どうもこのところ、
ブログの内容が左翼っぽい感じがする。
そうお思いの方もいるかも知れません。
じつを言うと私自身、
あるレベルでは同意しなくもない。
いわゆる「保守派」を批判するような内容の記事が
いくつかありましたからね。
例の「憲法九条のノーベル平和賞」だって、
受賞したら面白いじゃないか! と思う気持ちがあります。
しかし別のレベルでは、
私は自分が純然たる保守主義者だと思っています。
佐藤健志は保守か左翼か?
お答えする前に、論点を整理しておきましょう。
過度の単純化(©永田伸吾)はしませんので、ご安心を。
政治的な立場としての「保守主義」は、フランス革命を機に生まれたもの。
重要な契機となったのが、増刷されたばかりのこの本です。
「新訳 フランス革命の省察」。
そして保守主義のエッセンスとは、一言で要約するならば
現状に問題があるからと言って、世の中を短兵急に変えようとすべからず!
なのです。
なぜか。
変えてよくなるという保障はどこにもないからですよ!
ついでに急激な変化は、たとえ良い方向へのものであっても、いろいろ副作用を伴うことが多い。
つまり世の中を短兵急に変えようとすることは、それ自体が弊害を伴うのです。
いいかえれば現在の日本に問題があったとしても、
短兵急に変えようとはしないのが真の保守主義者。
にもかかわらず、いわゆる保守派のみなさんは
日本の現状にたいする危機感に駆られるあまり、
この点をつい、見落としてしまうことが多いように見受けられます。
とくに去年あたりから、その傾向が顕著。
そのような態度は、
ナショナリスティック、ないし愛国的なものではあっても、
保守主義的なものとは呼べません。
現状に問題があるのなら、物事を根本から変えてしまい、一から出直すのがベスト!
これは左翼の発想です。
というか、上記のような発想をする者を「左翼」と呼ぶのです。
したがって、保守派が世の中を短兵急に変えようとするときは
それを批判するのが正しい保守主義の態度と言えるのではないでしょうか?
ゆえに私は、戦後日本のあり方に問題が多々あると思いつつも
「戦後体制の解体」なる発想には賛成できません。
日本はどうやって、敗戦からの復興をとげたのでしょう?
経済大国と目されるほどの繁栄を獲得したのでしょう?
そうです。
戦後体制に徹することによって、です。
当の戦後体制に、虚妄としか言いようのない側面がある。
これは事実です。
ついでに私の持論でもある。
ダンス三部作などと呼ばれる
以下の本をご覧になれば、
そのことは容易にお分かりいただるでしょう。
だとしても、短兵急に変えてはいけないと構えるのが保守主義なのです!!
虚妄のもとで繁栄を築いたあと、
その虚妄を解体しようとすれば
繁栄まで解体することになるのは理の当然。
繁栄を(できるだけ)維持しつつ、
虚妄を(少しでも)減らしてゆく。
それぐらいしか、現実にやれることはないし、
焦ってそれ以上の変化を求めるべきではない。
そう構えてこそ保守です。
私が憲法九条のノーベル平和賞受賞について
実現したら面白いと思うのも、
たとえ虚妄であれ、おいそれと解体することはできないという点が
浮き彫りになるからにほかなりません。
佐藤健志は保守か左翼か?
これは問題の立て方が間違っているのです。
正しくは、こう問うべきでしょう。
いわゆる保守派は、保守か左翼か?
ということで、よろしくお願いします。
ではでは♬(^_^)♬
15 comments
カインズ says:
10月 6, 2014
難しいですね。日本が急激に悪くなっていっている際に漸進的な変化を唱えても、果たして有効なのだろうかという疑問を抱きました。悪くなるスピードがあまりにも速いときには、保守派といえども相対的に主張が強くなるということもあり得るのではないでしょうか?
マゼラン星人二代目 says:
10月 6, 2014
「主張が強」くなった時点で、それは「保守」とは違う何ものかに変質しているわけで、したがって「保守(派)」という名称は、似つかわしくない、というのが佐藤先生のお立場ではないかと忖度します。
マゼラン星人二代目 says:
10月 6, 2014
「保守」にかわる呼称は、探せばいくらでも見つかるでしょう。
「攘夷」とか、
それこそ、
「維新」とか。
マゼラン星人二代目 says:
10月 6, 2014
それから
「ユルトラ ultra」
というのもお薦め。
カインズ says:
10月 6, 2014
私が言いたいのは保守派が大事にする「漸進性」にもある程度の弾力、幅があるのではないかということです。社会や言論の状況が変化し、従来の主張を繰り返しているだけでは、保守派が守らんとする伝統が破壊されてしまうという時には、保守派といえどもその態度や主張をある程度強めることも必要ではないかと思うのです。基本的な価値観を損なわない程度において主張・態度を強めるだけならば、保守派が坂道を転げ落ちるように「攘夷」や「維新」となることはないのではないでしょうか。
マゼラン星人二代目 says:
10月 6, 2014
>佐藤健志は保守か左翼か?
>いわゆる保守派は、保守か左翼か?
