『平和主義は貧困への道 または対米従属の爽快な末路』

裏カバーに登場するお姉さんについては

昼はグローバル企業で働きながら

夜になると奨学金返済のために風俗でバイトしているのでは?

という意見がありました。

 

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詳しいことは

お姉さん本人に聞いてみなければ分かりませんが

やるせなくもアンニュイな目つきには

たしかにそんな想像をうながすものがある。

 

ついでに今の日本では

女子大生が学費や生活費のために風俗で稼ぐのは

何ら珍しいことではなくなってしまった。

 

つまりはそれくらい

貧困化が進んでいるのですが、

先週、こんな記事を見つけました。

 

 「勉強せず」高1で急増=4人に1人、家や塾で―文科・厚労省調査

(時事通信、9月28日配信)

 

2001年1月と7月に生まれた子供3万人を対象に

厚生労働省が毎年実施している

「21世紀出生児縦断調査」というのがあります。

 

昨年(第16回)からは文部科学省との共同調査となったそうですが

それによると・・・

 

平日に家や塾で勉強を「しない」と答えた割合は

中3では6.0%だったが、高1になると25.4%に急増。

休日も同様の傾向だった。

元の記事はこちら。

 

別の記事には

より詳細な数字が出ています。

 

授業の予習・復習や受験勉強のため、

家や塾など学校外で勉強する時間は、

平日は「1時間未満」が29.3%ともっとも多く、

ついで「1時間~2時間未満」27.7%。

「しない」という回答も25.4%にのぼった。

休日は「しない」が26.3%でもっとも多く、

「1時間未満」23.1%、「1時間~2時間未満」21.4%と続いた。

元の記事はこちら。

 

つまり学校外での勉強時間が1時間未満(ゼロを含む)の生徒は

平日で54.7%、

休日で49.4%となります。

 

時事通信の記事はこれについて、

受験勉強が終わった影響とみられる

と述べている。

 

なるほど、調査対象が中学三年生だった

2016年の第15回調査では

勉強時間(平日。以下同じ)ゼロの子供は6.0%。

逆に勉強時間2時間〜4時間未満が39.9%となります。

 

今年の場合、

2時間〜4時間未満は15.1%ですから、

たしかに高校に入ってホッとしたのかも知れません。

 

だが、

それですべての説明がつくわけではない。

 

勉強時間ゼロの比率は

対象が中学一年だった第13回調査で9.3%。

中学二年、第14回調査でも9.9%だったからです。

文科省のまとめたデータはこちら。

 

中学一年 9.3

中学二年 9.9

中学三年 6.0

高校一年 25.4!

 

受験勉強が終わったというだけなら

10%前後になってしかるべき数字が

なぜその2.5倍にまで達するのか?!

 

休日の勉強ゼロにしても

中学一年 16.0

中学二年 17.8

中学三年 10.2

高校一年 26.3

となっています。

 

「どうもアウフヘーベンしきれない気が・・・」(※)個人の感想です。

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ちなみに文科省の担当者いわく。

高校に入ると進路が多様になり、

必ずしも学業に集中する必要がないと考える層がいるのかもしれない。

高2、高3と学年が上がってどう変化するか見ていきたい。

 

ン?

進路が多様になるから勉強しなくなる??

どういう理屈だ、それは?!

 

・・・この担当者には失礼ながら、

官僚が上記のような認知的不協和気味の発言をするときは

なにか不都合な真実が隠れている可能性

疑ってかかるのがよろしい。

 

たとえば、こういった一連の事実はどうか。

 

1)総務省の全国消費者実態調査によれば

子供の教育にかかる費用は

小学生では1万6020円(月額。以下同じ)、

中学生では5万6377円だが、

高校生だと7万9795円になる。

 

2)行政による就学援助は中学校まで。

児童手当も中学を卒業すると減額される。

 

3)2017年の厚労省データによれば、

わが国の子供の7人に1人は貧困状態にある。

 

4)労働基準法56条の規定により、

高校生になるとアルバイトができるようになる。

(※)ただし同条2項の規定により、

「児童の健康及び福祉に有害でなく、

かつ、その労働が軽易なもの」であれば

中学生以下でもバイトはできます。

 

さてクイズです。

以上三点を踏まえて考えるとき

高校生になると勉強しなくなる子が増える理由として

説得力があるのは次のどちらでしょう?

 

A)進路が多様になるため。

B)学費や生活費のため、バイトに追われる生徒が一気に増えるため。

 

そりゃあ、Aだよ! なんたって、文科省の担当者がそう言っているんだから!!

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・・・真面目な話、

休日の勉強ゼロ比率が

中学生のころから平日より高めなのも

休日となるとバイトする子がいるためではないのか。

 

先に述べた労働基準法56条2項の

「児童の健康及び福祉に有害でなく、

かつ、その労働が軽易なもの」

という規定は

学校の授業とかぶらないようにしなければならない

という意味に解されているからです。

 

関連してご紹介したいのが

NHKスペシャル取材班が今年2月に刊行した本

『高校生ワーキングプア』(新潮社)。

 

「 一見、生活に困っているようには全く見えない高校生たちが、

実はアルバイトをして、

親の収入だけでは足りない家計を支えている実態」(20ページ)

をめぐるノンフィクションです。

 

同書で紹介されている事例によれば

2016年、千葉件の公立高校でアンケートを実施したところ、

アルバイトをしている生徒は4割近く。

そのうち44%、

つまり生徒全体の17.6%が4日以上働いています。

しかも、平日のバイト時間が4時間以上と答えた生徒が46%!!

 

平日学校が終わるのは、

大体4時すぎだとすれば、

夕方5時からアルバイトをして

夜9時まで働いていることになる。

しかも、

週の半分以上がアルバイトに費やされる(。)

(104ページ)

 

2割近くの生徒が

そんな生活を送っている恐れが強いのです。

高校一年生の25.6%が

平日の学校外勉強ゼロで

何の不思議があるんですかね?!

 

「落ちるかどうかじゃない、どこまで落ちるかなんだ」(※)個人の感想です。

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『高校生ワーキングプア』いわく、

21世紀に入って、貧困化が進んだ主たる原因は

都市部なら非正規雇用の増加、

地方はグローバル化による農村の疲弊。

 

つまりは新自由主義とグローバリズムです。

それが少なからぬ高校生を

勉強したくても、その余裕がないという状態に追いやっているのではないか。

 

こんな状態を放置しておいて、

わが国が衰退・没落をまぬかれるとは到底思えません。

 

しかるに新自由主義やグローバリズムが

自明に正しい真理であるかのごとく見なされる背景には

戦後の平和主義がラスボスよろしくひそんでいる。

 

そうです。

やはり平和主義は貧困への道なのです。

 

というわけで、

裏カバーのお姉さんにも、

一肌脱ぐ・・・

もとへ帯を解いていただくことにしました。

どうぞ。

 

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