『平和主義は貧困への道 または対米従属の爽快な末路』
について興味深いのは
読んでいて絶望的になってくる
というコメントをけっこういただくこと。
刊行前の7月、
第一章のサワリにあたる内容を
三橋貴明さんの経済塾で披露したときも
三橋さんみずから「絶望した」とポツリ。
19日のトークライブに来てくれた平松禎史さんも
新著はまだ半分近くまで読んだところで、
もはや後戻り不可能な絶望感で頭がクラクラする感覚を生で味わいました。
とツイート。
最後まで読んでくれた sayaさんまで
ラストに来るまではかなり落ち込んだ
と言っていましたね。
そうかなあ?
いや、日本が置かれた状況は決して良くありませんよ。
ついでに問題の状況は
かなり頑強な経路の産物であり
そう簡単に変えられないのも間違いない。
しかし「絶望的な現実」を直視するのは
それ自体が希望なのです。
なぜか。
そうやって直視すのは、
つまり強さの表れ。
強さのあるところに、希望がないはずはないでしょう。
平松さんもツイートの最後では
しかし、希望はないわけじゃない。
と書いていますし、
sayaさんもラストで希望を感じたと言っています。
三橋さんの「絶望した」発言も、
多分に反語の要素を持っているのではないでしょうか。
『平和主義は貧困への道」、
内容はたしかにハードですが
希望のある本だと思いますよ。
「このアタシがカバーを飾っていることがすでに希望よ!」(※)お姉さまの発言です。
19日は新聞広告も出ました。
「だいたい絶望したら、あとは黄昏れるだけでしょう」(※)お姉さんの発言です。
たとえば対米従属。
ご存じのとおり
いわゆる保守派界隈では
安倍総理は対米自立を果たしてくれるから
といって支持を表明しつつ
都合の悪いことが起きると
安倍総理もアメリカの従属国の総理だから
といって正当化する傾向があります。
この認知的不協和をどうやって
アウフヘーベンしてインテグレイトするのかと突っ込まれても
じゃあ、どうするの? と叫ぶだけ。
これを「止揚がない」と言います。(※)止揚=アウフヘーベンの日本語訳。
つまりは
対米自立が(自分の正しさを説く)口実であり、
対米従属が(自分の正しさを説く)言い訳である
という次第ですが・・・
こちらをどうぞ。
ローマ法王、訪朝要請について検討 金委員長から招き受け
(CNN、19日配信)
ローマ法王フランシスコは18日、
法王を北朝鮮に招きたいという
金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の意向を伝えられ、
検討する意向を表明した。
韓国政府の報道官が明らかにした。
金委員長からの訪朝要請は、
バチカンを訪問した韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領が
口頭でフランシスコ法王に伝えたという。
ロイターもこのように報道。
バチカン(ローマ法王庁)の高官は、
フランシスコ法王は北朝鮮訪問の可能性を真剣に検討する意向だが、
一定の条件を満たす必要があるとの認識を示した。
ここで言う「一定の条件」とは、
金正恩から正式な招待状が来ることのようです。
それだけかどうかは不明ですが。
朝鮮日報が20日に報じたところでは
法王は自分が「available」だという趣旨の返答をしたとのこと。
これは「時間の都合はつく」という意味にすぎず、
北朝鮮に行ってもよいとまでは返答していないのでは、
と解釈する向きもあります。
しかしバチカンは18日、
台湾の陳建仁副総統による訪台要請について
「法王の訪問は検討されていない」と
ストレートに断っている。
それに比べれば訪朝については
検討する意向であることをバチカンも認めた。
なんと、法王は訪台より訪朝のほうに前向きなのです。
ついでに「available」は
私の感じだと
お膳立てが整えば行くよ
というところ。
これはロイターの記事の内容とも一致します。
北朝鮮では最大5万人のキリスト教徒が
強制収容所や再教育施設で拘束されているらしいので
法王訪朝にいたる道は
平坦ではないでしょう。
しかし、
もしこれが実現すれば
金正恩にとり、米朝会談に続く偉大な外交的勝利となるのは確実。
すでに韓国の与党「共に民主党」の
洪容杓(ホン・ヨンピョ)院内総務はこう語ったとか。
(法王の訪朝は)北朝鮮を非核化の道へと導くきっかけになるだろう。
非核化を引き出すたの柔軟なアプローチも必要だ。
制裁措置を緩和することも検討しなければならない。
わが国は目下、EUと共同で
北朝鮮の人権問題にたいする決議案を
国連総会に提出する準備を進めているそうですが
韓国はこれについても
ホンネでは棄権したいと言われます。
つまり向こうの政治的抑圧に目をつぶる用意があるらしい。
ついでにアメリカのトランプ大統領は
金正恩との熱愛を告白したばかり。
韓国の元国立外交院長、尹徳敏(ユン・ドクミン)さんは
朝鮮日報のコラムでこう指摘します。
トランプ大統領のこの言葉に
金正恩委員長は会心の笑みを浮かべたことだろう。
金委員長は、金日成(キム・イルソン)、
金正日(キム・ジョンイル)、金正恩の3代にわたる
核保有国の夢が実現できるという確信を抱いたはずだ。
トランプ大統領の存在は、
金正恩委員長にとって一世一代の大チャンスだ。
北朝鮮は、トランプ大統領の衝動性と
交渉の達人という傲慢(ごうまん)な心を
適当にけしかけながら、
実務に強いポンペオ長官、
ボルトン国家安保問題担当大統領補佐官、
マティス国防長官の役割を無力化し、
自分の目的を果たそうとしている。
それどころか米中関係が緊迫している現在、
アメリカは中国牽制という点からも
米本土への攻撃能力を持たないという条件つきで
北朝鮮の核保有を黙認するかも知れません。
しかもトランプは在韓米軍の維持に否定的。
核を持った北朝鮮を実質的に容認し、
関係を友好的にすれば
在韓米軍も縮小・廃止できるし
中国も牽制できる!
