トランプ大統領の出した
アメリカへの入国制限をめぐる大統領令は
例によって例のごとく
世界を騒がせています。
ご存じの通り、
この大統領令は目下、
連邦裁判所によって一時差し止めとなっていますが
あらためて主な内容を整理しておきましょう。
1)難民入国を120日間停止する。
2)シリアからの難民受け入れを無期限停止する。
3)イラン、イラク、リビア、ソマリア、スーダン、シリア、イエメンからの入国を90日間(※)禁じる。
(※)大統領令が署名された1月27日より起算。
4)上記7ヶ国の国籍を有するが、二重国籍によって他国のパスポートも持つ者(※)の入国を90日間禁じる。
(※)ただし1月31日付の発表によれば、国籍に関する判断は、アメリカ入国時に提出するパスポートを基準とするそうです。
5)難民受け入れにあたっては、宗教的少数派であるために迫害されている者を優先する。
(※)つまり中東からの難民は、キリスト教徒優先となります。
6)2017年の難民受け入れ総数を、11万人から5万人に引き下げる。
この措置については当初、
アメリカ国民の49%が賛成で
反対は41%という
世論調査結果(ロイター)が出ました。
1月30日〜31日に実施された調査だそうです。
しかるに2月に入って行われた
CNN/ORCの世論調査では
アメリカ国民の53%が反対で
賛成は47%という結果になったとのこと。
どちらの調査でも
賛成と答えた人の比率はあまり変動していないので
はじめのうちは意見を決めていなかった人が反対に回った
ということだと思われます。
ロイター調査における「賛成」と「反対」の合計は90%。
残り10%が反対に回ったら、
こちらでも賛成49%、反対51%になるわけです。
さらに賛成派のうち2%が反対に回るだけで、
賛成47%、反対53%という
CNN/ORCの結果が出ますからね。
とはいえ、とにかく自分に都合が悪いことが起きると
ブチキレる、
ないし少なくともブチキレたふりをするのがトランプ。
今回もしっかりツイッターで
σ(`´メ∂!!入国制限に否定的な世論調査結果はすべて偽ニュースだ!!(`ヘ´)
と吠えました。
(※)顔文字、および感嘆符は原文にはありません。
どうもトランプにとっては
自分に都合の良いニュース=事実、
自分に都合の悪いニュース=ウソ
という明快な二分法が成立している模様。
なかなかのメディア・リテラシーですが、
大統領閣下、ご安心を。
入国制限をめぐる大統領令は、海外でもしっかり歓迎されています。
・・・ただし、
閣下が殲滅しようとしているIS(イスラム国)の支持者たちによって。
ヾ(℃゜)々\(^O^)/だからこの世は宇宙のジョーク\(^O^)/(^_^)v
入国制限賛成が多数という
間違いなく信頼するに足る世論調査を行ったロイターが
このように報じております。
どうぞ。
トランプの入国制限にたいする抗議が世界的に高まる中、
イスラム国の支持者は
「これでISに参加する者が増える」として、
この大統領令を喜んでいます。
欧米諸国と、中東諸国の離反を狙っていたイスラム国にとり
トランプの方針は「自分たちの成功」を示すものと受け取られているとのこと。
あるイスラム国支持者は、
ロイターのカイロ特派員リン・ヌエイドにこう語ったとか。
トランプよ、お前の決定には何の効き目もない。
お前にたいする攻撃はアメリカ国内から起きる。
実行するのはアメリカ人だ。
アメリカで生まれ、
両親どころか、
祖父母までアメリカ人という者が行うのだ。
このニュースをトランプが
事実と受け取るか、
それともウソと受け取るかは
面白くも微妙なところですが、
ここで思い出されるのが、
映画『ゾンビ』の名台詞。
映画の序盤、牧師がこんなことを言うのです。
死者が地上を歩くようになったら、
殺戮をやめないかぎり戦争に負ける。
死んだ人間はゾンビになるのですから、もっともな話です。
ただしこの牧師も
殺戮をやめたら戦争に勝てるのか
という点については明言を避けていました。
トランプはテロ撲滅に向けて着々と手を打っているのか?
それとも、まさにそのことによって
テロリストに塩を送っているのか?
今後の展開が注目されます。
なお。
「偽ニュース」
「メディア・リテラシー」についても、
『右の売国、左の亡国 2020年、日本は世界の中心で消滅する』の
政治経済用語辞典で、その意味を定義いたします。
ではでは♬(^_^)♬
2 comments
GUY FAWKES says:
2月 8, 2017
その国で生まれ育った人間が過激思想に共鳴して独自に自身の出身国に対してテロを行う…
即ち「ホームグロウン・テロリズム」ですね。
http://www.moj.go.jp/psia/ITH/topic/2016_02_topic.html
欧米諸国における「ホームグロウン・テロリスト」などによるテロの脅威 公安調査庁
しかしこれは明確な普遍的定義が確立されている訳ではなく、「欧米諸国における〜」とは前置かれていても
元々移民国家ではなかった欧州に移民・難民が流入し、その国の社会に適応できず阻害された末
テロを起こすというものでした。
先のイスラム国支持者の発言によれば、これが移民国家の最たるものであるアメリカで、
両親から祖父母までアメリカ人のルーツを持つ者によって引き起こされる…
昨年11月下旬に佐藤先生は三橋先生の『「新」経世済民新聞』にて「反グローバリズムはキレイゴトにあらず」と仰いましたが、
どうやらトランプ大統領による「アメリカン・ファースト(米国第一主義)」はグローバリズムによって浸透したテロリズムが
反グローバリズムによって却って濃縮還元された末に「メイドインアメリカ・テロリズムの地産地消」が
新たに現出される可能性が高まっていることをが示唆されているのでは…?
>死者が地上を歩くようになったら、殺戮をやめないかぎり戦争に負ける。
>死んだ人間はゾンビになるのですから、もっともな話です。
>ただしこの牧師も殺戮をやめたら戦争に勝てるのかという点については明言を避けていました。
「最も速やかに戦争を終わらせるには、負ければいい」–ジョージ・オーウェル
また『タイム・マシン』『宇宙戦争』の作者、ハーバート・ジョージ・ウェルズ(H・G・ウェルズ)は社会評論家として
ロンドンの新聞に寄稿した記事を元に『戦争を終わらせるための戦争』という本で第一次世界大戦を引き起こした
ドイツ帝国・オーストリア=ハンガリー帝国等の中央同盟国に対して「ドイツ軍国主義の敗北が戦争の終結を齎す」と論じました。
そしてこれを自身の理想主義的な信念として「人類の自由の為にアメリカが戦争に参加する必要がある!」
としたのはアメリカ大統領のウッドロウ・ウィルソン。
翻って100年後の現在、内向きの保護主義を推進しているとされるトランプが果たして現実主義に立脚して
諸々の大統領令を発しているのか…?
私的に少しばかり怪しくなってまいりましたね(苦笑)
玉田泰 says:
2月 12, 2017
それはISは歓びますよね?
アメリカ大統領自らが
1)入国者がテロリストか否かを判断する術を持たないことを認めた
2)潜在的テロリストがいるなら,その自国在住者を煽ってくれた
のですから。
入国時にテロリストでは無くても暮らしているうちに不満を募らせる人の可能性を考えると、入国制限にどれだけの意味があるのでしょうか?
ぶっ壊してやると登場したトランプが、テロ対策にどの位建設的な手を打つのか見物ですね。いや、日本も他人ごとでは済まされない?