そしてもちろん、こちらもどうぞ!
習近平にとって妙に都合の良い結果となった米中首脳会談や、
習近平が黒幕となって実現させたとしか思えない米朝首脳会談が
世界の注目を集めたせいもあって
6月の終わり、イマイチ影が薄くなっていたのが、ご存じイラン情勢。
G20に関する報道を見ても、取り上げられた形跡は乏しい。
まして6月12日〜14日、
米国極東現地妻が仲介役か何かのつもりで
テヘランに乗り込んだはいいものの
みごとに相手にされず帰ってきたことなど、
もはやたいていの人が忘れているでしょう。
しかし7月に入って、
こちらも不穏な感じになってきています。
まずはこれ。
イラン、低濃縮ウラン貯蔵量の上限突破 15年核合意に違反
(ロイター、2日配信)
国際原子力機関(IAEA)は1日、
イランの低濃縮ウラン貯蔵量が
2015年の核合意で定められた上限を超えたと明らかにした。
イラン側も同日、上限を超えたと発表した。
ちなみに上限は202.8キロだったとか。
つづいてこちら。
ウラン濃縮上限超過に着手 イラン、核開発拡大を警告
(共同通信、7日配信)
イラン政府は7日、イラン核合意の一部履行停止の第2段階として、
合意に定められたウラン濃縮度の上限超過の作業に着手したと発表した。
政府筋によると、原発燃料並みの5%前後に濃縮度を高める方針。
欧州などが要求に応じない場合、
イランは60日後に第3段階の措置を取ると警告、核合意の崩壊が懸念される。
こちらの上限は3.67%だったそうですが、
8日には突破したという発表されました。
核兵器用のウランは90%以上の高濃縮でなければなりませんが
20%まで上げる技術は
90%に上げる技術に近いのだとか。
のみならず。
ウランは3・67%から90%まで濃縮するには1年以上かかるが、
濃縮度が上がるほど濃縮しやすくなる。
濃縮度が20%でも初歩的な核爆弾の製造は可能だ。
また、ウラン濃縮の過程では、濃縮度が4%程度に達した段階で、
濃縮度90%に向けた作業の約3分の2は完了しているといわれ、
核爆弾を製造するのに必要な時間である
「ブレークアウト・タイム」が一気に短縮する恐れがある。
むろん、アメリカも黙っていない。
7月1日、ポンペオ国務長官は声明を発表、
ウラン濃縮にかかわるプロセスをすべて停止せよと要求。
長官いわく、
より包括的な核合意に向けて協議を行う用意はあるが、
イラン側が外交を退けている。
なるほどハメネイ師は6月13日、
安倍総理と会った際にこうツイート。
トランプからのメッセージ云々について言えば
あの男は対話に値する相手ではない。
彼に言うべきことはなく、よって返答はない。
ただしトランプも6月14日、
率直に言って、
今は対話について考えるのさえ時期尚早だ。
向こうはその準備ができていない、
こちらだってそうだよ!
とツイートしていますので、
「協議を行う用意がある」は少々怪しいのですが。
ポンペオ長官は7日、
イランがウラン濃縮度引き上げに着手したことを受けて
「より一層の孤立と制裁を招くだろう」とツイート。
トランプもニュージャージーの空港で
「イランは気を付けた方がいい」と述べたそうです。
いよいよ激突しそうな感じではありませんか。
6月30日に金正恩と握手したのも
ハメネイ師+ロウハニ大統領との対決を見越してのことか?
