かのエドマンド・バークは
「フランス革命の省察」をめぐり、
フランスの国民議会議員フランソワ・メノンヴィルに
こうコメントしています。
事態は日を追って収拾がつかなくなっている以上、
革命政府は唖然とするようなトンデモ政策を
次々と打ちださざるをえないのだ。
それらをまともに論じる意味はない。
とはいえ、
いったん事態の収拾がつかなくなると
トンデモ政策やトンデモ発言が 止まらなくなるのは
べつにフランス革命政府に限った話ではないようです。
たとえば・・・
安倍首相 TPP承認へ決意「理念掲げぶれてはならない」
安倍晋三首相は28日午前の参院本会議で、
トランプ次期米大統領が環太平洋連携協定(TPP)の脱退を
表明したことを巡り
「他国に影響されたり、
他国に追従したりするのではなく、
日本として理念を掲げ、貫く信念がなくてはならない。
今、ぶれてはならない」と述べ、
今国会で承認手続きを進める意向を重ねて示した。
他国に影響されたり、
他国に追従したりするのではなく、
日本として理念を掲げ、貫く信念がなくてはならない。
今、ぶれてはならない。
!!!!\(◎o◎)/なんとまともな正論!\(◎o◎)/!!!!
・・・と、言いたいところですが
みなさんご存じのように
民主党政権時代、自民党はTPPに反対しておりました。
ウソつかない。
TPP断固反対。
ブレない。
そんなスローガンを大書したポスターまで作られていたのです。
つまりはTPP参加自体が
日本として理念を掲げ、貫く信念を持つことができず
オバマ政権のアメリカに影響されてブレまくった結果のことだったのです。
で、なんで今になって
TPPを批准することこそ
外国の影響を受けたり、外国に追従したりせず
日本として理念を掲げ、貫く信念を持つことだ
という話になるんですかね??
ヾ(℃゜)々(O_O)そこまでブーメランを投げんでも・・・(O_O)(゜ロ)ギョェ
ハリウッドの某アクション映画のタイトルをもじれば
トンデモマックス 泥沼の意固地ロード
というところですが
思うに総理がここまでTPPにこだわるのには
自由貿易
という言葉の響きが影響しているのかも知れません。
自由はイメージがよろしい。
開放的で明朗、無限の可能性を感じさせます。
エドマンド・バークも
高らかに自由を謳うことには、胸を熱くするものがある
という旨を認めているくらい。
となると、それに制限を加えようとする保護主義は
閉鎖的で陰鬱、ついでに重苦しく抑圧的
ということになってしまう。
自由貿易への固い決意を示し、
保護主義の蔓延を食い止めねばならない!
そう叫びたくなるのも、分からなくはありません。
しかし自由貿易の「無限の可能性」が実際に意味するのは
多国籍企業のやりたい放題。
それに制限を加えることで
国家および国民の利益を守るというのは
しごく当たり前のことにすぎません。
「自由貿易」の語感の良さが
この認識を広める障害となっているのであれば
私はこの言葉について
事柄の実態をより的確に表すものに変更することを提唱します。
どんな言葉に変更するのか?
ずばりこれです。
無防備主義(NON-PROTECTIONISM)。
「保護」の反対概念を「自由」にすること自体、
完全に的外れとまでは言わないまでも
どこかズレているのですよ。
自国の市場、あるいは国民経済を守ろうとする姿勢を示さないのですから
「無防備」の方がよほどふさわしいじゃないですか。
そして「保護」か「無防備」かとなれば
保護の方がいいに決まっている。
市場原理を愛する
多国籍企業の公正と信義に信頼するだけでは不十分だ!!
国民経済を守る固い決意を示し、
無防備主義の蔓延を食い止めねばならない!!!
