「FRONT JAPAN 桜」、

いかがでしたか。

 

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ちなみに昨日は

「闘論! 倒論! 討論! 追悼 西部邁と日本」

の収録も行われましたので、

ずっと桜にいました。

 

「追悼 西部邁と日本」、

例によって例のごとく

本質的なテーマが提起されるなり

突如として無関心になったり、全力で話をそらしたがったりする方

パネリストの中に数名おられましたが、

誰がそのような精神的脆弱さ、

あるいは認知的不協和を露呈するかこそ

桜の討論の重要な見どころであることは

1月6日の記事

「新春キャスター討論を100倍楽しむ方法、または年貢を納めねばならない者は何に腹を立てるか」

および同7日の記事

「保守派もあまり多くの現実に耐えることはできない、または認知的不協和の楽しみ方」

において書いた通り。

 

ついでに精神的脆弱さ、

あるいは認知的不協和こそ、

西部先生が最も嫌ったものであることは言うまでもありません。

 

さあ、先生に軽蔑されるであろう者は誰だ?

 

それはともかく。

平昌冬季オリンピックが、昨日開幕しました。

 

私は開会式を途中からしか観ていないのですが、

報道によれば冒頭には

巨大な鐘がスタジアムに登場したとのこと。

 

この鐘、

「平和の鐘」と呼ばれている模様。

さらに鳩の形をした照明が夜空を照らすとか、

ジョン・レノンの名曲「イマジン」(※)が歌われるなど、

開会式全体が「平和」をモチーフに演出されました。

 

(※)歌詞に世界市民主義的なセンチメンタリズムが漂っていることをもって、

この曲を批判するのは思考の硬直と評さねばなりません。

歌の後半ではレノン自身、このビジョンが夢にすぎないと認めるからです。

ゴスペル曲の多くと同様、現実にはあり得ない理想を歌い上げることがポイントなのですよ。

 

早い話、

第二次朝鮮戦争は起こらないだろう

と言いたいわけですな。

 

しかるにここで思い出されるのが

20世紀前半のフランスの偉大な劇作家、

ジャン・ジロドゥが1935年に発表した戯曲

「トロイ戦争は起こらない」。

 

日本では長らく、

「トロイ戦争は起こらないだろう」という題で

劇団四季が上演してきました。

また「トロイ戦争は起こらない」として、

新国立劇場で上演されたこともあります。

 

トロイ戦争はギリシャ神話に登場する出来事ですが

1935年と言えば、

ヒトラーの台頭により、ヨーロッパに不穏な空気が漂いはじめた時期。

ついでにジロドゥは外交官でもありました。

 

つまり同作品のトロイ戦争とは

第二次大戦の比喩なのです。

 

そして重要なのは

「起こらない(だろう)」と題されているにもかかわらず

トロイ戦争は起きたこと。

戯曲のタイトルは反語なのです。

 

実際、ジロドゥはこの時期、

次のように語っていたとか。

 

戦争とは試験のようなものだ。

準備しておかなければ落第する。

次の試験に、われわれは合格しないだろう。

 

第二次大戦中、フランスはドイツに占領されますので

まさにそうなったことになります。

 

そして。

 

「トロイ戦争は起こらない」の第二幕には

こんな台詞があるのですよ。

 

戦争の前日、

紛争国の指導者が、

とあるのどかな村の、

湖畔のテラスか庭の片隅でふたりだけで会談する。

よくある話さ。

 

戦争はこの世で最も忌むべき禍いだということで、

意見が一致する。

 

ふたりはたがいに相手の気持ちを察し、

じっと見つめあう。

日光に体はほてり、

葡萄酒にほろりとなって、

相手の顔に憎しみを正当化するどんなしるしも見いだせない。

人間的な親しみを呼び覚ますしるししか目に映らない。

 

ふたりとも平和にひたり、

平和を望む気持ちでいっぱいだ。

そして、かたく握手をかわし、

兄弟のような気持ちで別れる。

 

その翌日、しかし戦争は起こるのだ。

 

二つの国民は会談から離れたところにいて、黙っている。

避けられぬものに勝つことを期待しているわけじゃない。

全権を与えたから、ふたりだけにしているのだ。

 

テラスから破局を眺める、これが指導者の特権なのさ。

(諏訪正訳)

 

今回の開会式にあたり

北朝鮮からは金永南・最高人民会議常任委員長

金正恩の妹である

金与正・朝鮮労働党中央委員会第一副部長が韓国を訪問、

文在寅大統領と会談しています。

 

会談の前、文大統領は二人と笑顔で握手したとのこと。

関連記事はこちら。

 

この会談、

画期的などと言われていますが・・・

 

避けられぬものに勝つことを期待できるでしょうか?

 

第二次朝鮮戦争は起こらないでしょう。

ジロドゥが言ったような意味において。

 

しかしその翌日、戦争は起きるのです。

起こらないからこそ起きるのです。

 

北朝鮮の「微笑攻勢」なるものを警戒する主張もありますが

そう考えれば、これは的外れ。

攻勢も何も、

破局の直前、微笑とともにテラスで握手を交わすことこそ、

指導者の特権であり、責務なのです。

 

同一民族として

兄弟のような気持ちで別れようと

何が変わるわけでもないのですよ。

 

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ではでは♬(^_^)♬