昨日、7日は
第19回統一地方選挙の前半戦投票日でした。
対象となる選挙は以下の通り。
11道府県の知事選
41道府県の道府県議選
6政令指定都市の市長選
17政令指定都市の市議選
ちなみに後半戦(21日投票)では
一般の市長選
一般の市議選
東京の特別区長選
東京の特別区議選
町村長選
町村議選
が行われます。
基本的には前半戦がメジャーで、
後半戦はローカル色が強いのですが
21日には沖縄3区と大阪12区の衆院補欠選挙もありますからね。
さて。
選挙結果をめぐる報道を見ていると、
大阪府知事選・大阪市長選での
維新候補ダブル勝利がやはり注目されています。
松井知事と吉村市長が
どちらも任期途中で辞職、
知事は市長選に、
市長は知事選に出るという
かなり強引なやり方を取っただけに
さすがに今回は維新不利か?
という観測もありましたが
どちらも大差で勝つ結果に。
維新は大阪府議選でも過半数を獲得。
大阪市議選では過半数こそ取れなかったものの
83議席中、40議席を獲得しています。
となれば大阪都構想の実現に向けた動きも
ふたたび活発化するのは間違いないでしょう。
アウフヘーベンマンにして
今やピボットマンでもある
藤井聡さんの慨嘆が聞こえてきそうですね。
「いくらインテグレイト(統合)でも、これはあかんのに・・・」(※)個人の感想です。
とはいえ今回の選挙結果、
全体としてはどう受け止めるべきか。
先に紹介したアエラの記事など
統一地方選の前半戦「大阪春の陣」は
安倍政権にとって波乱の幕開けとなった。
としたうえで、
(沖縄3区でも)辺野古基地埋め立て問題などもあり、
自民党は苦境に立たされている。
(大阪12区でも)なりふり構わず勝ちにいくしかない。
参院選を前に不穏な空気となっているようだ。
といった具合に
自民党が窮地に立っているかのごとく書いています。
だが、本当にそうか?
NHK選挙WEBのデータをもとに見るかぎり、
どうもそうとは思えません。
私に言わせれば、
今回の選挙結果の特徴は以下の通りなのです。
1)「地方選挙は現職有利」のセオリー通り。
(※)告示以後は個人のチラシが一切配布できないなど、選挙活動に制約があるため。
知事選で言えば、11道府県のうち
現職が出馬した8県のうち
新人が勝ったのは福井県のみ。
大阪の吉村知事も、
知事は今度が始めてという意味では新人ですが
出馬の経緯を考えれば、実質的に現職と見なしうる。
となれば9府県。
残る北海道と島根は新人対決でした。
つづいて市長選。
これは6市のうち5市に現職が出馬しましたが
新人が勝ったのは相模原市のみ。
4市で現職勝利です。
大阪の松井市長も、
吉村知事について述べたのと同じ理由で
実質的に現職と見なすとすれば5市。
予想外の結果になどなっていないのですよ。
2)大阪を別とすれば、自民党は勝っている。
道府県議選において、自民党が獲得した議席は1158。
総数は2277ですから、過半数を取っています。
のみならず、
2015年の前回選挙における獲得議席数は1153で、
2011年、前々回の獲得議席数は1119でしたから、
3回連続、右肩上がりで勝っているのです。
改選議席数自体は
2011年が2330,
2015年が2284と
減っているにもかかわらず、ですぞ。
ちなみに中には
2015年の道府県議会選で
自民党は大阪以外のすべての議会で第1党だったが
今回は大阪、長野、愛媛、大分で第1党を逃した
という報道もあります。
しかし、ならばそれらの府県での第1党は何か。
大阪は維新ですが
残り3県は「無所属」なのです!!
これで自民が第1党を逃したと言えるんですかね?!
他方、福岡県知事選では
自民党の推薦した武内和久候補が敗れたことが話題となっていますが
当選した小川洋候補は現職のうえ
過去の選挙では自民党に支持されていた。
福井県で現職に勝った杉本達治候補も自民推薦。
北海道で新人対決を制した鈴木直道候補も自民推薦。
島根県の新人対決では
自民推薦の大庭誠司候補が敗れていますが
この候補と、当選した丸山達也候補には
面白い共通点がある。
つまりどちらも、総務省消防庁出身なのです!
丸山候補は国民保護室長で
大庭候補は次長でした。
火消しか、べつの火消しかの選択だったわけですな。
3)そして大阪が、どこまで例外的かは疑問である。
今回の選挙(とくに知事と市長のダブル選)で
維新の掲げたスローガンはこれです。
「大阪の成長を止めるな。」
どこかで聞いたような気がしませんか?
