まずは用語解説を。
CVIDは
Complete, Verifiable and Irreversible De-nuclearization
(完全にして検証可能、かつ不可逆的な非核化)
の略称であります。
またCDはご存じ、コンパクト・ディスクの略称。
私の机の周辺にも山積みになっています。
sayaさんが今度出すCD「MIRACLE COMPLETE」には
私との共作曲「アトミック・ガールズ」が収録される予定ですが
デフレ不況(本人談)をはじめとする
諸般の事情で制作が遅れているとか。
そろそろ頼むぜ。
ただし数日前は「デフレ不況が続いていても出します」と電話で言っていました。
しかるにお立ち会い。
なんと先週、わが国では
CVIDがCDになるという現象が発生したのです!
これがホントの「完全な奇跡」
またはミラクル・コンプリートと言いたいところですが・・・
どうぞ。
日中が北でバトル 韓国オロオロ・・・日中韓会談の舞台裏
(FNNプライム、5月10日配信)
2年半ぶりに東京で日中韓首脳会談が開催された。
韓国の文在寅大統領、中国の李克強首相はいずれも就任後初来日となった。
北朝鮮の非核化をめぐって、ようやく巡ってきた日本の出番。
日本は議長国として、
北朝鮮の「完全かつ検証可能で不可逆的な核廃棄」を
合意文書に盛り込むことを目指した。
しかし、調整は難航し結局、
朝鮮半島の「完全な非核化」との表現に留まった。
最大の難敵は中国だった。
北擁護の姿勢は日中韓会談の場でも遺憾なく発揮され、
合意文書は「厳しい言葉を全部そぎ落とす」しかなかった。
こうしてCVIDが
Complete De-nuclearization,
つまりCDになった次第。
でも、出番が回ってきてコレなの?
ミラクルじゃなくて、「ディバクル・コンプリート」(完全な失態)じゃないのか?
ちなみに会談関係者によれば
北をいい子、いい子する宣言を出したい中国と、
まだまだ説教したい日本がガチンコで、
間に立った韓国がオロオロしてこうなった。
とのことですが、
これはちと怪しい。
というのも、
その直後にはこう記されているのです。
今回の会談では、先の南北首脳会談で発表された
板門店宣言を歓迎する特別声明が出された。
韓国にとっては日中韓でこの特別声明を出すことが最大の目的で、
他のことは「どうでもよかった」と見られている。
だったら、CVIDがCDになろうが
DVDが4Kブルーレイになろうが
オロオロする理由なんかありゃせんでしょうに。
板門店宣言を評価する声明が出ること以外はどうでもよかったんだから。
というわけで、こうなる。
北朝鮮の非核化に向けた「具体的な行動」の進め方や、
経済制裁解除の時期を巡っても3か国の足並みは揃っていない。
1)韓国は板門店宣言評価の目的を達成した。
2)中国は北擁護の要求を通した。
3)他の点で3ヶ国の足並みは揃わなかった。
これって、つまり日本の一人負けってことじゃないのか?!
「バカ野郎、だから言っただろうが」(※)個人の感想です。
はたせるかな、
トランプ政権で3月まで国務省北朝鮮担当特別代表を務めた
ジョセフ・ユンは5月8日にこう発言。
The big winners are South Korea and North Korea.
I think, probably, significant one in the negative column is Japan,
because it’s been, you know, quite left out.
勝ち組の最たるものは韓国と北朝鮮だ。
私が思うに、負け組の代表は、まあ日本だろう。
だって、知ってのとおり、みごとに置き去りだからね。
韓国が勝ち組かどうかには議論も余地もあるかも知れませんが
ならば日本はどの程度、置き去りにされているのか?
保守派が「置いてきぼりでいい」と負け惜しみを言わずにいられないくらい
と形容してもいいのですが、
もっと端的な話が出てきました。
週刊新潮5月17日号の記事
「安倍総理の耐えられない軽さ」が
ある外務省関係者の発言として伝えるところによれば
今や官邸から外務省にたいして
“蚊帳の外”という言葉は、記者を中心に、第三者に対して使わないように
というお達しが来ているというのです!!
