『対論「炎上」日本のメカニズム』で
私と藤井さんの双方が指摘していることですが
いわゆる炎上には
いったん火がついて燃え上がったら
燃え上がっていること自体が
さらに燃え上がる理由となる
という特徴があります。
たとえば映画などがヒットする場合
集客が一定のレベルを超えると
「みんなが見ているから」という理由で、みんな見に行くようになる。
つまりは
客が入っているということで客が入るのです。
第二次以後の安倍内閣が
高い支持率を誇ってきたのにも
「みんなが支持しているから」という理由で、みんな支持するようになった
というメカニズムがあるかも知れない。
つまりは
支持されているということで支持されるのです。
すなわちこれも
自己強化メカニズム、
ないし経路依存性のバリエーションなのですが
いったん歯車が逆に回り出すとどうなるか。
そうです。
支持されていないということで支持されないのです!
実際、最近の内閣支持率の動向など
「支持率が急落しているから」という理由で、みんな支持しなくなった
という感じではありませんか。
で、こうなると
「この内閣は総崩れになりそうだ」という理由で、総崩れに拍車がかかる
ということが起こりだす。
たとえば、この記事をどうぞ。
自民改憲案、年内提出は困難
自民党憲法改正推進本部の船田元・本部長代行は19日、
時事通信のインタビューに応じ、
党の改憲案を秋の臨時国会に提出するとした安倍晋三首相(党総裁)の方針に関し、
「支持率が低いと自民党案をまとめるのに時間がかかる」と述べ、
安倍内閣の支持率急落で提出は困難になったとの認識を示した。
船田本部長代行、
「(首相の)求心力が下がれば意見は通らない」
「支持率が一定程度回復しないと、党内の足並みが乱れたり、浮き足だったりする」
とも述べたそうです。
自民党の憲法改正推進本部から
こんな声があがれば
自民党案がますます、まとまらなくなるのは確実。
「まとまりそうにない」という理由で、まとまらないのです。
だとしても来年中には総選挙をやらねばならない。
だが現状のままでは
この総選挙のあとでも改憲勢力が2/3の議席を確保できるかどうかは
いかんせん疑わしい。
けれども、臨時国会に自民党改憲案を出せないまま
総選挙の前に改憲に打って出ようとすれば
審議の場は、次の通常国会しか残っていない。
これは相当なスピードで審議をしなければならないことを意味します。
強行採決は避けがたくなるでしょう。
そんな手順で発議した改正案が
国民投票で可決されるか??
・・・こうなると
「どうせ国民投票で否決されそうだ」という理由で、
野党どころか与党まで発議に消極的になり
結果として発議にもたどりつかずに終わる
可能性が一気に高まります。
「発議してもムダのようだ」という理由で、発議できないのです。
W(^_^)W\(^O^)/グッバイ憲法改正\(^O^)/W(^_^)W
だとしても改憲の夢が
こんな理由でパーになるとしたら
「安倍さんは改憲をやってくれるから」という理由で
消費増税にも
デフレ脱却失敗にも
TPPをめぐる手のひら返しにも
日韓合意(とその失敗)にも
外国人労働力の導入推進にも
ひたすら目をつぶって、現内閣を支持しつづけてきた方々はどうなるのでしょう??
だ・か・ら、
『右の売国、左の亡国』と言うのですよ!
ちなみに支持率回復の最後の切り札になるのではないかと言われる
(思い切った積極財政は現実には無理でしょう)
8月の内閣改造ですが
これについても、こんな記事が。
安倍首相「小泉政権は真紀子氏更迭で支持急落」
安倍晋三首相は19日夜、
東京都内で麻生太郎副総理らと会食した。
出席者によると、首相は
「小泉政権は田中真紀子外相を更迭したときに、内閣支持率が下がった」と言及。
来月初旬に内閣改造・党役員人事を控え、支持率が気にかかっているようだ。
2002年1月の田中外相更迭が響き、
朝日新聞の世論調査では小泉内閣の支持率は72%から49%に急落した。
安倍首相は当時、官房副長官だった。
それはまあ、今さら支持率がこんな勢いで下がったら
もはや退陣するしかないので
総理の心配はもっともです。
しかし、こんなことを言ってしまって大丈夫か?
