か知らない」…政治的エロスとしては中々可愛らしいですね、二次性徴前なのでしょうか?
きっと戦後の絶対平和主義はコウノトリさんが運んでくださるのですから心配いりませんな。
GUY FAWKES says:
12月 26, 2016
そういえばクリスマスは過ぎてしまいましたが、
ご存知かもしれませんが20世紀フォックスからのプレデター…ではなくプレゼントがあった様です。
https://m.youtube.com/watch?v=H0VW6sg50Pk
リドリー・スコット監督最新作、『エイリアン:コヴナント』
今年の表現者では当該シリーズへの批評もありましたし、『ブレードランナー』最新作も相まって楽しみですね。
半ライス大盛 says:
12月 26, 2016
むむ・・・倉本聡のファンの私でもこの作品知りませんでした!さっそくチェックしてみたいと
思います!
やはり、SFはセンスが大事。あまり関心が無い方がSF映画に参画した所で、SFファンには
物足らないでしょうね。(深作欣二監督の宇宙からのメッセージは、例外的に比較的海外で好意的に
受け入れられたとか・・・)
青い血で思い出すのが宇宙戦艦ヤマトのデスラー総統ですね。たしか血の色も緑色っぽかったような・・・
最初は肌色だったのに、下請けのセル塗りが間違えて青に塗ってしまったため、その後青色になったとか。
いやー日本の特撮映画って本当に奥が深いっすね!
SATOKENJI says:
12月 26, 2016
デスラー総統をはじめとするガミラス人の肌の色については
ヤマトが予想外に強いのに驚愕して青ざめたのだ
という説があります。
映画版では最初から青くなっていましたね。
tinman says:
12月 26, 2016
舌が真っ青になるたべものといえばブルーハワイ。
ハワイはアメリカの一州。
これは宇宙人が地球をハワイにするという意思表示だったんだよ!!
※ブルークリスマスを見たことはありません。
tinman says:
12月 27, 2016
キバヤシ「舌が真っ青になるたべものといえばブルーハワイ。ハワイはアメリカの一州。
これは宇宙人が地球をハワイにするというメッセージだったんだよ!!」
「「「な、なんだってー!!」」」
※私はブルークリスマスを見ずにふざけているだけですのでご了承ください。
SATOKENJI says:
12月 27, 2016
(↑)面白いので二つのバージョンをともに掲載します。
tinman says:
12月 27, 2016
ワオ!ありがとうございます。
blue bloodは貴族・名門、その血統を意味するそうですが、
監督は一体何を考えていたのでしょうか。
知っててやってるならルサンチマンを感じますが。
生理の血が青いというのもブルーレットやオムツのCMめいた話で、
もうどこからツッコめばよいのやら・・・w(失礼)
ところで、ゲームでは規制・自主規制で血の色が変わることがあります。
裏を返せば赤い血を流さないものならなんとなくぶっ殺していいということで、庵野監督はそういうゲーム的表現が気に入ったのかもしれません。
しょせん見ていないものの想像ですが、時代を先取りしすぎているように思えて、興味がわいてきました。
SATOKENJI says:
12月 27, 2016
ひょっとして、
社会の大衆化が進行する中、貴族的な人々が抹消されることの寓話
を意図したとか(いや、さすがにそれはないか)。
tinman says:
12月 27, 2016
その貴族は何色だーっ!と言いたくなりますね(笑)
赤い貴族が青い血を流す、としたら共産主義の幻想と崩壊を暗示しているのかも・・・
歌舞伎の隈取なら赤が善玉、青が悪玉とわかりやすいのですが。
メイ says:
12月 29, 2016
血の色が赤くても青くても何であっても、貴族は貴族、大切な人は大切、好きな人は好き、だと思うんです・・。