こう高らかに宣言してこそ
真に愛国的な政治家と言えるでしょう。
ではでは♬(^_^)♬
9 comments
TOMAS says:
11月 29, 2016
概念の創造ときましたか。今の佐藤さんは、何かジル・ドゥルーズに好まれそうな雰囲気がありますね(^-^)。
推薦本をお探しでしたら、是非お声がけください( ^∀^)。
tinman says:
11月 29, 2016
宇宙空間で自由に動くためには当然、宇宙服が必要になりますが、
重さ100kg超の1着に、1000万ドルもかかるそうです(JAXAのQ&A)。
たとえ宇宙の真理が自由だとしても、人間にはそれだけの保護が必要。
日本では宇宙人、地底人、深海魚の次にニュータイプが総理に就任しましたが、
偉い人にはそれがわからんようです。
(などと、アニマックスで宇宙兄弟を見て思う)
地上を真空にしてエスタブリッシュな1%の方々に金食い虫の宇宙服を売りつける、
NASAの陰謀を疑ってしまいますw
SATOKENJI says:
11月 29, 2016
「宇宙人、地底人、深海魚の次にニュータイプ」
これをダイバーシティと言います。
GUY FAWKES says:
11月 30, 2016
なるほど、即ちPCとは「ポリティカル・コレクトネス」ではなく
「プラネット・カルチュラリズム」だった訳ですな。
となると次はコロニーが落っこちてくるのですね、わかります。
SATOKENJI says:
11月 30, 2016
本来はProhibitive Communication
(禁止事項だらけのコミュニケーション)の略だったという説が有力です。
tinman says:
11月 30, 2016
>これをダイバーシティと言います。
ダイバーシティと評されるほど多様な人材が、
皆一様に、無重力に魂を縛られるがごとく自由に囚われているのは戯画的です。
無防備で宇宙に飛び出せば、究極生物でさえ凍結して制御不能になり、
そのうちに考えるのをやめざるをえないので、当然といえば当然ですが。
あえて無一物で精神を宇宙に飛翔させるとしたら、
仏陀の瞑想修行をして解脱する方法くらいしか私には思いつきません。
それでさえ、皆一様に出家するよう勧めると社会が成立しなくなるため、
仏陀は聖俗で教えを分けて、「対機説法」するようにしたわけです。
事情を勘案しない均質な自由の押し付けがいかに反社会的かが伺えます。
スペースオペラの世界ならいざ知らず、現代日本では、
重力に引かれていて、それを知悉した政治家を見つけるしかないようです。
余談ですが、出家や解脱にこだわらない、最近流行りのマインドフルネス瞑想の流れで、
チャルーンサティというのを知りました。アニメを見ながら気軽にやっています。
参考「悟らなくたっていいじゃないか」(魚川祐司、プラユキ・ナラテボー)
「仏教思想のゼロポイント」(魚川祐司)
tinman says:
11月 30, 2016
※注意
仏教の修行者は、無一物ではあっても決して無防備というわけではありません。
厳しい戒律を守ることで他者の攻撃から守られている面もあります。
また、「重力に引かれた政治家を見つけるしかない」と書きましたが、
全くの他力本願というわけではなく、
同じように重力に引かれた大勢の人々の無言の努力が必要になることでしょう。
(福田恆存的に)
せい says:
12月 1, 2016
企業もイノベーションという言葉だけが独り歩きをしていって、シュンペーターを読まず言葉のイメージだけで、トンデモ発想でトンデモ商品を連発していっているような気がします。
最近はダイバーシティという言葉に囚われて、ますますカオスな状態に向かいつつある彼らには「良い子の諸君!」シリーズでおなじみのこの言葉をプレゼントしたいですね。
よく頭のおかしいライターやクリエイター気取りのバカが
「誰もやらなかった事に挑戦する」とほざくが
大抵それは「先人が思いついたけどあえてやらなかった」ことだ。
王道が何故面白いか理解できない人間に面白い話は作れないぞ!
玉田泰 says:
12月 11, 2016
日本の政治においては、野党は与党に反論する以外の存在意義は無いのでしょうか。自民党が与党になった途端にTPP賛成(米国賛同)に転じ、民進党は反対する。どちらもバカでも出来る条件反射、情けない。
確かに自由っていい響きですね。でも実態は多国籍企業にとっての自由でしかない。「やりたい放題」を自由と称せるならばですけれど。
弱肉強食は日本(人)には似合わない…筈なのに。