まずはいろいろ告知を。

おなじみ sayaさんがこの日曜日、

「激論! サンデーCROSS」に出演することになりました。

私とやった4月のトークライブがきっかけだった模様。

 

じつは番組の関係者が見に来ていたのです。

 

たしかに今や、たいていの保守系言論人より優秀だからねえ。

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しかも通しゲスト。

番組冒頭から出てきます。

 

テーマは死刑制度の是非。

電話で相談を受けたので

番組の流れについて説明したついでに

このテーマについても話し合いました。

 

面白くなりそうですよ。

みなさん、ぜひ見てあげて下さい!

 

それから5月10日には、

お勧めしたい本が2冊出ました。

 

まずは文藝春秋より、

文庫オリジナル『世界史一気読み 宗教改革から現代まで』。

 

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宗教改革からトランプ、シリコンバレーまで

過去500年あまりの歴史から

さまざまなトピックを取り上げたアンソロジーですが

私と中野剛志さんの論考がそろって収録されています。

 

古典を読み解く天才と、宇宙から俯瞰する賢人(どちらもⒸ平松禎史)。

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私が論じたのは、近代主権国家誕生の契機となったウェストファリア条約。

中野さんはフランス革命を取り上げました。

 

正直、これだけでも読む価値十分だと思いますが

他の方々も面白いテーマを取り上げていますよ。

帯の裏に一覧があるのでどうぞ。

 

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他方、角川新書からは

施光恒さんの新著『本当に日本人は流されやすいのか』が刊行されました。

 

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聡明で好感度抜群(ふたたびⒸ平松禎史)の施さんです。

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わが国の改革論議では

日本人も「個」をもっと確立しなければ

という議論がよくなされます。

 

日本人は集団主義的で

権威に弱く、

ゆえに時代や社会の雰囲気に流されやすいらしい。

 

そんなことでは国は立ちゆかない!

改革によって、より個人主義的で主体的にならねば!

・・・そんな話になるのがお定まり。

 

しかし、本当にそうか?

冷静に考えてみましょう。

 

日本の「改革」ブームは

構造改革(1990年代後半〜)から数えてもすでに20年以上、

行政改革(1980年代前半〜)から数えれば35年あまり続いている。

 

しかるに中野剛志さんが言い切ったとおり、

それらの改革、

とくに平成になって行われたものは

ことごとく失敗に終わったと言っても過言ではない!!

 

にもかかわらず、日本人は改革をやめようとしない。

雨ニモ負ケズ、

風ニモ負ケズ、

でふれ不況ニモ国民貧困化ニモ負ケズ

という感じで邁進しています。

 

かりに日本人が流されやすいのであれば

そんなことはそもそも起こらないのではないでしょうか?

 

・・・というわけで、

日本人の文化的な特徴やアイデンティティを

根底から見直そうとした本。

 

1990年代にヒットしたホラー作品『リング』なども

題材に取り上げられているのが目を惹きます。

 

前著『英語化は愚民化』に続いて

日本の現状や前途に関心のある人は必読と言えるでしょう。

 

さて。

 

5月8日の記事

「自衛隊を国軍にするのは、やはり百年早いかも知れない」

に関連して、こんなコメントが来ました。

 

軍事力を持たない、何より戦う勇気を持てないのなら

拉致問題も解決は出来ないし、核問題に関する発言権も犬の遠吠えレベルでしか持てないと

日本人は認識した方がいいのではないでしょうか。

 

まったくの正論です。

 

5月9日、

アメリカのマイク・ポンペオ国務長官の訪朝にあわせて

北朝鮮は抑留していたアメリカ人

キム・ドンチョルさん

キム・サンドクさん、

キム・ハクソンさんを解放。

関連記事はこちら。

 

ドンチョルさんは2015年、

他の二人は2017年に拘束されたそうです。

関連記事はこちら。

 

これを受けて10日、

トランプ大統領はインディアナ州で演説。

いわく。

 

(北朝鮮との)関係は良好だ。

うまくいけば、我々にとって、世界にとって、とても良いことが起きるだろう。

大きな成功になると思う。

 

オバマ前大統領は人質のため18億ドル(約1900億円)も支払った。

昨晩見たように、3人の人質が敬意をもって解放されたが、我々は何も支払わなかった。

首脳会談もセットされた。

世界のために、北朝鮮、韓国、日本、中国のために、

我々は大いなる取引(ディール)を行う。

関連記事はこちら。

 

気炎をあげていますが

問題はこのディールに拉致問題解決が含まれているかどうか。

 

なにせ金正恩は、

国辱の日4・27Ⓒの南北会談で

文在寅大統領が「日本は拉致問題の解決を求めている」と語ったのにたいし、

こう答えたと伝えられます。

韓国やアメリカなど、周りばかりが言ってきているが、なぜ日本は、直接言ってこないのか。

関連記事はこちら。

 

そりゃ正論だ!

日本だって、とりあえず主権国家じゃないか。

本当に自国民を取り返したいのなら

自分で言うのが筋だろうに。

 

金正恩、技あり一本!!

