みなさん、

「チャイナ・シンドローム」という言葉をご存じでしょうか。

 

1979年につくられた同名のアメリカ映画にちなんだもの。

この映画、原発の重大事故を扱っているのですが、

そこに出てきた言葉です。

 

かりにアメリカの原発で

核燃料がメルトダウンを起こし、

原子炉から漏れたとする。

その場合、

高熱によって燃料はどんどん地中に沈んでゆき、

ついには地球の反対側、

つまり中国までたどりつくのでは?

というわけで、チャイナ・シンドロームなのです。

 

むろんフィクションですよ、これは。

 

メルトダウンによって核燃料が漏れたとしても

(これはメルトスルーと呼ぶそうです)

地球の反対側まで行くことはありません。

かりに行ったとしても、

北米から見た〈地球の反対側〉は中国ではありませんし。

 

とはいえチャイナ・シンドローム、

しっかり流行語になりました。

なぜかと言うとですな、

映画が公開された直後に

スリーマイル島の原発事故が起きたからなのですよ。

 

手元にあるビデオ・DVDガイドブックでも

「チャイナ・シンドローム」は星5つ(満点)になっています。

 

しかし・・・

事実はフィクションより奇なり。

 

天津の爆発事故もそうでしたが、

世界経済のメルトダウン、

ないしメルトスルーを引き起こすかのような株の暴落は、

まさにチャイナ・シンドロームではありませんか。

 

違いと言えば

1979年のチャイナ・シンドロームは

アメリカで始まり、中国に行き着くことになっていたのにたいし

2015年のチャイナ・シンドロームは

中国で始まり、アメリカをはじめ各国に行き着いたこと。

 

かつて毛沢東は

東風圧倒西風(東風が西風を圧倒する)

と語ったことがあるものの

まさにそんな感じです。

 

次はどんな東風が吹くか?

イギリスの「エコノミスト」は

株価の乱高下から

中国経済の実態を見定めようとしないほうがいい。

8%の下落が続こうと

そう心配する必要はないのだ。

と、かなり楽観的な見通しを述べています。

 

記事全文(英語)はこちら。

 

それなら、ひとまず安心というところですが

はたしてエコノミストの分析通りになるか。

しばらくは中国から目が離せません。

 

ちなみに「東風圧倒西風」

〈社会主義が資本主義を圧倒する〉という意味によく解釈されますが

じつは違うそうです。

というのも毛沢東、

モスクワで中国人留学生相手にこう言ったらしい。

 

ならば東風が中国なのはいいとして、

西風はソ連ということに。

社会主義陣営内部での主導権争いを反映したフレーズだったんですね。

ではでは♬(^_^)♬