4月1日にふさわしい話題と言えば
やはりこれでしょう。
韓国言論振興財団がこの3月、
面白い調査を行いました。
本年2月から3月にかけて
同国のネットなどで国民に広まった
社会・国際分野のニュースから、
本物のニュース2件と
偽ニュース4件を混ぜ合わせて、
真偽を判断してもらったのです。
テストに使われたニュースは以下の通り。
1)トランプ米大統領は議会演説で金正恩氏について
「完全に狂っている」とし、「先制攻撃が必要だ」と述べた。
2)警察庁長が親朴槿恵団体の集会が過熱していることについて、
「朴槿恵を愛する会」の会長らの司法的責任を問うと表明した。
3)韓国国内の外国人が200万人を超え、
昨年の外国人による犯罪件数が初めて4万件に迫った。
4)中国から飛来する渡り鳥が、ヒトに感染する鳥インフルエンザ・ウイルスを
もたらす可能性があると分析された。
5)江南駅殺人事件以降、女性が男性を罵り、石を投げるという
男性嫌悪犯罪が相次いで発生している。
6)THAAD配備を受け、中国が全てのポータルサイト内の音楽ページで
韓国音楽のチャートを削除し、更新を中断した。
(表記を一部変更)
このうち2つが本当で、4つがウソです。
みなさん、見分けられますか?
ちなみにテスト結果は以下の通り。
6件の真偽を全て正しく回答した人はわずか1.8%にすぎず、
半分の3件を正解できた人も38%にすぎなかった。
韓国言論財団のオ・セウク上級研究委員は
この結果について、次のようにコメント。
提示された偽ニュース4件は、
実際にインターネットで広まったものだ。
普段ニュースをあまり見ない人がこうした巧妙に操作されたニュースを見ると、
どうしても信じてしまう。
事実、テスト参加者のうち83.6%は
偽ニュースのせいで韓国社会の分裂が深刻化している
という旨を回答。
76.0%は
偽ニュースのせいで本物のニュースも偽物ではないかと思う
と回答したそうです。
高麗大学メディア学部のキム・ソンチョル教授は、
次のようにコメント。
ニュースの消費者も百貨店で商品を選ぶように、
自分が見ている記事(が)信用できるものかどうか
判断しなければならない時代になった。
偽ニュースがあふれるほど、メディアの信頼性が重要な価値になる。
しかしこれは、言うは易く行うは難し。
日々のニュースについて
いちいち裏を取ることなど
現実的には無理です。
はたせるかな、昨今の政治家や言論人には
この点を悪用する傾向が見られる。
テキトーな言動をさんざんやっておいて
ツッコミが入ると
「そんなことは一度も言っていない。
言ったと主張するなら、その証拠を見せろ!」
とか
「そんなことは絶対やっていない。
だが、やっていないことを証明してみせろというのは『悪魔の証明』だ!」
と居直るわけです。
トランプ大統領など
自分に都合の悪いニュースは
何であれ偽ニュース扱いしかねない勢いですからね。
ついでにメディアの信頼性が重要というのは
むろんその通りではあるのですが
ここで考慮されるべき点がある。
すなわち、
偽ニュースさえ報道しなければ、メディアは信頼できるのか? という点です。
メディアの信頼性は
1)どのようなニュースを取り上げるかという選択基準
および
2)それらのニュースをどのように取り上げるかという報道姿勢
と切り離せない。
それぞれのニュース自体は事実かも知れませんよ。
けれども上記の二点についていい加減であれば
メディアの報道にいかに接したところで
現実を理解する役には立たない。
そして残念ながら、わが国においても
保守か、左翼・リベラルかを問わず
メディアの信頼性は大きく損なわれているのではないでしょうか。
早い話が、右も左も
「敵への心理的依存と思考停止に関する平松テーゼ」Ⓒにどっぷりハマり、
互いに相手の悪口を書き立てては
自分たちの側だけが公正な報道を行っている!
と、ドヤ顔している印象が強いのです。
だ・か・ら
『右の売国、左の亡国』と言うのですよ!
ならば、どうすればいいのか。
これについては、また改めて論じたいのですが
とりあえずは
いかなるニュースも、どこかフィクションであると見なす
ところから始めたいと思います。
ニュースを見たらウソ、ないし少なくとも偏向と思え!
ではでは♬(^_^)♬
(※)なお韓国言論振興財団が行ったテストの正解は、
「2と3が本当のニュースで、残りはウソ」でした。
5 comments
Daniel says:
4月 1, 2017
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>ならば、どうすればいいのか。
>これについては、また改めて論じたい
とっても期待しています!!