「蚊帳の外」という言葉が使われること自体に
もはや耐えられなくなっているとは
これはマジで蚊帳の外だぞ!!
いやあ、外交の安倍とはよく言ったもんだねえ。
のみならず。
今回の三ヶ国会談については
こんな指摘もあります。
韓国は文、日本は安倍だが、中国は李克強・・・韓日中首脳会談の格に合うのか
(中央日報日本語版、5月4日配信)
韓日中首脳会談には文在寅(ムン・ジェイン)大統領、
安倍晋三首相、李克強首相が出席する。
韓国と日本からは最高指導者が出席するが、
中国からは習近平国家主席でなく李克強首相が来る理由は何か。
これは三ヶ国会談が始まった経緯と関連があるのだとか。
1999年、マニラで開かれた
ASEAN+3(=日中韓)首脳会議で
当時の金大中大統領が、
小渕総理と朱鎔基首相に「定期的に三者で会おう」と持ちかけたのだそうです。
しかるに中国、
ASEAN+3首脳会議には
国家主席でなく首相を送ることにしていたので
日中韓の首脳会談も、首相が来るならわしになったらしい。
ただし。
1970年代後半から中国は7人前後の政治局常務委員が
国政を運営する集団指導体制を維持してきた。
国家主席を兼ねた共産党総書記が第1人者であるが、
残りの政治局常務委員との関係は水平的に見なされた。
主席は国防・外交を、首相は経済・内政を担当するのが慣例だった。
特に経済では首相の全権が認められたため、
経済問題を主に議論する多者首脳外交行事には主に首相が出席した。
しかし今の中国は当時と状況が違う。
習主席が1人支配体制を強化して独走しているからだ。
中国共産党中央政治局は昨年10月、
「党中央集中領導強化に関する若干の規定」を通過させ、
李首相が習主席に毎年業務報告をすることにした。
習主席が李首相から経済権力を奪いながら上下関係を明確にしたのだ。
中国内部事情に詳しい消息筋は
「中国の首相を今後も首脳として礼遇して
現在の韓日中首脳会談体制を維持するかどうかについて
3カ国が共に考えてみる必要がある。
韓日からは首脳が出席するが、
中国は首脳でなく首相を送るというのは妥当でない側面がある」と話した。
し・か・も。
日中韓三ヶ国会談の直前、習近平は何をしていたか。
そうです。
大連で金正恩と会っていたのです!!
FNNプライムの記事は、これについて
完全な廃棄が実現するまで制裁の解除には応じない姿勢の
アメリカを説得してくれ、と中国に泣きついた訳だ
と解説していますが、
どうも腑に落ちません。
泣きついてきた金正恩をあやすだけなら
習近平が出迎える必要なんてあるんですかね?
3月に中朝会談をやったばかりじゃないですか。
王毅外相にでも相手をさせれば十分でしょう。
にもかかわらず、習主席みずから金正恩と会った。
そして日本が議長国となる三ヶ国会談には
いつも通り、李克強首相を送ってすませた。
これは何を意味するのか?
「ふうん、これで日本が国際社会をリードしていることになるんだ、すごいなあ」
言っちゃ何ですが
東アジアで
現在、周囲に泣きつかねばならない国があるとしたら
それはわが日本だとしか思えません。
なにせ政府はトランプにたいし、
6月12日の米朝会談のあと
日本に立ち寄ってほしいと要望しているとのこと。
いろいろ教えてもらいたいのでしょうが、
相手はディール大好きのトランプ。
当然、それなりのお土産を持たせねばならないでしょう。
しかもロイターによれば、
政府・与党には
米朝会談が拉致問題とはかかわりなく進展する可能性を危惧する声
なるものがあるとか。
何を寝ぼけたことを言っているんですかね?!