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ちなみに報道によれば政府は

金委員長の発言の真意を慎重に見極めることにしている

とのことですが

ハッキリ言いましょう。

タコ話もたいがいにしてくれ。

 

見極めるべき真意がどこにあるんですかね?

 

他国に頼むようなセコい真似をせず

ちゃんと正面から来たらどうだ。

それだけのことですよ。

 

ところが日本は今まで

実力行使する意志も能力もないくせに

「対話のための対話には意味がない」などと言って、

強腰の態度に出てしまった。

 

今さら、北に対話を求めるのは

それ自体が頭を下げるにひとしく

つまりは外交的敗北。

 

ついでに国辱の日4・27Ⓒの会談で

拉致問題解決は「過去の清算」とワンセットにされたはず。

要するに高くつくということです。

 

問題解決の見返りとして

賠償的性格を持つ経済援助はもとより

技術協力を求められたらどうするんですかね?

 

先端技術のほとんどは、軍事転用が可能。

つまりは拉致問題の解決をめざすことが

日本の安全保障を脅かすことだってありうるのです。

 

そうなったら、保守派はどうするつもりなのか?!

 

だいたいトランプだって

朝鮮戦争の正式終結や

朝鮮半島の非核化といった

ノーベル賞級の手柄が目の前にちらついているはず。

 

そんなとき、

本来自国で解決して当たり前のはずの問題について

いちいち泣きついてくる国家指導者がいたとしたら

内心、ウザくなるのが自然じゃないでしょうか?

 

うるせえ、シンゾー!

オレはノーベル平和賞がほしいんだ、分かっているのか?!

てめえの国の国民ぐらいてめえで救い出せ、

オレはちゃんとやっただろうが!!

という話です。

 

5月10日、トランプは安倍総理との電話会談で

北朝鮮問題をめぐる日本の役割は大きいと述べ、

わが国を「ビッグ・プレイヤー」と形容したそうですが

これだって、正直いささか不吉。

関連記事はこちら

 

ビッグ・プレイヤーとは、つまり大物。

他のプレイヤー、

とくにスモール・プレイヤー(=雑魚)の頼みを

聞いてやることはあっても

ビッグ・プレイヤーのほうから

他のプレイヤーにあれこれ頼むことは

常識的に言ってありえません。

 

裏を返せば、日本をビッグ・プレイヤーと呼ぶのは

拉致問題など頼んでくるな、ということではないのか。

 

おまえの国も大国ヅラしたいんだったら

自分のことは自分でやれよな。

ああ、それからアメリカに代わって

北朝鮮に経済援助してやれよ、

どうせ「過去の清算」をする必要があるんだろう?

ついでにFTAもよろしくな!

 

これがトランプの真意かも知れないのです。

 

ところがお立ち会い。

こういう議論をすると

保守派界隈(の一部)からは、こんな反応が見られる。

 

それは想像の話じゃないか、そんな話をするな!!

 

・・・言っちゃ何ですがね、

これが想像の話だったら

強固な日米同盟のもと、日本が国際社会をリードして北朝鮮を譲歩に追いやった

などという言いぐさはどうなるんですか。

ずばり妄想の話でしょうに。

 

しかし保守派が上述の言いぐさに文句をつけた形跡は

私の見るところ皆無。

これは何を意味するのか。

 

そうです。

自分にとって都合の悪いシナリオと見るや

どうしようもない形で眼前に突きつけられるまで

「想像」だの「仮定の話」だのと言い張って

ひたすら直面するのを拒んでいるのです。

要するに、全力で逃げまくっている次第。

 

とはいえそんなありさまで、

現実に対処することができるのか?

日本再生は果たせるのか?

 

問うだけヤボってものでしょうが。

 

「なるほど、これが認知的不協和に基づく現実逃避ってヤツなのね」

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実際、聞いた話によれば

今や保守派の中には

6月12日に開催が決まった米朝会談について

日本は置いてきぼりがいいという主張すら見られるとか。

 

蚊帳の外にいるほうがいいんだ、

だから蚊帳の外に置かれたって

ホントは蚊帳の外じゃない!!

 

・・・圧倒的です。

感嘆のほかありません。

 

保守派の真実が

1)現実に対応できない。

2)現実を説明できない。

3)真に日本の取るべき道を示すことができない。

というものであることは

ここ数年、明らかになってきていたものの

認知的不協和のレベルが一気に上がったのではないでしょうか?

 

日本再生の第一歩、

それは保守派が「われわれは現実を直視している」だの

「主流メディアは信用できない」といった口実のもとに引きこもる

憂国・愛国お花畑を焼き払うことだ、

そんな気すらしてくる今日この頃でした。

 

最後に一言。

トランプの「ビッグ・プレイヤー」発言ですが、

英語で検索してみたところ

毎日新聞の英語版しかヒットしませんでした。

海外メディアからは、みごとにスルーされているようです。

 

でも、保守派はそれでいいはず。

いや、そうでなければいけないはずなのです。

だって、置いてきぼりのほうがいいんでしょう?

違うの?

 

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ではでは♬(^_^)♬

 

(おまけ)

「激論! サンデーCROSS」デビューを祝って、sayaさんの画像をもう一点どうぞ。

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