1790年。
フランス革命の経緯を観察していたエドマンド・バークは
革命によって誕生した国民議会の政策について
「信じがたいほど自滅的」と形容しました。
いわく。
バカげた理念を、
行き当たりばったりの実践でどうにか埋め合わせようとする過程について、
いちいち追いかけて何になろう。
(中略)
事態は日を追って収拾がつかなくなっている以上、
革命政府は唖然とするようなトンデモ政策を次々と打ち出さざるをえないのだ。
というわけで昨日の記事では
いわゆる財政破綻論が
「論」ではなく「キッチュ」と呼ぶべき代物であり
しかもそこから
日本が財政破綻などするはずがないという明るい真実より
日本は遠からず財政破綻するという気の滅入る嘘を受け入れる
信じがたいまでに自滅的な態度が生まれていると書いたわけですが・・・
この態度、
べつに政府・与党の専売特許ではありません。
民進党の岡田代表は
4月3日、記者団にこう語ったそうなのです。
安倍首相は(2014年に)
「リーマン・ショックのようなことがない限り、
必ず(17年4月に)消費税を上げます」と言って解散した。
17年4月から上げることができないとなれば、
これは重大な公約違反だ。
したがって、それは内閣総辞職に値する。
今の経済状況、
(政府が)行政改革をしていないということであれば、
国民が(「増税を再延期すべきだ」と)思うのも無理がない。
そういうことをきちんとクリアしたうえで、
(消費税を)上げられる状況を作り出すべきだ。
(増税が)事実上不可能になってきているのが現状だと思う。
だが、それは先々の世代に負担をかぶせているだけという面もある。
国民に本当に申し訳ないことだ。
上げられる状況を作り出せていないことも申し訳ない。
(カッコはすべて原文)
・・・ハッキリ言いますが、
民進党は夏の参院選(ないしダブル選挙)に勝ちたくないんじゃないですかね?
なにせ岡田発言の要旨をまとめれば、以下のようになるのです。
安倍政権は増税の公約を守れなかったダメな政権だ。
予定どおり増税できないことを、われわれは国民に詫びたい。
できるだけ早く増税できるよう、
行政改革(=政府サービスの縮小)にベストを尽くすので
ぜひ支持してほしい!!
これでどうやって支持が集まると思えるのでしょう?!?
だいたい財政健全化論の立場を取ったところで
重要なのは消費税の税率引き上げではありません。
具体的な税収の確保です。
税率を上げた結果、景気がいっそう冷え込み、税収がさらに落ち込んだらどうするんですかね?
いっそうの税率引き上げに踏み切りますか?
だから信じがたいまでに自滅的だと言うのですよ。
かりに安倍総理が国民に向けて
財政破綻キッチュの誤りを(口先だけでも)認めて謝罪し、
消費税引き下げ+積極財政を新たな経済政策に掲げたら最後、
民進党は結党後初の選挙で壊滅的敗北を喫すること確実と言わねばなりません。
しかも!
1)「2017年には消費税率を確実に10%にする」という愚かな公約を掲げたこと
2)および、どう見ても税率を上げられないぐらいに経済政策をハズしたこと
以上二つの贖罪の意味をこめて
あらためて国民の信を問うという大義名分のもと、
衆院を解散し、ダブル選挙に打って出たらどうするんですか?
岡田代表、NHKの討論番組では
「選挙のために(税率引き上げを)先送りしたら有利ではないか、
(衆参)ダブル選挙を打てる、というたちの悪い議論は政治の劣化を招く」
と釘を刺したそうですが(二番目のカッコは原文)、
先送りではなく引き下げを掲げる以上
これはまったく別の話。
減税と積極財政(=政府サービスの増大)を掲げる自民党に
増税と緊縮財政(=政府サービスの縮小)を掲げて敢然と挑む!
めざせ、一強打破!!