>これは問題の立て方が間違っているのです。
>正しくは、こう問うべきでしょう。
「保守」の対概念は「革新」(ないしは「進取」)、
「左翼」の対概念は「右翼」のはずなのに、
どうして、「保守」と「左翼」が対置されるような言論状況が、ここ日本では、常に既に、再生産され続けるのか。
マゼラン星人二代目 says:
10月 6, 2014
あるいは、フランス革命期の議席配置とは関係なく、こう問わずにはいられないのは、どうしてか。
cf.
右=保守=王党派
左=革新=ジャコバン派
akkatomo says:
10月 6, 2014
そも、保守という言葉を狭い概念モデルでとらえようとすること自体が間違いなのかもしれません
モデル化による認識そのものが近代性、左翼性を帯びているように感じられます
有用なのは認めますが問題はモデルという箱ではなく、その中身でしょうから
DANIEL says:
10月 6, 2014
先生のこの記事には、非常に賛成いたします。
私も、どうせなら、「憲法九条のノーベル平和賞」成ったら良かろうと思います。
前にも申しました通り、私は、集団的自衛権容認反対ですし。
早くも試金石となった中東の騒擾、イスラム国との戦闘を見ても判るとおり、
如何に「中東には適用しない」という安倍総理の発言があったとしても、
論理的には追随を余儀なくされ、日本がテロの標的となることは必定でしょうから。
今は多少小康状態のウクライナ情勢でも、集団的自衛権を盾に何らか以上の貢献を
要請されたら? 佐藤先生が言及されたロシアとの協商案も木端微塵です。
保守だからといって、深く考えもせずに安易に集団的自衛権容認に走った方々は
深く反省して下さい。無論、それでは済みませんが。もし我が国の安全保障が
それで危殆に瀕したならば、少なくとも責任者は腹を切らねばなりません。
なお、AKKATOMOさんが言われていることには、違和感を感じます。
そも、保守主義とは、佐藤先生が言われているとおり、左翼の出現による
カウンターとして生まれた概念ですから。中身うんぬんよりも、その用語が
正しいかどうかは別として、ひとまず「概念モデル」で十分と思います。
ponkotsu says:
10月 6, 2014
保守は「右」ではないということですね。
右であろうと左であろうと急激な現状変更は多大な副作用をもたらすから注意せよという態度。
復古王政期のユルトラなんかは過激な復古主義で結局ダメになってしまった。
変革は漸進をもって良とすべしということになるでしょうか。
BOMBER says:
10月 6, 2014
日本で最初の武家政権「鎌倉幕府」を築いた源頼朝は言うまでもなく大変有能な政治家だと思います。其れまでは朝廷に比較的近かった平氏を倒しての政権ですから、当然その背景には相当な軍事力があったと思われます。しかし、只端に軍事力といった「力による現状変更」(どこかで聞いた言葉ですが、、)だけでは、朝廷内の(いわゆる旧守派などの)反発が起きたと思います。そこで蝦夷を平定する将軍(いわゆる征夷大将軍)を拝命することで鎌倉に陣を構えるにいたりました。つまり、平氏と違って朝廷と一定の距離を置いて政治を司る方法を取りました。だからといって頼朝が朝廷に反発する左翼だと思いませんし、逆に頼朝からしたら平氏は同じ武家にありながら朝廷に取り入る貴族の様に映ったのかもしれません。また兄にも勝る武功を挙げた、弟義経が後に官位を朝廷から受けたのを苦々しく思ったのかもしれません。武家政権やそれらを担う武士は、平時においては大部分が農民であり農業が経済の主流であったことでしょうから、当然源氏の長である頼朝は彼らを食べさせていかなければなりません。つまり(日本における)保守系左派?の源流は権力者(当時は朝廷)の権威を尊重しつつ、一定の距離を保ち、経世済民を慮る勢力と捉えることが出来るのではと思います。
補正値 says:
10月 6, 2014
保守がどのようにあるべきか、というのはなかなか難しいテーマでしょうが、私の願望としては、近代合理主義に自覚的な人々であってほしいと思っています。
それがないと、あしゅら男爵のように、左右の顔で喧嘩を始めて、アタフタ走り回るような姿になってしまうのではないか?と思うのです。
Thomas Uttini says:
10月 6, 2014
ゆっくりとした改善派は保守だとわかりました。
ところで、今のGHQ体制を改善したくない派、例えば日教組などはどっちなんだろう。保守なのだろうか?朝日新聞も今のGHQ体制を改善したくない派だから保守なのだろうか?
急進イメージの「維新の党」は左翼ってことですよね。
「太陽のの党」も左翼になりますね。
つまり右翼って言葉は使わなくても事足りるのですね。
合ってますでしょうか?
マチコ says:
10月 8, 2014
日本社会の虚妄に気付くという点は、仏教思想と似ている部分があるなあと思う時が
あります。
この世(人間社会)は全て仮観であると、ものすごい現実感を持って
実感することと、何か、通じる部分があったりするなあと思いました。
その筋 says:
6月 7, 2018
佐藤健志は覆面「左翼」