そうです。
2005年の総選挙に際して
小泉総理率いる自民党が掲げたスローガン
「改革を止めるな。」と瓜二つ!!
大阪で自民が維新に勝てないのは
大阪の人々にとって
今や維新が「自民以上に自民的」
(=改革遂行原理主義)な存在として
映っているからだと思われるのです。
で、何が「波乱の幕開け」なのだろう?
かりに沖縄3区と大阪12区の補欠選挙が
どちらも自民敗北に終わったとしても
それが参院選にどれほどの影響を及ぼすかは
正直、疑問です。
歴史的経緯や基地問題のため
沖縄は伝統的に「革新」、
つまり左翼が強く
自民党に不利なわけですが
自民以上に改革志向の強い地域政党、
つまり「維新」が存在する大阪も
今やそれに準ずる地域となった、
というだけの話ではないのか。
改革(=自民)も革新や維新には勝てぬ、
そうまとめてもよいでしょう。
とはいえ改革推進こそは平成のテンプレですから
この結果はとりもなおさず、
有権者が変化ではなく、
「改革継続という現状維持」を求めたことを意味する。
大阪では都構想が勢いを取り戻すでしょうし、
道府県議選の結果を思えば
消費増税中止の見込みもいっそう薄くなったと言わねばなりません。
実際、今回の統一地方選の投票率は
知事選こそ47.72%と
前回(47.14%。最低記録)をわずかに上回ったものの
市長選は50.86%と最低を記録。
道府県議選は44.08%(これも最低記録)、
政令市議選も43.28%と
5回連続で50%を割り込んでいます。
毎日新聞の表現にならえば
知事選を含めたすべての選挙が50%を下回る事態は避けられた
というだけですね。
ついでに道府県議会選では
945の選挙区のうち
39%にあたる371の選挙区で定員を超える立候補がなく
612人が無投票で当選。
これは前回より111人も多く、
当選者全体の27%にあたるとか。
政令市議選の無投票選挙区も
前回より5つ増えて7になりました。
立候補者がなかなか出てこないのには
いろいろな理由があるでしょうが
日本人が全体として
平成の改革路線について何か違うと思いつつ
戦後日本の支配的な現実認識、
すなわち平和主義の枠組みに縛られているせいで
それに代わる経世済民の方法論、
つまり富国強兵路線に思い至らないか
思い至っても抵抗感を捨てられずにいることも
大きな要因に違いない。
「だから、これを読むかどうかが運命の分かれ道!」(※)お姉さまのお言葉です。
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そんな状況では
自分こそが物事を変えてゆくんだ!
と名乗りをあげる気になりにくいからです。
ついでに投票するほうだって
どうせ今の路線しかないんだろうから
いちいち投票することもないや
という気に陥るでしょう。
令和の時代を迎えるにあたり、
われわれが祖国の再生と発展を望むのであれば
まずは認識枠組みの転換がなされねばならない。
これが達成されて初めて、
政策の転換、つまりピボットも可能になるのです。
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ではでは♬(^_^)♬
6 comments
富田師水 says:
4月 9, 2019
私の親は「ピボットとかよう分からん横文字に誰が賛同するねん」と言っていました・・・
意味を説明しても「説明が必要なもんをタイトルにすな」と言われて
中身を説明しても「分かりにくい」と一蹴されて賛同はもらえませんでした・・・
豆腐メンタル says:
4月 9, 2019
「令和ピボット」もちろん賛同しました。
ところで私京都で40人目ぐらいでしたか。希望は捨てませんがまったく少ないと感じました。宣伝不足?それともシンクタンクだから賛同者が少なくても問題ではない?
それは兎も角、緊縮、グローバリズム、構造改革、東京一局、レフティズム、気付いていないだけのナントカ主義による格差拡大路線は平成でおさらばしたいものです。巨視的にまた長期的に「誰かの不幸が自分の幸福」は維持できない。
また、今回の選挙に目を向けると先生の分析通り、結果は「現状維持」が事実。失われた30年に突入しても先送り。。まる一世代先送り笑
柳田國男は1902年頃に中央大学で行った「農業政策学」の講義で次のように述べているそうです。
『国家は現在生活する国民のみを以て構成すとはいいがたし、死し去りたる我々の祖先も国民なり。その希望も容れざるべからず。また国家は永遠のものなれば、将来生れ出ずべき我々の子孫も国民なり。その利益も保護せざるべからず』
柳田先生保守だなぁ。それにひきかえ「将来生れ出ずべき我々の子孫」どころか今生きているまる一世代を無かったことにする現代日本人。。お恥ずかしい!