それにしても、韓国言論振興財団が行ったテスト結果が凄かったですね。
完全にアットランダムに答えたとしても、正答率は1/64≒1.56%ですから、母数が1,084人なので一応信頼できるデータとして、1.8%という結果はなかなかに示唆的です。鉛筆投げて答えても、結果があんまり変りません。
三つ正答できた人が38%(アットランダムでは1/8≒12.5%)なので、こちらはアットランダムよりほぼ三倍の正答率にはなっていますけど。
ちなみに私は、真偽いずれも、全然分りませんでした(笑)
Mashimaro says:
4月 1, 2017
悪魔の証明、現首相のイラク戦争に関連した答弁と昨今の望学園関連の答弁での矛盾ですね。
イラク戦争ではイラクが大量破壊兵器の不保持を証明する必要があり、できなかったイラクが悪いと言っておきながら、今は学園との寄付をしたしてないという問答の中で、無いと証明することはできない、悪魔の証明だと。
恐らく自分が何を言ってるのか分かってないんだと思いますよ。
前にもどこかで書きましたが、昨今の言論空間では自分が何を言ったのか主張し支持しているのか分かっていない連中が多い気がしますね。信念のみで言論空間に居座ってるような。
そんな連中が、自分たちだけが公正な報道をしている、と胸を張っても説得力なんざありませんよ。
そういえば、某チャンネルも、都知事選では小池氏を応援したりと、全く何がしたいのかさっぱりです。
フルート says:
4月 1, 2017
高麗大メディア学部キム・ソンチョル教授「ニュースの消費者も百貨店で商品を選ぶように、自分が見ている記事(が)信用できるものかどうか判断しなければならない時代になった。偽ニュースがあふれるほど、メディアの信頼性が重要な価値になる」
この記事を書いた朝鮮日報の記者による“「一部のスマートフォンのアプリを使」って作成される「記事形態」をした偽ニュース”の話や、この記者によって記事の結論部に持ってこられている高麗大メディア学部キム・ソンチョル教授の“「時代」”という言い方などに、私は少なくともこの2人には、「韓国社会の分裂」(などの現象)の原因を“社会への弊害もまた同時に生じさせるとされている技術革新”に帰属させたがっている所が結構ある様にも読めました(実際には記者に取材?された側がもっと別の事も話していた可能性もあります。また記者は「偽ニュースはTHAAD論争をめぐり、韓国の反中感情を刺激しようと広められたとみられる。」と書いていたりと政治的な意図の存在の事も意識している様ですけど)。
記者が結論部に選択したキム・ソンチョル教授による「百貨店で商品を選ぶように」の所についてなのですが、最初私が読んだ時に思ったのは、韓国の百貨店には偽物が並ぶ事も割とあるのかな・・という事だったのですが、そもそもある商品をそこで買うか(選択するか)どうかには、その商品・その商品を買おうとしているその場所・買おうとしているその時etc.に対してその人が主観的に感じた例えば特別感だったり満足感・安心感・そして何より納得感が影響している筈ですし、(ニュースとかの)情報についての脳の処理も同じで、人は自分が納得し易い形に(無意識の領域で選択的に)情報を取り入れたり解釈したり忘れたりしている事を考えたら、結局人が最も優先させて(しまって)いるものは信頼ではなくて主観的な納得なのかも・・という事を思いました。
半ライス大盛 says:
4月 4, 2017
私のお気に入り、米国のスタンドアップコメディアンで『ジョージ・カーリン』と言う人物がいます。
彼は、子供の教育に読書が必要だと政府は訴えるが、俺から言わせると、本を読むことを教えるのじゃなくて本に書いてある事を疑う事を教えるべきだね。俺は政府のステートメントなんて、はなっから信じちゃいないぜ。と言うような事を舞台で話しているのを記憶しております。
このジョージ・カーリンさんは、『この時代に生きる 私たちの矛盾』で有名になった人ですが、この題名の原文は、『The Paradox of Our Time』
!!! ここにもパラドックスが!
少し趣旨がずれてしまいましたが・・・
宜しくお願い申し上げます!
玉田泰 says:
4月 23, 2017
またぞろ持論を持ち出しますが、新聞が欲しいです。読むに足る新聞が。
報道しない自由などを行使しない、まともな新聞…。
今の言論界を見渡すと、それを造れる人材はいると思うのですが?