ワカスミさんの質問に
2回にわたってお答えしたわけですが・・・
今日はさらに話をちょっと発展させます。
「保守思想に基づく『大人』の条件(1)」(9月15日)では、
「子供の態度」について次のように規定しました。
1)相反すると通常見なされる価値が、つねに相反していると信じ込む
2)それをゴチャマゼにする特権が自分に(だけ)あると思い込む
3)ゴチャマゼにすることにメリットのみを見出し、デメリットの存在を想定しない
4)ゆえに価値をゴチャマゼにしない世間の人々は、自分よりバカなのだと決めつける
しかるに「保守思想に基づく『大人』の条件(2)」(9月17日)で述べたように
上記の規定は、ちょっとアレンジするだけでこうなります。
1)既存のシステムは、既得権益と弊害の塊だと信じ込む
2)それを根本からひっくり返す特権が自分に(だけ)あると思い込む
3)ひっくり返すことにメリットのみを見出し、デメリットの存在を想定しない
4)ゆえに既存のシステムを守っている世間の人々は、自分よりバカなのだと決めつける
言うまでもなくこれは
いわゆる改革推進の論理です。
『戦後脱却で、日本は「右傾化」して属国化する』で用いたフレーズにしたがえば
改革推進キッチュ。
ところがお立ち会い。
「子供の態度」をめぐる規定は、
こんなふうにもアレンジできるのですよ。
1)戦後日本のシステムは、対米従属と反日の塊だと信じ込む
2)それを根本からひっくり返す特権が自分たちに(だけ)あると思い込む
3)ひっくり返すことにメリットのみを見出し、デメリットの存在を想定しない
4)ゆえに戦後日本のシステムを守ろうとする人々は、自分よりバカか、でなければ反日なのだと決めつける
さあ、これは何の論理か?
お分かりですね。
「保守派」と呼ばれる人々(少なくともその一部)の間に見られる
戦後脱却の論理です。
戦後脱却も、子供じみたキッチュなものになりうる!!
・・・ここを押さえておかないかぎり
保守派を待っているのは自滅の道あるのみと言っても過言ではありません。
1)戦後日本のシステムに見られる対米従属や反日にも、それなりの歴史的必然性があったとわきまえる
2)しかもわが国は、そんなシステムのもとで発展・繁栄したのだから、いきなり根本からひっくり返す特権など誰にもないとわきまえる
3)発展・繁栄をもたらしたシステムをひっくり返すことにともなうデメリットを想定しておく
4)ゆえに戦後日本のシステムを守ろうとする人々の態度にも、
よしんば無自覚、かつ矛盾だらけの形においてではあれ、
知恵深いものがあるのではないかと考えてみる
戦後脱却をめぐる「大人の態度」とは
このようなものであらねばならないと思うのですが
いかがでしょう。
ではでは♬(^_^)♬
6 comments
ホワホ says:
9月 18, 2016
必然性をわきまえてる「つもり」だから
この~しかない!に始まる運命論的な態度なんじゃないでしょうかw
ワカズミ says:
9月 18, 2016
「大人の態度」とも通じる部分がある筈の「保守」の立場、それを自認する人々の多くがが「子供の態度」では、この国の言論界にも期待は出来ないですね…残念です。
佐藤先生のはじめ大人の態度」がとれる「保守」の方々がもっと社会に理解されるようになって欲しいところです…
SATOKENJI says:
9月 18, 2016
そういえば、お名前を「ワカスミ」と誤記していました。失礼しました。
TOMAS肆式 says:
9月 18, 2016
近い内、国会から発議される新憲法案が楽しみですね(/\)\(^o^)/。戦後最大級のイベントとなるのではないでしょうか。
Guy Fawkes says:
9月 18, 2016
ワカズミさんの真摯な姿勢からの苦悩から佐藤先生による秀逸な纏めまでの一連の流れを汲み、
やはり明治維新以降の近代化から先の敗戦による戦後の現在に至る思考のパラドックスを精査する為にも
改めて『本格保守』の確立が必要とされていると感じます。
過去を全肯定(保守派)全否定(リベラル・左派)するだけでは中庸が喪失されてしまう。
現代日本の死活問題の核心とは「思想の平衡感覚」としか考えられません。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160918-00000010-jij_afp-int
ドイツ各地で米EU貿易協定TTIPに抗議、参加者16万人超 AFP=時事
あまりにも今更で遅きに失した感は否めませんが、
既にこうして欧州ではパンドラの箱がこじ開けられんとしています。
今のままでは所謂「戦後日本」の終焉は確実にハードランディング、最悪の形で結実するでしょう。
今こそ『本格保守宣言』の増補改訂を!ww
玉田泰 says:
9月 21, 2016
先生は今回、思考のパターンを誰にでもわかる形で四段論法で説明出来うる型を発明されたのかも知れませんね。普遍的でわかりやすい、新しい形の起承転結でしょうか?
『戦後脱却をめぐる「大人の態度」』は国民の誰もが共有すべき問題認識なのに、このブログを読んだひとにしか気付かれていない。
日本国民の一人として、とてももどかしいです。