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1954年、福田恆存は「日本および日本人」という評論で

次のように述べました。

 

(近代日本、とくに戦後日本には問題も多いが)

人と人とが信じ合うという美徳は、

まだどこの国にも劣らず残っていると思います。

裏から言えば、お人好しです。

 

だが、私が心配するのは、

そういう自信

(注:日本人としてのアイデンティティにたいする誇り)を持たずに、

このまま混乱の流れに押し流されつづけていると、

お互い同士が信じられない状態が来るのでないかということです。

日常生活においても、

芸術や政治の世界においても、

すべての表現法、

すなわち、人と人との接触法というものが疑われだしてきはいないか。

(『日本を思ふ』、22ページ。原文旧かな、表記を一部変更)

 

人と人とが信じ合うのがなぜ重要か。

美徳だから、ということもありますが

より根本的には

そのような信用なくして

長期にわたる協力関係は成立しないためです。

 

これは経済学における「信用」の意味を考えると分かりやすい。

ここで「信用」は

給付と反対給付との間に時間的なずれのある交換

と定義されます(広辞苑)。

 

要するに後払いですが、

これはつまり

自分が提供した財やサービスについて、

今すぐ支払いを迫らなくてもいい

と安心できること。

 

だから「信用」は、一般的な用法でもこう定義される。

現在の行為から考えて、

将来必ず義務を履行するだろうと推測し信認すること

(ふたたび広辞苑)。

 

もっと拡張すれば、こうなります。

相手は自分の利益を尊重して

行動してくれると推測し信認すること。

 

この推測や信認なくして

長期にわたる協力関係が築けるはずはない。

 

それはもちろん、契約というものはありますよ。

しかし信用できない相手

(=裏切って義務を履行しない恐れがあると思われる相手)と

そもそも契約を結びますかね?

 

その意味で信用こそ、社会の発展や繁栄の基盤。

根深い政府不信にもかかわらず、

戦後日本が(昭和の間は)発展をつづけたのも

「人と人とが信じ合うという美徳」が

根強く存続していたことと無縁ではないでしょう。

 

実際、一昔前まで

この美徳は海外でも有名でした。

 

30年前、MITの大学院に留学したときの話ですが

オリエンテーションの席で担当者が

「東京では街中で財布を落としても、

誰かが拾って追いかけてきてくれると聞くけど、

アメリカではそういうことは起きないからね」

真顔で言ったくらいなのですぞ。

 

しかし、そこはそれ。

政府不信をテンプレにしたうえ

アメリカ化を目標に掲げた国で

そうそういつまでも

人と人とが信じ合うわけがない。

 

福田さんがいみじくも「お人好し」と形容したように

「今だけカネだけ自分だけ」の価値観を持った者にとり

財やサービスを提供しながら支払いを迫ってこない相手

相手は自分の利益を尊重して行動してくれると信じる相手

ずばり最高のカモなのです。

 

というわけで、かんぽ生命。

 

今回の不正問題は、

かんぽ生命の保険商品のうち

約9割の販売を担当する日本郵政の職員

(つまりは郵便局員)が

高齢者にたいし、不利益となるような契約を強引に迫っていた

というもの。

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手口は以下の二つと言われます。

1)新規契約を結んだのに、もとの契約も半年残しておき、

保険料を二重に払わせる。

半年以内に解約されると、新規契約が営業ノルマにカウントされないため。

 

2)現在の契約を解約させ、空白期間を三ヶ月つくっておいて

四ヶ月目に新契約を結ばせる。

解約後三ヶ月以内の新規契約は、例によってノルマにカウントされないためですが

空白期間中は保険がなくなるうえ、

高齢による病気を理由に新契約が成立しない事例が続出した。

 

不正契約の数は、

当初、少なくとも2万3000件と言われましたが

7月10日の段階で9万3000件に4倍増。

7月31日になると

2014〜2018年度で18万3000件と、

はじめの8倍に達しました。

 

三回つづけて、

1万以下の端数が「3000」なのが注目されますが

この手の話の常として、さらに増える恐れが強いと思われます。

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7月9日まで2000円をつけていたかんぽ生命の株は

10日に100円近く急落。

現在はさらに落ちて、

8月5日の終値は1672円です。

関連データこちら。

 