内閣改造は失敗しそうだという理由で、内閣改造が失敗することにならないか??
この夏、
わが国では「反安倍炎上」が燃えだしたのかも知れません。
ではでは♬(^_^)♬
(↓)歴史に残るメガトン級炎上の内実についてはこちらを。
5 comments
コバ says:
7月 21, 2017
自己強化メカニズムが働きやすい…炎上しやすい…
破壊や自滅に向かいやすい世界で保守であるというのはこれは根本的には難しいことですね…
必然的に世間のトレンド・流行りに対立した立場をとることが多くなりそうorz
福岡ワマツ says:
7月 21, 2017
>グッバイ憲法改正
改憲の実現可能性が無くなりつつあるとのことですが、慶事ですね、これは。
いやもちろん、当用憲法が「構造改革」を要する代物であることは認識しております。その点で私は改憲派ではあります。
しかしながら、恐るべきは、「財政規律」や「財政健全化」「PB黒字化」といった財政均衡主義の魂を憲法に注入されるという形で改憲されることです。
そんな形の改憲の実現可能性が無くなりつつあるとは、なんともおめでたい。
次にくるのは、もしかすると「グッバイ安倍政権」かもしれませんね。
(それの是非は私には見当がつきませんが。)
momo says:
7月 21, 2017
炎上政治の天才橋下徹が国政に参加しないといいんですがね。
バカな自称保守派に改憲の餌を釣り下げて、上手く懐柔して日本を跡形もなく完全燃焼させそうです。
何でもかんでも改憲すればいいわけじゃないのですがね。そんなこと言っても保守とは間逆の存在である自称保守派にはわからんのでしょう。
しかし国民が健全なナショナリズムを欲していると思われるので、とりあえず保守を名乗っておけば国民は簡単に釣られるでしょう。ついでにルサンチマンを煽って燃やしておくのも忘れずに。国民は何がなんだかわからないままいつの間にか国がなくなっているんでしょう。森友加計問題のように、健全なナショナリズムと経済再生を願い、実際の政策は何してんだかわからないまま、国民の望まないえこひいきがまかり通ってしまったんですから。前例はたんとあるのですよ。
またやりますよ彼らは。絶対。
mashimaro says:
7月 22, 2017
皮肉なのかもしれませんが、その手の「天才」という持ち上げ方が過大広告に寄与しているのではないでしょうか。大したことないものに天才と付けてしまっては、その言葉に存在する敷居が無くなりませんか?
あれを天才と呼ぶなら、結構な割合で天才に出会ってます。
昔なら、単なる「バ〇」で片付けていたものが、「炎上」によりあたかも優れたものと錯覚させられてる、というのは私の見方です。
メディアの見出しなど一旦取っ払って、何をどう主張しやってきたのかだけを見ることができれば、やはり単なる妬みゆえの目立ちたがり屋の「バ〇」としか思えませんね。
ああいうのはメディアによって担がれてるだけなので、さっさと表に引きずり出せ、とも思いますが。改革狂を見るのはもう勘弁なので…
カインズ says:
7月 21, 2017
その時々の気分で流される大衆による支持率に関しては、「みんなが~だから」で意見が変わってしまうのもやむを得ないかもしれませんが、国会議員までもがそうだと困ってしまいますね。支持率が高かろうと、くだらない改憲案なら却下するべきですし、逆に支持率が低くてもマトモな改憲案なら提出・発議すべきだと思います。もっとも、現実的には政治家の間には情実など属人的な要素があるのでしょうし、マトモな改憲案を作成し国民の理解を得るのには多大な時間を要するのでしょうが。
「反安倍炎上」については、藤井さんの言うような良識に基づいた炎上なら良いのですが、どうもルサンチマンに基づいた悪い炎上の匂いが強そうな気がします。