20世紀イギリスが生んだ
偉大な作家の一人であるJ・G・バラードは、
セックスにテクノロジーを掛け合わせると未来になる
という名言を残しました。
数式の形で表現すれば
セックス×テクノロジー=未来。
バーチャルリアリティを使ったセックス処理の可能性が
昨今取りざたされていることを思えば
じつに予言的な言葉です。
ちなみに類似の数式で
セックス×欧米コンプレックス=戦後日本
というのがありますが、
これを提唱したのはJ・G・バラードではなく私でした。
2001年の本『未来喪失』に出てきますので、
興味のわいた方はどうぞ。
650ページという
『富国と強兵』に匹敵する大作でございますよ。
(↓)版元も『富国と強兵』と同じ東洋経済新報社です。
し・か・し。
2017年、また新たな等式が生まれそうな気配が。
1月20日に行われる
ドナルド・トランプの大統領就任式について
実行委員会の委員長を務める
トム・バラックという人物が
就任式の内容をめぐり
先日、こんな発言をしたのです。
いわゆる世界的な有名人を集めて
新大統領を取り囲んでもらうのではなく、
あの場所(注:ワシントンDC)が持つ
柔らかい官能で包み込もうと思っているんだ。
ヾ(℃゜)々\(◎o◎)/?!?柔らかい官能?!?\(◎o◎)/(?_?)エ?
バラック委員長、つづけていわく。
即位式につきものの
サーカスみたいなお祝い騒ぎをやるんじゃなくて
詩的な律動が効いたものにするんだ。
それが新大統領の望みなんだよ。
貢献するものになると思う(注:何に貢献するのかは不明)。
美しい仕上がりになるだろう。
律動の本質は「仕事に戻るぞ」というものなんだ。
ヾ(℃゜)々\(◎o◎)/?!?詩的な律動?!?\(◎o◎)/(?_?)エ?
BBCなどすっかり面白がって
字幕でこうツッコミを入れています。
「柔らかい官能」と聞いて何を連想する?
ひょっとして大統領就任式かな?
ワシントンDCが官能的だって言われたのは前代未聞だよね?
もうしばらくすれば、就任式がどれくらい「詩的」で「官能的」か分かるってものだよ。
まあ、アメリカ(およびフランス)をコケにするのは
イギリスの国民的娯楽ですので
その点は割り引いたほうがいいのですが
だとしても、柔らかい官能なんだそうです。
ここには
柔らかい官能×詩的な律動=トランプ就任式
という数式が見られる。
そして柔らかい官能はワシントンDCの特徴らしいので
これは
柔らかい官能×ドナルド・トランプ=アメリカ再生
とも表現できるでしょう。
となるとドナルド・トランプは
アメリカ再生を柔らかい官能で割ったもの、ということに。
ここで思い出されるのが
1960年代末に人気を博したアメリカのロックバンド、
ザ・ドアーズのリーダーだったジム・モリスン。
デビュー当時、モリスンは
僕たちのことを、エロティックな政治家と考えてほしい
という名台詞を吐いたのです。
トランプがドアーズのファンかどうかは知りませんが
大統領就任式をめぐるトム・バラックのコメントには
妙にドアーズ的なものが感じられませんか?
実際、ドアーズの最年長メンバーで
バンドのまとめ役だったレイ・マンザレクは
いつかモリスンがアメリカの大統領になる
と(本気で)信じていたとか。
マンザレクは2013年になくなっていますので
今回の「柔らかい官能」発言を聞くことはできないのですが
2017年、政治とセックスの距離はかつてなく縮まっているようです。
しかし真面目な話、
どういう就任式になるのかなあ、これは・・・
ではでは♬(^_^)♬
(↑)この本に収録された「戦後日本の政治的エロス」もどうぞ。
3 comments
GUY FAWKES says:
1月 13, 2017
J・G・バラードのテクノロジーと人間生理との融合と聞くと、
やはり昨今で思い浮かぶのは昨年日本でも公開されたされた『ハイ・ライズ』と
私の大好きな鬼才デヴィッド・クローネンバーグによって映画化され賛否両論が飛び交った『クラッシュ』でしょうか。
さしずめ「トランプタワー(ハイ・ライズ)の周りで交通事故に快楽を見出す(クラッシュ)政権」?
寧ろ日本の場合は『太陽の帝国』かもしれませんけど…(苦笑)
しかし、セックスと政治の距離が縮まってはいてもテロとグローバリズムへの反動が高まる現在においては
その果てにあるのはエロスではなくタナトス(死への欲動)の様な気がしてなりません。
SATOKENJI says:
1月 13, 2017
『太陽の帝国』はむろん日本のことですが、
じつは音の上でも「大日本帝国」との語呂合わせになっているのです。
英語で発音すると・・・
・太陽の帝国 エンパイア・オブ・ザ・サン
・大日本帝国 エンパイア・オブ・ジャパン
さすがJ・G・バラード。
玉田泰 says:
1月 24, 2017
柔らかい官能?全く意味が分かりません。むしろあの就任式は乾いてギスギスしていたのでは?ジム・モリスンが官能的だというのは分かる気がしますが。トランプは官能的というよりただ淫乱なんじゃないですかね?例のロシアでのスキャンダルも、ただヤりたいだけというマッチョイムズな感じで…。
本能の赴くままという意味では、トランプ政治とセックスの距離は縮まっているのかも知れませんね?
(本来の意味での官能ってもっとシステマティックなもののような気がしますが?)