・・・その可能性も、むろんあります。
とはいえ、ここで考えておくべき点がある。
2018年はじめまで、
アメリカと北朝鮮は罵倒合戦を展開していました。
わが国でも「今年は米朝で戦争が起きるかも知れない」と
真剣に心配する声が少なくなったのです。
が、フタを開けてみれば6月に首脳会談が行われ、
トランプは金正恩と「恋に落ちた」などと言い出す。
今年2月の第二回会談は物別れとなりましたが、
6月30日の第三回会談で(とりあえず)仲直り。
他方、罵倒合戦から一転して
第一回米朝会談が行われた前後から本格化したのが米中通商対立。
これもどんどん激しくなってゆき、
G20サミットにおける米中会談についても
折り合えないのではないかという見方が目立ちました。
つまりは追加関税の発動です。
それもそのはず、
中国外務省の耿爽報道官は
会談の二日前、6月27日の時点でこう述べていたのです。
中国人は、追加関税の脅しには屈しない。
我々はまやかしの議論は信じないし、
圧力を恐れてもいない。
そのような小細工は我々には通用しない。
が、フタを開けてみれば
通商対立で優位なはずのアメリカのほうが譲歩する顛末に。
どちらの場合も、
全面対決かと思わせておいて、土壇場でふいに手打ちする
という展開になっています。
北朝鮮との非核化交渉など
ニューヨーク・タイムズとウォール・ストリート・ジャーナルの二紙が
先週そろって
すでに保有している核やミサイルについては認めるかわりに
これからの核・ミサイル開発を凍結させるという
大幅譲歩案が政権内で検討されている
と伝えたほど。
つまりは実質的な核保有容認です。
だが、ちょっと待て!
チビのロケットマンだの
炎と怒りをお見舞いしてやるなどと
さんざん罵倒していた北朝鮮について
実質的な核保有容認に踏み切るとしたら
イランとの対立だって
土壇場でどういう方向に転ぶか分からない、
そう考えるべきではないか?
「それでも私、ご主人様と立場を完全に一致させるわ」(※)お姉さまのお言葉です。
実際、この視点に立つとき
イランをめぐる最近の情勢には
北朝鮮と妙に似通った点が見られる。
どうぞ。
〈類似点A〉
・5月4日および9日、北朝鮮は短距離ミサイルを発射したが
トランプは5月26日、「オレは気にしないね」とツイートした。
・6月20日、イランはアメリカのドローンを撃墜したが
トランプは翌日、「軍事攻撃を承認したが10分前に中止させた」とツイートした。
〈類似点B〉
・6月20〜21日、金正恩は習近平と会談、「緊密な戦略的対話」を行った。
習近平は「国際情勢がどのように変化しても、
中国は朝鮮半島問題の政治的解決と永続的な安定の実現を目指す
北朝鮮の努力を断固として支持する」と述べた。
・6月14日、ロウハニは中央アジアのキルギス(※)で習近平と会談した。
習近平は「国際情勢の変化にかかわらず、
中国はイランと協力し、包括的な戦略的パートナーシップによる
両国関係の安定的発展をさらに促進する用意がある」と述べた。
(※)同国の首都ピシケクで「上海協力機構」首脳会議が開かれたため。
これは中国、ロシアなど8ヶ国で構成されるが、ロウハニはオブザーバーとして参加した。
〈類似点C〉
・6月23日(=習近平が平壌を去った二日後)、
朝鮮中央通信は金正恩がトランプからの親書を受け取り、
「内容を真剣に検討する」と語った旨を写真入りで報じた。
・7月3日(=ポンペオが「協議する用意がある」と言った二日後)、
イラン国営テレビはロウハニのスピーチを抜粋して放映したが
そこで彼は、欧州と米国にたいして「合理的なアプローチに戻ることや
交渉のテーブルにつくこと」を勧告したと語った。
要約すれば以下の通り。
1)軍事的挑発を行ってもアメリカが対処しない。
2)習近平の影が見え隠れする。
3)対話を模索する手つきがうかがえる。
そして中国は北朝鮮のみならず、
イランとも友好関係が深い。
ついでに国連安保理常任理事国なので、
イランをめぐる核合意にも参加している。
6月30日の米朝サプライズ会談が
習近平のお膳立てによるものだとしたら
今後、アメリカとイランの間にも
習近平のお膳立てによって
同様のサプライズ会談がありうるのではないでしょうか?
