昨日の記事
「米兵が見えなかった女、または北條すずのアイズ・ワイド・シャット」
に関連して、
ある親しい友人から
お前の言う通りだ、
ついでにアイズ・ワイド・シャットにはこんな例もあるぞ!
というURL満載のメールをもらいました。
面白いのでご紹介しましょう。
まずは次の記事をどうぞ。
5月の実質消費支出、前年比0.1%減 過去最長の15カ月連続減
(日本経済新聞、本年6月30日配信)
総務省が30日発表した5月の家計調査によると、
2人以上世帯の消費支出は1世帯あたり28万3056円で、
物価変動を除いた実質で前年同月比0.1%減少した。
衣料品などが低迷し、15カ月連続で前年実績を下回った。
15カ月連続の減少は比較可能な2001年以降で最長記録。
(中略)
総務省は消費支出について「弱い状況ながら回復の動きもみられる」との見方を示した。
最後の1行がすでにアイズ・ワイド・シャットですが
「これこそ最悪だと言えるうちは、まだ最悪ではない」(『リア王』、第四幕)。
さあ、次の記事をどうぞ!
GDP「率直にいい数字」と茂木再生相、新たな経済対策想定せず
(ロイター、本年8月14日配信)
茂木敏充経済再生担当相は14日、
2017年4─6月期の国内総生産(GDP)速報公表後に記者会見し、
「率直にいい数字だと思っている」との認識を示した。
(中略)
「現段階で具体的に新たな経済対策は想定していない」とも語った。
景気については「緩やかな回復基調が続いている」とし、
先行きも「緩やかに回復していくことが期待される」と指摘した。
映画「アイズ・ワイド・シャット」の冒頭を飾った
ショスタコーヴィチ「ジャズ・ワルツ」第2番の旋律が聴こえてきそうではありませんか。
音楽センスに優れたキューブリック監督のことですから
ワルツを使うことで堂々めぐりを暗示したのかも知れませんよ。
ちなみに茂木大臣が取り上げた
4〜6月期のGDP速報でも
とりあえず名目GDPと実質GDPの両方がプラスになったものの
GDPデフレータは前年同期比でマイナス0.4%だったんですからね。
これが「率直にいい数字」なんだそうです。
「アイズ・ワイド・シャット」で有名になった、この曲も追加しようかなあ。
クリス・アイザックの「BABY DID A BAD BAD THING」。
三橋貴明さんも、ブログで呆れていましたからね。
とはいえ!
これこそ最悪だと言えるうちは、まだ最悪ではない。
次の記事をどうぞ。
トランプ米大統領の最側近バノン氏の正体=彼は比類なき戦略家なのか?
(時事ドットコム、本年3月14日配信)
トランプ政権誕生後初の訪米を成功裏にこなした安倍晋三首相は
帰国後、外務省を“叱った”という。
「外務省が上げてきた情報と違って彼は戦略家だよ」-。
彼とは、トランプ政権のキーマン、スティーブ・バノン首席戦略官(大統領上級顧問)のことだ。
トランプ大統領との日米首脳会談は2月10日、ワシントンで行われたが、
トランプ氏の別荘のあるフロリダ州パームビーチに移ってからの
夕食会の時などを通じてバノン評は激変した。
安倍首相自身の“バノン観察”と併せて、
バノン氏と意見交換や会話を交わした谷内正太郎(国家安全保障局長)、
佐々江賢一郎(駐米大使)、秋葉剛男(外務審議官=政務担当)から得た
情報、感触を踏まえたものだ。
さすが安倍さん、人を見る目が違う!
・・・なんて声が聞こえてきそうですが、
さあ、次の記事をどうぞ!!
