1月4日の新春キャスター討論、

ハイライト(つまり笑いどころ)はいろいろありましたが、

その一つがこちら。

 

憲法改正などという

1)そもそも、まともな改正案が出ておらず

2)発議できるかどうかも怪しく

3)よしんば発議できても、国民投票で否決されたらそれっきり

な代物に希望を託すぐらいなら

まず財政法第四条を改正したらどうだ!!

と私が言ったとき、

水島社長は何と答えたか。

 

それはアメリカが許さない、のだそうです。

 

ほう、そうですか。

しかし財政法の改正一つ許さないとすると

対米自立をうながすような改憲など

アメリカは絶対に許さないでしょうなあ。

 

裏を返せば

わが国に可能な改憲とは

対米従属をいっそう深める

爽快な内容のものでしかありえない。

 

ついでに法改正より憲法改正のほうが

国内的なハードルが比べものにならないくらい高いのも

みなさん、ご存じの通り。

 

のみならず、九条に三項を加えたところで

(この発想自体がすでにデタラメなのですが)

デフレ不況から脱却できるわけでもなければ

積極財政に転換できるわけでもない。

 

で、積極財政に基づく経済拡大なしに

安全保障など維持しえないのも、

みなさん、ご存じの通り。

 

以上の点に何一つ反論できないまま

それでも憲法改正が対米自立のカギなんだ!

オレたちは改憲原理主義だ!!

と意地になって叫ぶしかないのが

わが国の保守界隈の実情だったりするのであります。

 

きっと憲法改正(の夢想)のためなら

移民も消費税10%も受け入れるんだろうなあ。

で、国民投票で否決されたら日本は滅べばいいんだとさ。

 

「これって、桜散るとか言わなかった?」(※)お姉さまのお言葉です。

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「落ちるかどうかじゃない、どこまで落ちるかだ」(※)個人の感想です。

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ジョアン・チェンさん(要出典)も呆れているようですよ。

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早い話が

敵がいてくれないと死ぬ病

の一形態、

黒幕アメリカがいてくれないと死ぬ病

というやつですが

そもそも現在のアメリカに

そこまで日本をコントロールする余裕があるのか?!

 

昨年の12月22日以来、

アメリカでは政府機関の1/4が閉鎖されたままなのですぞ。

1月6日で16日目。

 

トランプ政権下では

2018年の1月にも政府機関一部閉鎖が生じましたが

これは3日で終了しました。

同年2月にも閉鎖につながりかねない予算空白が生じたものの

9時間しか続かなかったため

連邦政府職員の自宅待機は起きていません。

 

しかし今回はすでに16日。

歴代4位につけている。

ちなみにトップ3は

1)21日(クリントン政権、1995年〜1996年)

2)19日(カーター政権、1978年)

3)17日(オバマ政権、2013年)

です。

 

閉鎖が1月12日まで続けば

トランプはめでたく(?)歴代1位となる。

それどころか今回の閉鎖、

前人未踏の大記録を打ち立てるかも知れません。

どうぞ。

 

トランプ氏「政府閉鎖、何年も続く」 非常事態宣言も示唆

(産経ニュース、1月5日配信)

 

トランプ米大統領は4日、

連邦政府機関の一部閉鎖がこの日に14日目に突入した問題で、

議会民主党の指導部とホワイトハウスで会談した。

トランプ氏は、政府閉鎖の解除に必要となる新予算案に

メキシコ国境からの移民流入を阻止する壁の建設費が計上されない限り、

閉鎖は「何年も続く」と警告。

しかし、民主党は予算化を認めない立場を崩さず、

2日の会談に続き双方の話し合いは平行線に終わった。

元の記事はこちら。

 

トランプの発言、

正確には「閉鎖は数ヶ月、いや数年にわたって続く」のようですが

いかに一部閉鎖であれ

本当にそうなったら、

アメリカは半身不随状態と見なされるでしょう。

なにせ自宅待機か、

無給で働くハメとなっている政府職員の数は

80万人に及ぶのですぞ。

 

イギリスの「ガーディアン」紙によれば

現時点でも以下のような問題が起きています。

・スミソニアン博物館、および動物園は閉館中。

とりあえず、動物にエサは与えられているそうです(当たり前だ)。

・ワシントンDCでは、婚姻届の受理がストップ。

・中国の探査機「嫦娥4号」が人類史上初めて月の裏側に着陸する中、

NASA職員の大部分は自宅待機中。出勤している職員は無給状態。

・移民法裁判所(全国62ヶ所)の判事も、かなりの部分が自宅待機中。

なんと、不法移民の国外退去まで滞っている!

・各地の国立公園は最小限の職員で運営中。

一部公園は閉園。他についても、トイレなどの施設は利用不能。

キャンプ場はゴミ収集がストップしたせいで閉鎖へ。

 

で、閉鎖が続いた場合は・・・

・国税庁による税金還付が滞る。

・公共住宅の賃貸料助成が滞る。

・内務省は先住民各部族にたいし、協定による金銭の支払い義務を負っているが

この支払いも滞る。

元の記事はこちら。

 

ガーディアンの記事は触れていませんが

・給与を得られない政府職員が困窮する。

・ダウ平均の乱高下が続き、とくに暴落のリスクが強まる。

も入れておくべきでしょうね。

昨年12月に生じた暴落だって、

政府機関閉鎖が影響を与えたのは明らかですので。

 

それでもわが国の財政法改正はきっちり阻止できるらしいぞ! さすがアメリカ!