7月1日の記事
「G20サミットの総括、または習近平がトランプをハメたうえ、
なんと土産まで持たせた話。」で私は、
通商問題でトランプに譲歩させた見返りとして
習近平はイラン問題をめぐり、
たとえ武力衝突になってもアメリカを非難しない
という約束をしたのかも知れない
と書きました。
しかし考えてみれば
あわや武力衝突かという土壇場になって
イランと手打ちしてみせるパフォーマンスに協力するほうが
見返りとしてはさらに有効。
戦争を本当におっぱじめるより、
緊迫感を煽るだけ煽って
ギリギリで戦争を回避してみせたほうが
トランプの外交的な得点は高くなるからです。
言い替えれば、2020年大統領選で再選されるチャンスも高まる。
「う〜ん、やっぱり大国の指導者は爽快さが違うわね」(※)お姉さまのお言葉です。
アニメから sayaさんの熱唱まで、豪華絢爛たるプロモーション動画はこちら!
要するにトランプは究極のマッチポンプ野郎で、
たいする習近平は究極の黒幕野郎なのではないかということです。
わが国の保守派には
トランプ様はきっと習近平をぶちのめして下さる!
という現地妻根性丸出しの夢にひたる傾向がありますが、
どうしてどうして、
あの二人、あんがい相性が良いのかも知れませんよ・・・
マッチポンプを見抜くために、読むべき5冊はこちら!
ではでは♬(^_^)♬
6 comments
GUY FAWKES says:
7月 9, 2019
>戦争を本当におっぱじめるより、緊迫感を煽るだけ煽ってギリギリで戦争を回避してみせたほうが〜
>要するにトランプは究極のマッチポンプ野郎で、たいする習近平は究極の黒幕野郎なのではないかということです。
>わが国の保守派にはトランプ様はきっと習近平をぶちのめして下さる!という現地妻根性丸出しの夢にひたる傾向がありますが、どうしてどうして、あの二人、あんがい相性が良いのかも知れませんよ・・・
まぁ、マッチポンプというより現状を存分に利用して自分をよく見せている(実際で優位に立つとは違う)ので見事なショービジネスマンというか何というか。ただ、トランプさんは何一つ嘘をついてはいないのですよね。
えっ、どういうことなのかって?極東某国の不遜な現地奥様の方々は認知的不協和と歪みきった正気(狂気より総会にタチが悪い)で理解できないか忘却の彼方なのかもしれませんが、彼は何と言って大統領になったのか。
「日米安保の不平等を理由とした条約破棄」!!これがあのシン・ゴジラと君の名は。と『戦後脱却で日本は「右傾化」して属国化する』の3つ(!?)で日本国民全員が大フィーバーだったあの3年前にブチ撒けられ、文字通り右も左も大騒ぎになったのですよ。
つまり、これだけのらりくらりの外交的得点を稼ぎ出すパフォーマンスに秀でたトランプ氏にとって、今まで通り日本を現地妻として飼っておくか、もしくは次の刹那には条約破棄をして在日米軍を全撤退させるか、いずれの選択肢も筋が通っているという仕様。
「話が違うゾ!」とか「筋は通らないゾ!」とか、爽快じゃないことを宣うなよホシュの方々。
命を乞う時のコツは精々「如何に相手を愉しませるか」もしくは「その相手を納得させるだけの理由を述べる」ことだけ。
少なくとも、アカデミズムの限界に絶望し、実際の官僚政治にも干された孤独な評論家は令和改元以来ずぅーっと戦い続けてるゾ。
ノータリンの私でも理解できた経済教室だ、上述の5冊と合わせて一緒に勉強しようや。
https://www.amazon.co.jp/全国民が読んだら歴史が変わる奇跡の経済教室【戦略編】-中野-剛志/dp/4584139067/ref=pd_ybh_a_4?_encoding=UTF8&psc=1&refRID=Q3HTC4RQDVEPN921PKER
富田師水 says:
7月 9, 2019
この説が正しい匂いがしますね。
そもそも米中ともに核保有国なのです。
真剣に争う所まで行くはずがないと思える。
それならば国際社会を騙しまくって最後は手打ちという形式を取るプロレスをしていた方が良いに決まっています。
その間で現地妻になんらかの圧迫や被害が出るでしょうが、超大国にとってはもはやそんなものは考慮にすら値しないでしょう。