可能性じゃなくて、
そうなって当たり前と構えるのが当然でしょうが。
なにせ金正恩は
韓国やアメリカなど、周りばかりが(拉致問題について)言ってきているが、
なぜ日本は、直接言ってこないのか
と笑ったうえで
朝鮮中央通信にこう言わせているのですぞ。
日本の反動層が既に解決された『拉致問題』を再び持ち出し、
世論をあおろうとしているのは、
朝鮮半島の平和の気流を阻もうとする愚かな醜態だ。
朝日関係は本質的に、被害者と加害者の関係であり、
加害者が被害者に謝罪と賠償をしなければならないというのは、問題の初歩だ。
日本という国全体をささげても到底、賠償できない。
つまりは拉致問題をどうにかしたければ
トランプのみならず
金正恩にも泣きつく必要があるということ。
となれば、
北朝鮮擁護の姿勢を明確にしている習近平にたいしても
泣きつかねばならないでしょう。
金正恩が習近平に泣きついたなんて
希望的観測、
ないし想像の話Ⓒを述べている場合ですかね?
にもかかわらず、わが国では
政府・与党、野党、メディアのすべてに
このような危機感が見られない。
中央日報が取り上げた
今や三ヶ国会談にも中国主席が来るべきではないか
という点にしたって
私の知るかぎり、
日本国内で提起している者はほとんどいません。
国際情勢から置き去りにされているという現実に耐えきれず
国を挙げて現実逃避に走っているのでしょう。
ただしその場合、
最悪の結果が待ち受けているのは恐れが強いことは
指摘しておかねばなりません。
(↓)事態を多少たりとも打開するため、読むべき3冊はこちら!
しかし何というか、信念を持って現実から逃げまくっているのではないでしょうか。
ではでは♬(^_^)♬
7 comments
momo says:
5月 14, 2018
日本の知識人なるものは自ら蚊帳の外に身を置いているように思います。
北朝鮮は~中国は~韓国は~アメリカは~どう動く、という事を各々独自のルートで見聞きしたと言う話を延々と並べ立て、冷静に状況を俯瞰して策略を練っているように振る舞う。
この手の連中は特にチャンネル桜で見ますよね。むしろこういう人たちしかいないくらいだ。
相手がどう動こうが、日本に出来る事且つすべき事は一つしかない。
それ以外の議論は一切の意味をなさない。
現実を見てその道しかない事に気付きたくないのでしょう。
保守派()は現実を見なかったお陰で随分儲かっているでしょうから。
いざとなれば日本から逃げ出せばいいんでしょ?
poti says:
5月 14, 2018
崖に向かって走る日本。来年は崖から墜落して粉々になるのでしょうか。
ともあれ、この手の頭が可哀想な人々が東アジア秩序再編という現下の状況に強い影響力を及ぼす事がないのだけは幸い。
不幸にして破局を迎える事はあっても、積極的に破滅を呼び込むような事にはならんでしょうからな。
少なくとも現状の日本に限って言えば東亜の運営に居なくてもいい存在である所か、
政治的外交的にはいない方がマシな存在になりつつあるという事ですな。
キ印がおっては纏まる話も纏まりませんで。
拓三 says:
5月 15, 2018
「蚊帳の外」と言ったら中朝側の人間らしいですよ !
天才数学者が断言していましたから !
凡人には理解出来ない数式が存在するのでしょう。す、す、すごい !
dogはさておき、別に安倍がリーダーシップをとっていた事にしていた方が面白そう。
つまり結果イコール安倍の思惑になる訳やろ。
結果が良い方に転んだらエエけど悪い方向に転んだら….怖っ
その時、信者達は….アカン、考えただけで笑けてくる。
kazu says:
5月 16, 2018
いつも楽しく拝読させていただいております。
僭越ながら一点、誤りを指摘してもよろしいでしょうか?
保守派の負け惜しみは、「置いてけぼり”で”いい」ではなく「置いてけぼり”が”いい」
ではないでしょうか?
SATOKENJI says:
5月 16, 2018
ご指摘ありがとうございます。
しかし「置いてきぼりがいい」というのは、
もっと負け惜しみが顕著な気も・・・
せい says:
5月 17, 2018
西田先生が、戦後の例えで、サファリパーク論を唱えておりましたね。
経営する側ではなく、飼われた動物が日本人であると。
エサが欲しくて媚びるしかできない現実を直視すると、まあこうなりますね
玉田泰 says:
6月 4, 2018
「既に解決された『拉致問題』を再び持ち出し」
お前は現実を理解する脳みそを持ち合わせていないのか!
と、そこはツッコミを入れる勘所だと思うのですが(苦笑)。