GUY FAWKES says:
4月 10, 2019
>巨視的にまた長期的に「誰かの不幸が自分の幸福」は維持できない。
「他人の不幸は蜜の味」なんて冗談や酔狂の話であって、真面に受け取ったとしてそんなもんは麻薬も同じですよね。
他が劣化、ないしは落ちぶれたりしたところでそんなん幻覚もいいところ、自分が優位になる訳がない。※『平松テーゼ』を忘れるな(戒め)
昨今はマウンティングという言葉が出てきて久しいですが、結局のところ他者より抜きん出ようとして醜さを晒すのも
しぇんもん家様やギョーカイ人が有り難がるナントカ主義の負の賜物ですよ。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190406-00000502-fsi-bus_all
「日本文化に魅了されている」 なぜ対日印象が改善したのか
○ソみたいなオメデタイ楽観主義の憶測で記事をあげないでくださいよサンケイさんww
当該記事のコメント欄にも「日本文化に親しくなったから」だの「中国当局が規制を緩和したから」だのと理由づけしておられる方が多数お見受けできますが、全く見当違いです。
中国人民の対日感情が改善したのは自分らの国力、もしくは意見を呈することができる層がそれだけ分厚くなったことによる「向こうが優位になった」だけの歴然とした事実なんですよ。要は嫉妬や羨望の眼差しの対象じゃなくなった訳です。
え?中国の格差や高齢化は凄まじいからそんなんハリボテ、日本の方がまだマシだ、ですって?それが日本が単独で中国に対抗できる理由なんですか…おたくら、さんざっぱら中国脅威論唱えてたじゃないですか。それが事実なら日本の安全保障は安泰ですなぁ(苦笑)これをホシュの方々が「是々非々の対応だ(ドヤ顔)」と思っておられるのですからね、悲観するのか楽観するのかハッキリしてないだけだろうが!!
そういえば、新紙幣発行で福沢諭吉先生が一万円札から退かれ、ミスター渋沢栄一になるとか。
「亜細亜の悪友と絶交する」とニワカホシュ勢から尊ばれる福沢先生から「日本資本主義の父」と呼ばれるミスター渋沢に変わるのは昨今の情勢を鑑みるになんとも意味深長な含みを感じるのは私の妄想か…?
(※当時の賢人であるご両人を揶揄しているのではありません、彼等を引き合いに出す輩のことを指しています)
ヤン・ウェンリー命 says:
4月 10, 2019
大阪人ですが、地方統一選で我が大阪は残念な結果に終わりました。かろうじて大阪市議会で都構想への反抗力を残した程度です。
これも、もはや当てにならないかもしれないですが(汗)
いちブロガーとして思うのは、もうこれしかないです。
「ふえぇぇぇ(可愛くない)」
マゼラン星人二代目 says:
4月 10, 2019
>「令和ピボット」
口が裂けても「令和レヴォリューション」とは言えないらしい。
周知の通り「レヴォリューション」の原義は「回転」、「ピボット」も回転(軸)
なはずなのに、何にこだわっているのやら。
「保守であるからには革命と言ってはいけないゲーム」にかまけているうちは、何やっても駄目でしょう。
>「保守であるからには革命と言ってはいけないゲーム」
その点、維新な人たちと同一水準。
安治 says:
4月 10, 2019
私は選挙結果云々以前に選挙自体に昔から懐疑的で、政治素人の国民にどうしてまっとうな政治家を選ぶことができるのでしょうか
だから国民が賢くならなければならない 議会制民主主義は国民が賢くあって初めて機能するもの
だから政治腐敗の責任は選んだ国民の責任になるわけです
ですが国民の大半はそういう責任感をもって投票に行っているとは到底思えませんし、立候補する人も政治素人が少なくありません
素人が政治に関わればそら問題解決もできないでしょうし、この仕組みで得をするのは間違いなく一部の人達だけで国民全体ではありませんよね
政治家も公務員なのだから、その中から優秀な人間を政治家にすればいいじゃないかと思うのですが、何故選挙で選ばなくてはいけないのかと考えるほど莫迦莫迦しく思えてなりません
プロの政治家を育てることをしなくて、いい加減な民意に頼った選挙なんぞをやっている限りいつまでも政治腐敗はなくならないと思います