側近バノン氏を事実上解任=保守強硬派、選挙勝利の立役者―トランプ米政権に打撃
(時事ドットコム、本年8月19日配信)
サンダース米大統領報道官は18日、
スティーブ・バノン大統領首席戦略官・上級顧問が同日付で辞任すると発表した。
バノン氏は昨年の大統領選で選対本部最高責任者として
トランプ大統領を勝利に導いた立役者で、側近中の側近だった。
保守強硬派の政策を主導した「黒幕」と目されてきたが、
政権で内紛も絶えず、事実上の解任とみられる。
アメリカの大手政治系サイト「THE HILL」によれば
バノンは18日の辞任当日、
こう語っています。
われわれが実現を後押しし、
みごと選挙を勝ち抜いた
トランプ政権は終わったね。
今でもわれわれに勢いはあるし、
トランプ政権から得るものもあるだろう。
だが、本来の意味でのトランプ政権は終わったんだ。
バノンの言う「われわれ」は
トランプを支持したアメリカの保守派
を指すのでしょうが、
これで戦略家ねえ・・・
しかも「彼は戦略家」発言は
総理ご自身のみならず、
谷内正太郎(国家安全保障局長)、
佐々江賢一郎(駐米大使)、秋葉剛男(外務審議官=政務担当)から得た
情報、感触を踏まえたもの
だというのですぞ。
もはや、「アイズ・ワイド・シャット」のこの曲でも聴くしかないんじゃないかな?
ジョセリン・プークの「仮面舞踏会」。
だ・か・ら、
『右の売国、左の亡国』と言うのですよ!!
そしてアイズ・ワイド・シャットのもとでは
草ならぬ炎上は不可避。
炎よ、われと共に歩め!
で、「炎と血の洗礼」のあげく
物事がどうなるかはこちらを。
(↓)「炎と血の洗礼」は、本書316ページに出てくる表現です。
ちなみに。
昨日取り上げた「この世界の片隅に」には
米兵と並んでもう一つ、
興味深いアイズ・ワイド・シャット的特徴があります。
私の記憶が正しければ、
この作品(片渕須直監督のアニメ映画版も含む)では
「天皇陛下」という言葉が、全編を通じて一度も登場しないのです。
1934年(※)から1946年までの話なんですけどね。
(※)アニメ映画版は1933年。
断っておけば、
だからダメだというわけではありませんよ。
総合的に評価するかぎり、
同作品(とくに原作漫画)は傑作だと思います。
ただし
「目の前にいる米兵が見えない敗戦直後の日本」
とか
「天皇陛下という言葉を誰も口にしない昭和初期の日本」
というものが
何を意味しているかを考えると
いろいろ面白いことが見えてくるのでは、という次第。
見るものをちゃんと見ていれば
この世のすべてはつながっているのですよ。
ではでは♬(^_^)♬
8 comments
tanza says:
8月 20, 2017
>「天皇陛下」という言葉が、全編を通じて一度も登場しないのです。
現行の日本国憲法第一条・第二条による影響(国体観)なのか?
この憲法はGHQが深く関与している。
GHQの狙いからは、条文の意味は次のようになる。
第一条:国民が主であり、天皇はその地位を維持するため、象徴業務に努めよ。
(国民の総意により、天皇の地位はどうにもできる)
※そのためか、昨年8月の陛下の「おことば」が国民への業務報告みたいだ?
第二条:皇室典範は従来天皇家の家法なのに、それを法律にし、国民が口出しできるようにした。
(口出しとは、譲位、女性宮家の創出、皇室に対して出しゃばること等)
レギーム作 says:
8月 20, 2017
「BABY DID A BAD BAD THING」、いい曲ですね。
特に冒頭のギター、ミュートプレイの所にだけディレイをかまして、
小気味よさを出すというやり方は、非常に参考になります。
ディレイは1フレーズ中、何となく、ずっとかけてしまいがちですから、
いい曲を紹介して頂き感謝です!
