1968年に発売され、

日本のスナック菓子の先駆けとなった

明治製菓「カール」

8月生産分をもって全国販売を中止、

西日本のみの限定販売となりました。

 

また種類についても

「カール チーズあじ」

「カール うすあじ」

の2種のみとし、

「カール カレーあじ」

「大人の贅沢カール」

「小つぶカール」

については販売終了となるそうです。

 

♬それにつけても、おやつはカール!

のCMソングに親しんだ世代としては

何とも寂しいものがありますね。

 

明治製菓の広報部いわく。

長きにわたってご愛顧いただきましたが、

ニーズの変化などで収益性が悪化していました。

スナック菓子市場はジャガイモを原材料とする

ポテト系スナックの優位が続き、

長期的に販売が低迷していました。

 

3年前からブランドをどうするか検討し始め、

一時は「カール」の全面的販売中止も考えましたが、

「長きに渡ってご愛顧いただいた商品なので、なんとか残せないか」

と社内で検討し、

収益性などを鑑みて、西日本限定での発売とさせていただきました。

関連記事はこちら。

 

ツイッターには

映画版「風の谷のナウシカ」の有名な場面をもじった

こんな秀逸な投稿もなされています。

必見! 必見! 必見!

 

で、平松禎史さんもこうツイート。

カールって毎日食べることはないが

年に何度か狂ったように食べたくなる一種の精神安定剤で、

食の安全保障だ。

しかし、民間企業は消費が減って採算が取れなければ撤退する。

デフレ脱却を早く!

元のツイートはこちら。

 

カールが販売されているかどうかが

食の安全保障

に該当するかどうかは

議論の余地があるかも知れませんが、

長く続いてきたものは、長く続いてきたこと自体に価値がある

というエドマンド・バークの発想にならえば

カールが安定して販売されつづけるようでなければ

社会の保守が達成されていることにはならない

とは言えるでしょう。

 

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フランス革命の省察

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しかるに平松さん、

続いてこうもツイートしています。

 
主力商品ではないが

一定の需要があるものを継続するには

全体の売上が十分確保され余裕が必要。

不採算部門のカットはデフレ不況で起こりやすい。

アニメにしても売れる題材に集中してニッチな題材は失われていく。

個性や多様性を継承するために、デフレ脱却を。

政府の負債拡大で投資を拡大を!

元のツイートはこちら。

 

赤文字にした部分にご注目。

経済が縮小し、

人々が余裕を失ってゆく状況では

文化は「万人受けする大メジャー」的な作品ばかりになってしまいがちなのです。

 

さもなければ

「大メジャーか、アングラか」の二極分解。

 

その結果、

「万人が気楽に楽しめる」というタイプの内容ではないため

大ヒットにはならないものの

それなりの数のファンを持ち

クオリティ的にも高いレベルの作品

が生まれにくくなる。

 

平松さん風に言えば「ニッチ」、

私流に言えば「カルト」ですが

優れた大人向け作品の多くは

じつはここに含まれます。

 

つまりデフレ状況においては

大人の鑑賞に耐える文化も衰退しがちなのですよ。

 

実際、今やハリウッドでも

映画は超大作か超低予算かの二極分解をきたしており

中規模作品は消滅しつつあります。

 

ちなみに中規模作品とは

この場合、

製作費が200万ドル(2億2000万円)から

8000万ドル(88億円)ぐらいまでのものを指すとか。

要するに2億円以下か、100億円以上かに分かれてしまったわけですね。

 

まあ製作費80億で中規模というのは

何ともうらやましいところですが

それはともかく。

 

実際、カルトの巨匠ともいうべき

「ツイン・ピークス」のデヴィッド・リンチ監督だって、

2006年の「インランド・エンパイア」いらい

劇場用の長編映画はつくっていません。

 

そしてリンチ監督、

「ツイン・ピークス」復活にあたり

もう劇場用映画はつくらない

とまでコメントしました。

いわく。

 

映画をめぐる状況がすっかり変わってしまい、

素晴らしいのに当たらないという作品が本当に多くなってしまった。

逆に、今当たっているような映画は、私がつくりたいものじゃないんだ。

関連記事はこちら。

 

デフレを脱却し、経済を成長軌道に乗せることは

一国の文化を豊かにするうえでも必須なのですよ。

ところがわが国では、

右も左も、そろって緊縮路線に賛成とくる。

 

だ・か・ら、

『右の売国、左の亡国』と言うのですよ!

 

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ただし三週間後、カンヌ映画祭に出席したリンチは発言を修正。

映画をやめると言ったわけじゃない。

今後、映画をつくるかどうかは分からないというだけだよ。

と述べました。

関連記事はこちら。

 

新「ツイン・ピークス」の評判が良かったので

考えを変えたのかな?

 

何にせよ、カールと「ツイン・ピークス」だってつながっているのです。

ではでは♬(^_^)♬