 

ならば、なぜこんな事態になっているのか?

メキシコとの国境に壁を建設するという

例の件がみごとに泥沼化したせいです。

ガーディアンはこれについても、明快に解説している。

 

おそらくトランプは

連邦政府を全面閉鎖するというのならともかく、

部分閉鎖なのだから

閉鎖継続による悪影響に耐えるほうが

民主党に譲歩して、壁の建設をあきらめたと思われるよりマシ

と計算しているのだろう。

 

思い出してほしいが

壁の建設こそは大統領選におけるトランプの主張の中核であり、

政治家としての彼のイメージの本質に関わるものなのだ。

もしかしたら、

壁をつくれなかったら死ぬ病に陥っている可能性すらある。

 

トランプの支持勢力にとって、

この壁は「アメリカ・ファースト」の究極的な象徴だ。

同時にトランプの反対勢力にとっても

この壁は「独善的な排外主義」の究極的な象徴なのだ。

 

象徴にひたすらこだわるところが

認知的不協和丸出しのまま、

形骸化した改憲に必死でしがみつく極東亡国の保守派

妙に似ているのが笑えますが

それは別の話。

 

つまりはホワイトハウスも

下院を制した民主党も

一歩も退けなくなっている次第なのです。

 

トランプは12月27日、

無給状態になっている政府職員の多くは民主党員だぞ、

分かっているのか、民主党?

とツイート。

元のツイートこちら。

 

すでに下院では

政府機関の期限付き再開を可能にする法案が2つ成立しましたが

これについては上院で多数を握る共和党が不支持を表明しているうえ(※)

かりに上院を通っても大統領権限で拒否権を発動するとか。

(※)ただし「とにかく政府機関を再開すべきだ」という声も高まっているとか。

関連記事こちら。

 

果ては国家非常事態を宣言して

議会の承認なしに壁をつくると言い出します。

建設にあたっては

私有財産(たぶん私有地のことでしょう)の収用まで検討するとか。

 

なるほど、

1917年のウッドロー・ウィルソン以来

(1933年のフランクリン・ルーズベルト以来という説もあります)

アメリカの大統領は

けっこう頻繁に非常事態を宣言してきました。

 

トルーマン、

ニクソン、

クリントン、

ブッシュ(ジュニア)、

みんなやっています。

1976年には「国家非常事態法」も制定されました。

 

とはいえ、

これが果たして切り札になるかどうかは微妙。

先に紹介した産経の記事がうまくまとめています。

 

米国では国家の存亡に関わる緊急事態が起きた際に

大統領は包括的な権限を有するとの憲法解釈があり、

外国からの侵略や大規模テロなどへの対処では

議会の了承を得ずに米軍を動員することなどができる。

米メディアによると、非常事態を宣言後、

壁建設費用を国防予算から支出することが政府内で議論されているが、

メキシコ国境からの移民の流入をテロなどと同列に扱うのは

無理があるとの見方も強い。

 

国家非常事態法の規定によると

上下両院が合同で非常事態中止を決議した場合、

大統領も従わざるを得ないのですよ。

 

つまり上院共和党内で

「それはいくら何でもダメ」という声が高まったらアウト。

 

相当にグダグダな事態ですが・・・

さてクイズです。

アメリカがこうなって、喜ぶ国はどこだ?

 

簡単ですね。

中国、ロシア、北朝鮮です。

ほかにもあるかも知れませんが。

 

ところがトランプ、

少なくともロシアや北朝鮮にはかなり甘い。

たとえば1月2日には、

ホワイトハウスの閣僚会議において

北朝鮮への新たな制裁をほのめかしつつも以下のように発言。

 

たった今、金正恩氏から素敵な手紙を受けた。

われわれは北朝鮮と多くの進展を成し遂げ、

金委員長とわれわれはとても良い関係を築き、多くの良いことが起きている。

北朝鮮は大きな経済的潜在力を持っているため、われわれが助けるだろう。

関連記事はこちら。

 

ついでに同じ会議では

1979年に発生したソ連(当時)のアフガニスタン侵攻についてこう発言。

あれはアフガニスタンからテロリストがソ連に侵入していたからだ。

ソ連軍が攻め込んだのは正当なことだ。

関連記事はこちら。

 

言っては何ですが

アフガニスタンに攻め込んだときですら

ソ連は「テロリストの侵入」など主張していなかったのですぞ。

よって、トランプの発言はみごとにナンセンス。

 

しかしウクライナ問題を抱えるプーチンにとって

これほど嬉しい発言もないのではないでしょうか?

論より証拠、ロシア議会は2月15日に

アフガニスタン侵攻は合法的かつ正当なものだった

という決議を採択する予定なのです。

 

内政はグダグダ、外交は信用できない。

これがトランプ政権の現実です。

 

それでもわが国の保守派は

トランプ外交につきあうのが日本にとってプラスだと主張しつづける一方、

アメリカの圧力を言い訳に

財政法第四条の改正すらあきらめるのでありました。

 

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ではでは♬(^_^)♬