クリス・アイザックという方は初めて知りましたが、この記事とアイザックという名前からなのか、
目が見えないせいで(この場合、老いからくるものですが)、兄と偽るヤコブを祝福してしまう、
旧約聖書に出てくるイサクを思い出しました。
茂木大臣の「率直にいい数字だと思っている」という発言には、
思わずイサクの母ちゃん顔負け(?)の、薄笑いを浮かべてしまいましたよ。
SATOKENJI says:
8月 20, 2017
>冒頭のギター、ミュートプレイの所にだけディレイをかまして
よろしければ、ぜひ詳しくご説明を。
レギーム作 says:
8月 20, 2017
(ギターの)ミュートプレイは、弦の根本(ブリッジ)を小指のほうの腹で、
軽く押さえて弾くやり方で、スタッカート気味になります。
(♪テケテケ→♪トゥクトゥク)
「BABY DID A BAD BAD THING」の冒頭では、その状態で、”トットトット”と弾いている、
箇所があるのですが、そこにディレイ(山彦)をかけていて、そのディレイ音は、
弾いてる音と音の隙間で、鳴るように調節してます。
すると”トットトット”が”ト(ト)トト(ト)ト”と、聴こえるようになります。
この曲では更に、ディレイをステレオにしているので、音がどんどん広がって、まるで色んな所で、
ギターの音色が鳴っているように聴こえます。
小気味よさって言いますのは、この”ト(ト)トト(ト)ト”が気持ちいいんですよ。
この所謂ディレイ技を、そこ狙いでやっていて実に効果的だと思います。
あるいは、小節末にディレイをかましていて、そこにミュートプレイのフレーズを
持ってきているとも考えられます。むしろそっちかもしれないです(汗)。
ちなみにベースが入って以降は、音がぶつかってしまうのを嫌ったのか、やってませんね。
以上ですが、これまた何とも擬音ばっかりで、下手な説明だと自負します。
多分、sayaさんか適菜さん、新人歌手の三沢さんに聞いてみた方が良いと思いますよ(笑)
SATOKENJI says:
8月 20, 2017
なるほど。
あの独特の歯切れの良さはそこから来ていたのですね。
ありがとうございます。
豆腐メンタル says:
8月 20, 2017
つい今しがたも知人女性の”特殊な日本の左の売国”な場面に巻き込まれてきました。。
女「リニア腹が立つわ〜!」
私「なんで?」
女「工事で山を削るの」
私「・・・(あんた過去の山の工事のお陰で暮らしているんじゃないの?)」
私「先の世代のためにも効率化は大切なんじゃない?」
女「そんなのどうでもいいの!」
私「・・・(無知の知って大切だなぁ)」
投資の不足とデフレが現役世代と将来世代に与える影響にはほっかむりする一方。。
自らは環境保護だか愛だか(←経済ですらない。。)の高みから政策を批判する。。
ん〜
ヘドが出る!(失礼)
政治家を選んでも党議拘束で手のひらを返され
野党や官僚は他人事で
改革や特区でお茶を濁され
マスコミにはオモチャにされ
知人には心を折られる
これ以上”下”はないだろうという楽観は常に裏切られ経路に嵌って奈落の底へ。
民主主義ってなんだ!
私もつられてアイズ・ワイド・シャットしてしまいそうです。笑
SATOKENJI says:
8月 20, 2017
「これこそ最悪だと言えるうちは、まだ最悪ではない」
玉田泰 says:
8月 24, 2017
経済・外交編に関しては、その通りだなと、自分としては特にアイズ・ワイド・シャットを感じませんでした。
それで、「表現者(74)」の「米兵が見えなかった女」を読んだのですが、こちらは見事なくらい、自分がアイズ・ワイド・シャットであったことを思い知りました。「この世界の片隅に」も再読しましたが、そこには(指摘されてみると)明らかに、物語が破綻しかけた瞬間がありました。
そのアイズ・ワイド・シャットだったヤツに言えた義理ではないのですが、天皇陛下という言葉がないのは、「省略」なのではないでしょうか?
むしろ玉音放送は積極的に描かれ、それが物語のクライマックス(あれは、すずの夢見た本土決戦ですね)へと通じていますし、こうのさんも欄外に天皇と書き込まれています。
それとも先生は天皇陛下のご存在を省略してしまう戦後日本人の意識を、問題にされているのでしょうか?
ただ、僕の物語の読み込みが、浅いだけかもしれませんが。