8月末まで保険商品の販売を自粛するとした日本郵便は

7月27日、

9月以後も自粛を継続するところまで追い込まれる。

のみならず他の保険商品についても

郵便局での販売を自粛する意向ですが

アフラック生命保険が難色を示しているそうです。

関連記事こちら。

 

「爽快かどうかはともかく、末期的なのは確かね」(※)お姉さまのお言葉です。

 

で、この顛末をどう見るかですが・・・

 

私に言わせれば

これは新自由主義に基づいたオレオレ詐欺の一種なのですよ。

 

まず新自由主義から。

かんぽ生命はもともと、

1916年に逓信省が創設した簡易保険がルーツです。

 

戦時中(1938〜1942年)は厚生省の管轄でしたが

その後、逓信省/郵政省がふたたび担当。

つまりは長らく政府の事業だったわけですが

2007年の郵政民営化によって

「株式会社かんぽ生命保険」となりました。

 

しかし新自由主義といえば

市場原理を信奉するあまり

「今だけカネだけ自分だけ」に陥りやすい理念。

 

ついでに政府事業の民営化は

より効率的な経営(つまりは利潤の追求)を目的になされるので

ノルマがきつくなっても不思議はありません。

 

けれども長らく政府の事業でしたし、

郵便制度は基礎インフラの一つ。

いかに政府不信がテンプレの日本とはいえ

人と人とが信じ合う美徳が生きていた時代をおぼえている世代、

つまり高齢者が「地元の郵便局員」を信用するのは

自然のなりゆきでしょう。

 

だが、ここで郵便局員が

相手を信用して不利な契約を結んだあげく

損をするのは自己責任

という新自由主義的発想を持っていたらどうなるか。

ずばり、カモがうようよということになるのです。

どうぞ。

 

かんぽ不正契約問題 被害者が語る“郵便局員の押し売り実態”

(女性自身、7月4日配信)

 

私の姑も信頼していた郵便局員に騙され、

一時は月に30万円以上もの保険料を、

かんぽ生命に支払っていたことがありました。

 

という主婦A子さんの体験談ですが、話はこう続く。

 

保険といえば、郵便局か農協で加入するという

地方出身の義理の両親でしたので、

郵便局への信頼は厚かったのです。

郵政民営化以前は郵便局の簡易保険に加入していました。

また頻繁に自宅へ顔を出してくれる

地元郵便局の担当者・X氏のことも、とても信頼していたのです。

元の記事こちら。

 

その結果、A子さんの義母は

言われるままに次々と保険を契約、

保険金の支払いで生活が困窮する事態に。

 

支払総額は2000万円に及び、

保険の乗り換えを繰り返したことによる損失も

600万円近くに達したとか。

 

真相を聞かされた義母は

「そんなこと知らなかった」と泣き崩れたそうですが、

こんな事例が数十万件単位で起きたのですから、

今後わが国では

郵便局員を見たら詐欺師と思え

という価値観が急速に広まるでありましょう。

 

かんぽ生命のみならず、

郵政事業という基礎インフラの信用が

こうして失墜する次第。

 

・・・あ、もっとも。

現在のわが国では

そのような信用のさらなる喪失が起きても

みんな、大して気にしないかも知れません。

 

政府不信の原則を突き詰めれば

こんな政府など信用するのはする方がバカ

という話になるからです。

 

実際、最近の政治家(政府首脳を含む)の言動は

どうせお前ら、政府なんか信用していないんだろう?

だったら嘘をついたり、暴言を吐いたりして何が悪い!

真面目に怒るほうがバカなんだ!

という居直りの産物と考えると、

じつにスッキリ理解できる。

 

で、国民は政府を信用していないがゆえに

そうやって居直る政治家に

むしろ爽快な魅力を感じる次第。

 

「爽快だわ、なんて爽快なの! もうイッちゃいそう!」(※)お姉さまのお言葉です。

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福田恆存さんの表現にならえば

政治家と国民が互いに信じ合おうとせず

それゆえにこそ馴れ合うという悪徳

といったところですが

そんな国を待ち受ける末路がいかなるものかは

あえて申し上げません。

 

ただし最後に面白い点を一つ。

 

郵政民営化については、

アメリカからの強い圧力があったことが知られています。

しかるに現在、

郵便局での保険商品販売自粛に難色を示しているのは

外資系のアフラック生命保険。

なにせアフラック(AFLAC)とは

American Family Life Assurance Company の略なのです。

 

はたしてこれは偶然か?

 

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ではでは♬(^_^)♬