エドマンド・バークは
こんなことを述べています。
政策のよしあしは、やってみなければ分からないものであり
理屈ではどうにもならないところがある。
完璧に計画され、成果もあげていた政策が
無残な失敗に終わることは珍しくない。
ごくごく些細で、無視してもいいだろうとぐらいに思われていた問題が
国の命運を左右する大問題に化けたりするのだ。
これってつまり、
世の中に正解はない、ということなんですよね。
現在の時点で
これは絶対に正しい! とか、
これは絶対にうまく行く! とか思える政策でも
どこでどうコケるか分かったものではない。
だから重大な政策であればあるほど、慎重にすべきだという話になるのですが・・・
バークの言葉を彷彿とさせる記事がありました。
どうぞ。
イラク進攻は「誤りだった」、ブレア元英首相が謝罪 CNN EXCLUSIVE
英国のトニー・ブレア元首相は(10月)25日に放送されたCNNの単独インタビューで、
米国の主導による2003年のイラク進攻について、
「誤りだった」と認めて謝罪した。
ただ、サダム・フセイン元大統領を排除したことは後悔していないとした。
ブレア氏はインタビューの中で、
「我々が入手した情報が間違っていたという事実については謝罪する。
(フセイン元大統領は)国民などに対して化学兵器を集中的に使用していたが、
それは我々が考えていたような形では存在していなかった」と明言した。
(中略)
ブレア氏は情報の誤りのほかにも
「計画の誤りや、政権を排除すればどうなるかという認識の明らかな誤り」
もあったとして謝罪。
ただしイラク戦争についての全面的な謝罪にまでは踏み込まず、
「サダム(フセイン元大統領)の排除については謝罪し難い。
2015年の現代から見ても、彼がいるよりはいない方がいい」と強調した。
(中略)
さらに、欧米の介入についての政治的論争はまだ結論が出ていないと述べ、
「イラクでは介入を試みて派兵した。
リビアでは派兵せずに介入を試みた。
シリアでは一切の介入を試みず、政権交代を要求している」と指摘。
「我々の政策はうまくいかなかったかもしれないが、
それに続く政策がうまくいったのかどうか、私にははっきりしない」と語った。
まさに「正解はない」の見本のような話ではありませんか。
とくに終わり近く、
「イラクでは介入を試みて派兵した。
リビアでは派兵せずに介入を試みた。
シリアでは一切の介入を試みず、政権交代を要求している」
の箇所は傑作。
どれが正しい、ではないのです。
どれも間違っているかも知れない。
しかし、それは何もしないことが正しいことを意味するとは限らない。
このジレンマにどう立ち向かうか、
つまりは正解のない世界で
どこまで間違えずにすむかという点にこそ
指導者の力量が表れるのだと思います。
その際、もっとも警戒すべきことは何か?
お分かりですね。
正解があると錯覚して、とにかく突き進むことです!
ではでは♬(^_^)♬
8 comments
亀吉おじさん says:
11月 2, 2015
西部ゼミナール~東郷先生の欧州はスマホをやりながら同時に自然と文化も大事にしている興味深かった
です~西部先生の古いものアンティークで盛り上がるのもいいかなと英国病になったそうすけど~正解はない
私もグローバル化と叫びつつスマホもやってます無論自撮りの文明猫殿にはかないませんが三橋美智也・フランク永井落語・浪曲~クラシック私は文化芸能は古いものでいいや~でもマッドマックスはよかったしな~~
新宿モード学園から登場したカフェイン的美男子ビートきよし師匠がスティーブンサッカーの着ぐるみを着て
白組の司会も見てみたいし?????表現者買ってまだ読んでないですけど左派を排すも今は右派愛国保守
のお面をかぶった新自由主義者が問題なきもしますし??
頓珍漢 says:
11月 2, 2015
>「誤りだった」と認めて謝罪
日本でも、元首相の立場でしかこの言葉は発してくれないのでしょうか。橋本元首相もそうでしたし。
安倍総理は以前、西部ゼミナールで改革はゆっくりと・・・と発せられていたのに(詭弁だったのでしょうか)、今の総理のステージはまさにフランス革命のようにしか、凡庸な愚民の私には観えません。
数日前今更ながらフランス革命の省察を買いました。総てを理解できる頭は持ってはいませんが今同じような時空に住んでいるような気がしてなりません。(エドマンドさんの本なのか佐藤先生の本なのか判らなくなるようです)
日本語での表現力がないので書き表せません(そんな愚民の私は当然幼児英語教育には反対ですけど、エリート有識者に伝わるわけもない)。
たかゆき says:
11月 2, 2015
正解とは なんぞや♪
誰にとって都合の良い 解かによって
正解はまったく異なるものになるかと。。。
総理は 「経済で結果を出す」よう努力なさるそうですが、、、
大多数の国民にとって 都合の良い結果を出すとは
一言も仰っていませんね。
一部の国民にとって都合の良い 結果を出しても
たしかに 結果、、嘘にはなりません♪
せんべい says:
11月 2, 2015
正解の無い世界でというのはその通りだと思うのですが
右も左も正解があると錯覚して、とにかく突き進むこと
ただ左の方が正解探しというか、正解
だからこそフランス革命が起こったんであって、保守や右派はどっちかという文化や風習や慣習を重んじますが左翼の人達は常に変革を求める人が多いですし
理想主義が高すぎるのは保守より左翼の人達だと思います。
SATOKENJI says:
11月 3, 2015
本来はおっしゃる通りだったのですが・・・
今の日本では「保守」の方が、概して変革志向が強くなっています。
この逆転がなぜ起きたかについては、「愛国のパラドックス」の序論をどうぞ。
次に出る本では、その歴史的背景まで含め、さらに考察する予定です。
ヒカリ21 says:
11月 2, 2015
大学で経済学を学んでいた立場から言わせていただきますと、新古典派の経済学者は「正解があると錯覚して、とにかく突き進む」人間の一典型と言えます。
そもそも「間違っているのは自分達の理論ではなく、現実の方である!だから現実の社会を改革しなければならない!」という思考回路ですから、自分たちの無謬性を信じて疑わないのは当然ですね。
だから金融危機や恐慌とった巨大な現実にさらされても、自分たちに誤りがあったとは思わない。むしろ自分達の素晴らしい理論を適用する改革が足りなかったからだと開き直ります。
安全保障政策の過ちについて謝罪する政治家はいても、経済政策の過ちについて謝罪する為政者や経済学者など(クルーグマンなどを除き)滅多にいません。
博史 says:
11月 3, 2015
>>政策のよしあしは、やってみなければ分からないものであり
理屈ではどうにもならないところがある。
現政権の連中はこの意味を都合よく解釈していますね。
「やってみなければ分からない」
という言葉を、正解があると信じてとにかく突き進む己を正当化する、
または失敗した時の言い訳に使うように。
マゼラン星人二代目 says:
11月 4, 2015
「正解があると信じてとにかく突き進む」のを避け、「正解のない世界でできるだけ間違えずにすむ」ことができればそれに越したことはありません。
とはいえ、それよりも、
間違いがわかったときに、「誤りだったと認めて謝罪」できるかできないかの方が重要ではないでしょうか。(「失敗の否認」は「同じ轍を踏むこと」に繋ります)
ブレアさんにできたことが、どうして今もってわれらが小泉さんや安倍さんにはできないのか、それこそが大きな謎です。