・・・何と言うか、
ほとんどギャグの域に達していますね。
「公約違反を追及すれば政府を追い込めるはず」という
政局重視の発想にばかりとらわれて
「経世済民のためには何をすべきなのか」という
政策重視の発想を忘れてしまうと
ここまでメチャクチャな振る舞いができてしまうのですよ!
一強打破で、民進党は「増税貫徹」して壊滅する!!
「これが最悪だと言えるうちは、まだ最悪ではない」とは
シェイクスピア『リア王』の名台詞ですが
最大野党がここまで自滅的な振る舞いをやらかすのでは
致し方ないかも知れません。
ではでは♬(^_^)♬
8 comments
フルート says:
4月 6, 2016
リーマンショックや東北大震災級の不測の事態が新たに起こらない限りは、必ず上げる。という安倍総理の消費税増税政策に対する言及の仕方は、
1) リーマンショックや東北大震災と比肩する位にネガティブなインパクトと対抗する事ができる位の政策的な正しさ、そのこうむる混乱や痛みの中でも断行されなければならない位の正しさが、自分の政策には備わっている・・とか
2) リーマンショックや東北大震災時より、今の方が景気が良い・・
とかの前提なしには、余り会話としては成立してない言及の仕方な気がします。
国外からの問題の発生だったり・自然災害からこうむる過去や未来における被害の存在の証明は主張しつつ、不景気をこうむらせた他ならぬ自分の失敗の存在は覆い隠したいしできれば無かった事にしたい。でも今まで自分は、{私は自国民の全ての意見を総合的に聞く事ができ、その上で増税という正しい決断ができた}体(てい)で「この道しかない」とも言ってきてしまっていたので・・もう国内ではなく、国外からの要請として、自国民と自分を納得させよう・・(自分の失敗をごまかそう)みたいな側面もきっとある気がします。{認めたくないしもう今更認められない・・}そんなふうにして空いている自分の中の大きな穴(創生日本の会議にて中野先生の講義を右隣で聞いている時、<新自由主義的な構造改革はデフレの促進にもなってしまっている>との中野先生のご指摘があった辺りから明らかに自分の耳を塞ぎ、ほぼ完成された総理の盲点でもあると思います)を覆い隠しつつごまかす目的で、外人が使われたという側面です。人手不足問題で真っ先に出て来る{外国人受け入れしかない}という主張のされ方も、これと関係がありそうに思います。
そして民進党は、自分で作ったキャラクター(民主くん)との別れのセレモニー(?)を自分でセットし、今の自分の中にある過去の自分の不在を証明したがっている様です(戦後民主主義を世界の民主主義と捉え、今はそれを救える最後のチャンスだと訴えながらです)。
でも例えば1年ぶり位に訪れた町を歩いている時、「シャッター商店街化が前よりひどくなってる・・」とかに気づけるのも、それは目自体は今にあっても過去からの目と今の目との両方があって気づけた事だし、過去は必ず劣った存在で、今ある過去を見下したりそれと別れたりすれば今や未来で自分は自由になる・・と絶対に言い切る事は出来ない筈とも思いますし、自分の外にある(ように思える)ものだったり・自分の中から締め出された過去だったり・自分で作ったキャラクターをもしかしたら自分の失敗の身代わりにして歪めているかも知れない今や、その一瞬前には、(認識という言葉だとやっぱり間違いだったと思っているのですが、、)まだ歪められずにいた一瞬前の相手の姿だったり・歪められ具合として比較的にはまだましだった一瞬前の相手の姿とかがあって、それは当時の自分の類推からの把握として、今もやっぱり残っている・・という様に今を解釈した方が、建設的になれる面だってある筈・・とか思います・・。今の自分に利用されたり・悪用されたりするかたちになっている何か(人だったり過去だったり)からの目になって、そこから今の自分を見る様にすれば、(かなり観念的ですけど、、)事態の悪化のスピードをせめて遅らせること位はできそうな気はします。。(長文すみません。。)
Guy fawkes says:
4月 6, 2016
今回の岡田民進党代表の自滅的欺瞞にもさる事ながら、本日号の『三橋貴明の「新」日本経済新聞』に佐藤先生が紹介された
「『だまってトイレをつまらせろ』 あなたならどうする」という朝日新聞の政治部次長・高橋純子女史によるコラム。
当該論考は読み進める度に文字通り汚臭漂う大変に勇ましい逸物でありますが、
それにしても節々に垣間見れる欺瞞性は看過しがたい。
特に私がこれまた文字通り鼻についたのは、「もっとも、労働者の連帯なるものが著しく衰えた現代にあっては、
なんだよこの会社、信じらんねーなんてボヤきながらポケットティッシュを持参する派が大勢かもしれない。」
この一文から溢れ出る傲慢と主体性の皆無さ加減は何なのでしょうか?
