三橋貴明さんが、
ブログでとんでもない記事を紹介しています。
いまだ条文の全訳が存在しない
例のTPPについて。
この条約、
英語・スペイン語・フランス語が正文と規定されています。
つまり日本語は正文に含まれません。
これ自体、すでに相当ふざけた話。
日本はTPP参加国の中で、
アメリカに次ぐ経済規模を持っているのですぞ。
日本語が正文に含まれて当たり前じゃないですか。
しかし、舞台裏はもっとスゴかった!
では問題の記事の抜粋をどうぞ。
(11月)19日の民主党経済連携調査会。
篠原孝氏(衆・長野)が「(日本語を)要求して蹴られたのか」とただすと、
外務省の担当者は「日本語を正文にしろと提起したことはない」と認めた。
同省は以前、日本が遅れて参加したことを理由に挙げていた。
だが、同様に後から参加したカナダは
一部地域でしか使われないフランス語も正文に認めさせた。
矛盾をつかれても同省は
「カナダに(とって)は政治的に非常に重要な課題だ。日本語をどうするかという問題とは文脈が違う」
と言ってのけた。
(表記を一部変更、以下同じ)
すると外務省にとって
日本人がTPPの条文を日本語で読めないとか、
アメリカに次ぐ経済規模を持っていながら、日本語が正文として認められないことは
どうでもいい話なのですな?
・・・断言いたしますが
野党が率先してTPP条文の全訳を進めないかぎり、
政府側の全訳など絶対に出てきませんよ。
なにせ日本人はTPP条文など読めなくてもいいと
ほかならぬ日本の外務省が判断しているんですから。
かつてサンフランシスコ平和条約が調印されたとき、
外務省は吉田茂首相のスピーチ草稿を英語で作成、
怒った白洲次郎が全文、日本語に書き直させたというエピソードは有名ですが
同省の発想はまったく変わっていないと言えるでしょう。
し・か・し。
真に問題なのはこの後。
ふたたび記事をどうぞ。
政府みずから
自国の言語を軽視しているともとれる発言に
岸本周平・同調査会事務局長は
「今のは聞かなかったことにする。議事録から削除」と切り捨てた。
今のは聞かなかったことにする?
議事録から削除?!
こんな態度を
見ざる、聞かざると言うんじゃないでしょうか。
となれば、次は言わざる。
すなわち民主党も
TPPの全訳を行う意思はないものと判断せざるをえません。
もしかしたら、意思以前の問題として
その能力がないのかも知れませんが、
よしんば能力があったところで
都合の悪いことは聞かなかったことにするのでは話にならない。
では、他の野党はどうか。
国益のためにTPPを全訳しようという政党は一つも存在しないのか??
2015年もあとわずかですが、
日本の現状はなかなかにお寒いのでありました。
ではでは♬(^_^)♬
5 comments
しきしま says:
11月 22, 2015
国会議員の先生方は腰が引けているようですが、有志の方々が少しずつ、訳し始めているようですよ~。
http://notpp.jp/documents.html
たかゆき says:
11月 22, 2015
論語♪
「民は之に由らしむべし、之を知らしむべからず」
「之」とは 為政者が定めた法律
最初の「べし」は 適当・妥当の意
最後の「べからず」は 可能の意
とのことですが、、、
太古から現在に至るまで為政者の頭に湧いた虫は
健在ですね。。。
そういえば、、改革も
改革といえば 江戸時代から 為政者の発想は
質素倹約のみ。。
論語には こんなのもありましたね
「子曰く、故きを温ねて、新しきを 知れば、以って師と為るべし」
嘘こけ♪
たかゆき says:
11月 22, 2015
訂正です
>最後の「べからず」は 可能の意
「べから」が 可能の意
それを 否定の 「ず」で打ち消してますから
「べからず」で 不可能の意に
なるのだ♪
ぽんず says:
11月 22, 2015
TPP正文の箇所を見たとき、アメリカ一人勝ちだったんだなぁと悟りました
引用記事ではカナダが頑張って仏語を認めたとありますが、私は間違いだと思います
というのもUSTRのNAFTAのページに「TPPはNAFTAを21世紀へ連れて行く」と
堂々と書いてあり、そのNAFTA正文が今回の3ヶ国語なのです
しかしTPPではさらに一歩踏み込み、NAFTAには無かった一文
「各言語正文間で差異があったときは英語を優先する」が追加になっています
なので正文は3ヶ国語だけど結局は英語を読まなくてはならないのですね
以上のことから、今回の交渉はアメリカがNAFTAを押し付けるだけでなく
アメリカの利益がより大きくなるようにさらに強い要求がなされて
それに対して各国が何も出来ずに終わったという状況が透けて見えます
外交惨敗でトンデモ条約がお土産となれば政府が退陣してもおかしくないので、
トンデモ理論やトンデモデータを持ち出して無理やり擁護し始めて
トンデモ議論が今後国会で続いて、最終的にトンデモ条約が成立すると思うので
つっこみが多い今回の引用記事はその始まりのような気がしますね
Daniel says:
1月 5, 2016
「TPPの和訳がない」という類いの話は、何も今に始まったことではないですよ。例えば少し前に、関岡英之氏によって解明された、米国の「年次改革要望書」の問題でも、同様のことは多々ありました。何と、米国(商工会議所)からの「年次改革要望書」の和訳は、駐日米国大使館(あの赤坂にあるやつね)のHPからこそ最も閲覧できたという、ブラックジョークのような話が本当にありましたから。
通常、多国間条約の間では、その主だった当事者国語が正文になるのは、国際的慣行です。TPPの正文に日本語がないというのは、日本がTPPの主要プレイヤーでないということを示す紛れもない(裏の)証左です。現に、私の滞米中も、官民挙げての追随的・付和雷同的なTPP賛美論・推進論(本当ですよ)に、目も眩む思いがしたものです。彼らの言っていることは、私に言わせれば、丸で「うわ言」のようでした。
少なくとも、農業だけに限ってみても、米国中西部の大農地(判りやすく言えば、かの『大草原の小さな家』の世界です。地平線の遥か彼方まで、何百マイル車で走っても畑が広がっています)を一遍でも見た者は、「日本農業は、「ブランド化」で迎え撃つ!」などといったタワゴトが全く通用しないということは、正に一目瞭然です。竹槍で、絶対に、B29は、墜とせないのです。
さて、、TPPに係る和訳については、実は実現はさほど困難ではありません。簡単なこと、翻訳業者に発注すればいいだけのことです。各党の「政務調査費」というのは、そのためにあるものでしょう。但し、その本文(和訳)の持つ意味については、通商行政、或いは法学等に通じた者でないと、「解読」できないことがあります。政治家は、そこを官僚なり、学者なり、弁護士なりに解説させ、問題点を突いていって、行政に反映させることが必要なのです。何も、民主党や自民党の政治家が自ら和訳なり、解説なりを、第一次的に、十二分に、行う必要はありません(もっとも、民主党にも自民党にも「英語使い」はいますが)。これこそが立法府で行うべき、行政府に対するCheck & Balancesと思います。
>・・・断言いたしますが
>野党が率先してTPP条文の全訳を進めないかぎり、
>政府側の全訳など絶対に出てきませんよ。
佐藤先生の慧眼やその通りと思います。そもそも全訳などするのかという大問題はありますが、仮にもし野党が全訳したところで、政府側の全訳が出るとは全く限らないのですから、ある意味、健全な野党?がTPP本文の全和訳(立法府版)を政府に突き付けて追及し、それによって外務省が全訳をシブシブ出すということが万一あるのならば、それは日本の憲政史上、著しく画期的なことだと思います。