「ベルサイユのばら」における

オスカル編とアントワネット編のギャップについて。

 

オスカル編は一言でまとめれば、

「革命万歳」の芝居なんですね。

 

王党派だったオスカル(そりゃそうでしょう、近衛隊の隊長なんだから)が、

革命の理想にめざめ、

バスチーユ襲撃に参加する過程が描かれます。

 

バスチーユ襲撃とは、

この革命のきっかけとなった事件ですよ、念のため。

 

ついでにこれは、

女のオスカルが自己主張にめざめる過程としても描かれる。

 

なにせオスカル、

「女にも自分の意見を述べる権利がある!!」

とか叫んで、

革命への参加を決めるんですから。

 

近代フェミニズムの原点ともいうべき

メアリー・ウルストンクラフトの著書

「女性の権利の擁護」

は、フランス革命中の1792年に(イギリスで)刊行されていますから、

もっともな描き方。

 

余談ながら、メアリー・ウルストンクラフトの娘こそ、

かの「フランケンシュタイン」の著者、

メアリー・ゴドウィン・シェリーです。

 

さて、話をふたたび「ベルばら」に。

 

革命万歳!

女性解放万歳!

のオスカル編にたいして、

アントワネット編はどうなっているか。

 

また一言でまとめれば、

「ギロチンかわいそう」の芝居なんですよ、これが。

 

マリー・アントワネットは1793年10月16日、

断頭台の露と消えたわけですが、

処刑にいたる過程が悲劇的に描かれます。

 

それどころかパリの市民たちが、

「革命は失敗だった!!」

なんて叫んだりするんですよ、こちらのバージョンでは。

 

──おいおい、革命万歳はどこに行ったんだ?!

 

と、ツッコミを入れたくなるところですが、

この矛盾こそフランス革命の本質なのですから、

宝塚歌劇団を責めるわけにはゆきません。

 

「ベルサイユのばら」に見られる

オスカルとアントワネットの間のギャップこそ、

この作品がフランス革命を多面的に描いていることの証拠なのです。

 

ではでは♬(^_^)♬