私には「労働者連帯の著しく衰えた現代にあっては〜」という言葉が、昨夏の安保法案の動乱にあって
「安倍政治を叩っ斬る!」と豪語した「べ供」熱心な某政治学者を彷彿とさせてなりませんでした。
大体、前提にして「だまってトイレをつまらせる」に感じた『きらめくなにか』とはなんぞや!?
ご不浄に塗れた流れない紙でつまらせる事が「生かされるのではなく、(主体性を持って)生きる自由」を証明するのか?
三度、文字通り汚物だけに異様に美化されたフィクショナルなロマンティシズム(ロマンティッシュ?)を宣うその実、
そんな事をしても解雇されて一巻の終わり。ヤーコフは捕虜ですが、工場労働者は労働者、それがマシか否かは別の問題ですが…
結局は自分達の絶対平和キッチュによって、闘争を肯定することも自己保身の損得勘定からお尻の穴が裂けても言えはしない。
主体性を丸投げした代償として遂には自らの糞尿を有難がるか近現代日本人!沼正三先生すらも予期せぬ○ucking awesome!
「だまってトイレをつまらせる」のはbad、そんな代物に「きらめくなにか」を見出したつもりになっているのはBADだ!!
カインズ says:
4月 6, 2016
民進党とは、自「民」を推「進」する「党」のことであったか!
「どうぞ我々を踏み石にしてください」と言わんばかりの自己犠牲の精神に涙を禁じ得ません。アンチが一番のファンなどと言いますが、反自民が行きすぎて最も熱烈な応援団になってしまったようですね。
増税の公約に関しては、約束は一般的には尊重されるべきでしょうが、当事者全員が「消費税増税が日本のためになる」などというアホらしい錯誤に陥っていた以上、破棄して何の問題もありますまい。
ただ、民進党が如何に体たらくとはいえ、自民党の方も「消費税引き下げ+積極財政」という正しい政策を打てるかは、かなり疑問です。何しろ、政策判断をするにおいて、政策の内容ではなく政策を語る人間を判断材料にするのですから……
福岡のワマツ says:
4月 6, 2016
果たして、
日本という舞台で現在繰り広げられているドラマとは、
喜劇のような悲劇なのでしょうか。
悲劇のような喜劇なのでしょうか。
SATOKENJI says:
4月 7, 2016
悲劇のような悲劇だったして・・・
あまりに悲劇的で笑えるというヤツであります。
Guy Fawkes says:
4月 7, 2016
Wisdom and goodness to the vile seem vile;
Filths savour but themselves.
賢明さや善良さも、悪人には悪としか思えぬ。
汚物は汚物を漁るものだ。
-ウィリアム・シェイクスピア 『リア王』第四幕第二場
福岡のワマツ says:
4月 7, 2016
そうだとすると、たっぷりと笑いながら泣けそうですね (T▽T)アッハッハ♪
せい says:
4月 9, 2016
中野剛志さんなら、きっと「これもギャグ」といって財政破綻「ギャグ」
を披露してくれたことでしょう。( ´ ▽ ` )ノ