なぜなら、30年前と違い、現在の現地妻が国際社会に占めるプレゼンスは、
長期の緊縮により激烈に低下しており、存在感なんて皆無に等しいからです。
豆腐メンタル says:
7月 9, 2019
トランプに限らず、本心を隠す人に関わると振り回されます。下手すれば二度とない時間を浪費し後悔先に立たずなんてことも。
彼はそういう演出に長けている。アメリカのショービジネス仕込みですか。
多かれ少なかれ政治家とはそういうものだよ的納得も出来ない訳ではないのですがね。国際政治の極でそういう手法。。
結果オーライならまだよい。しかしこの疑わしさをどう判断するのか。
やはり「熱さ(暑苦しさ)」でしょうか。
トランプも例外でなく、彼自身が熱いのではなく熱さを演出している。政治を見世物のようにショー化している。そう見えます。統治は形骸化していると感じます。
で、相変わらず残念なのはこの見世物政治を完全一致リスペクトする国?なんですが。
やる気あんのか。このバカ泣笑
Chihiro says:
7月 10, 2019
保守派のおじ様達が大好きなこのエピソード
佐々木某「毛主席!先の大戦では日本が中国人を○しまくってスミマセンでした」
毛沢東「何も謝ることはない。日本軍国主義は中国に大きな利益をもたらしてくれた。これのおかげで
中国人民は権力を奪取できた。日本軍なしでは不可能だった」
この話には本来続きがあることを永らく戦後保守は気付いていない。
佐々木某は本来これに対しこう答えなければならなかった。
「こちらこそ毛主席に感謝しています。毛主席が蒋介石を台湾に追い落としてくれなかったら今の
アメリカの同盟国(現地妻)としての日本はありませんでした・・・・・・」
悪い中国や悪い北朝鮮が無くなる日が、現地妻が捨てられる日というのを忘れてる人が多すぎます!
これが本当のwgip!
マゼラン星人二代目 says:
7月 12, 2019
>今後、アメリカとイランの間にも
>習近平のお膳立てによって
>同様のサプライズ会談がありうるのではないでしょうか?
だからといって、イラン問題を投票基準からはずすわけにはいかない。
参照; https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47215960Q9A710C1MM8000/
斑存・フォード says:
8月 1, 2019
(歴史、社会科では赤点だった無知のワシの妄想でしかないので松井知事式切り捨て必至の書き込みですントン。でももう一度この頁を読んで笑って落ち着きたい。)
トランプさんって不動産業界人なんで、ブッシュ・ドノエルファミリー等のやってきた独裁政権叩きで石油利権を盗む擬似戦争政策なんて甘利興味無い気がしてなりません。「わしゃ石油商売利権なんてイランねんっ!」グローバル業界人に仕方なく頼まれて日本を間に挟み込んだのではないか。
話は逸れますが、近々また北朝鮮の擬似ミサイル(新型などと原稿には書かれていたようです)跳ばし映像と金氏の映像が流れていました。
見たときは気付かなかったのですが頭の中でその映像を思い出し考えていたら、あの発射と金氏の映像は相当昔の映像だった気がしてなりません。それを今の映像として新型だと詐称していた疑義が濃厚に思えてなりません。金氏の映像もまだ少し若かりし頃に(私頭で思い返す限り)みえました。
最近残念なのはサイバーテロを謀る部屋の映像が出なくなってしまったことです(あのパソコンだけ持ち込んだ白い部屋でサイバーテロだと称した情報はワシの頭の中では世界の七不思議のひとつだったのにントン)。
と、そんな妄想を考えたからって何に成ると言うのでしょうか。しかし金くんはそんな独裁サディスト世代には思えなく、俺だって宮迫、亮くん等のギャグを目の当たりに観て笑いたいんだっ!大盤振る舞いしたいんだっ!の世代に思えてしまうのです。チビのロケットマンの愛称も案外気に入ってそうです。
無茶苦茶ですね。すみませんでした。(しかし日本政府の増税対策も凄まじく複雑過ぎて腸捻転、何してんねん、熱すぎるねん、君は天然色?、200%無茶苦茶でしかありませんね。)