韓国がどうなろうと知ったことか!
だいたい、すでに文在寅は金正恩の仲間も同然だ!
アメリカに楯突かないかぎり
核を持った統一朝鮮、大いに結構!!
そうしたら日本は震え上がるだろうから
さらに都合がいい。
守ってやるからと恩に着せつつ
USJTAを突きつけ
とことん搾り取れる!!
ジョンウン、アイ・ラブ・ユー!!!
・・・トランプがこう考えたらどうしますか。
アメリカ・ファーストの発想に従うかぎり
これって結構、ツジツマが合っていると思うんですが。
「だから、平和をカネで買う国は滅びると言っているだろうが!」(※)個人の感想です。
しかるにこのすべてを
北朝鮮の視点から見たらどうなるか?
そうです。
あの貧しい小国が
アメリカとの対立にもかかわらず、
朝鮮半島 の自立を勝ち取ったことになるのです!!
文在寅がとかく金正恩に好意的なのも
南北統一こそが対米自立への道
という考えがあるからかも知れません。
そしてそれは、必ずしも間違っているとは言えない。
もちろん、
このような形の南北統一が
朝鮮半島(とくに韓国)の人々にとって望ましいかどうかは
まったく疑わしいですよ。
自由や民主主義と引き替えの対米自立となる恐れが強いんですから。
しかしわが国は
かなり落ち目とはいえ
まだまだ地力はそれなりにある。
朝鮮半島で起きていることを
ある意味では手本にし、
別の意味では反面教師とすれば
富国と強兵路線への転換を図ることで
自由や民主主義を保ったまま
対米自立を達成する可能性も
決してゼロではないと思うのです。
そのための第一歩は何か?
当然、
対米自立を口実にしながら、対米従属を言い訳にする
認知的不協和丸出しのゴマカシをやめることですよ!
さらなる希望を見出すため、読むべき5冊はこちら!
ではでは♬(^_^)♬
(おまけ)sayaさん撮影による、プロモーション動画の収録風景です。
8 comments
アトロ says:
10月 22, 2018
「絶望が足りない」とは「希望が足りない」という意味だったのですね。
日本を憂いているように見せつつ、耳に心地よい言葉のみを入れていたのはそういうことなんでしょうか。
保守って割と様々なタイプがいると思いますが、共通して言えるのは漠然とした希望を持っていることだと思います。
どれだけ現実主義者らしく振る舞っていても、必ず日本にはチャンスがあると、そんな甘い考えを持っている人。
本当の絶望とは未来もない、希望もない、一切の夢を打ち砕くものじゃないかな。
そうでなきゃいけない。それを受け入れる覚悟があるかどうかということ。保守の人にはなさそうですね。
読んでないくせに偉そうにコメントして申し訳ないですが、新著、読んでみようと思います。ただでさえ消費税増税で死にそうなほど憂鬱なのにこれ以上大丈夫かな(笑)
GUY FAWKES says:
10月 23, 2018
件のローマ法王訪朝に絡めた佐藤先生のお話も確かに一抹の希望を感じました…が、
それ以上に!新聞広告のお隣さんがよりにもよって副島隆彦氏で当該著書と並び立っているのが…
もうなんか色々と面食らいましたwwwwww(※佐藤健志氏は陰謀論者ではありません、断じて)
tanza says:
10月 24, 2018
↓石平氏の抗議
■副島隆彦氏の捏造に基づく中傷誹謗への抗議(2018/06/05)
http://www.businesssha.co.jp/2018/06/
%E5%89%AF%E5%B3%B6%E9%9A%86%E5%BD%A6%E6%B0%8F%
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拓三 says:
10月 24, 2018
仰る通り !
しかしながら…..加憲が日本の答え…..なめとる !
自由平等 ? 自立してから考えろ !
自由貿易 ? 自立してから考えろ !
領土問題 ? 自立してから考えろ !
外交 ? 自立してから考えろ !
わたくし ! 3項加憲ならば断じて「反対」を投じます !
こらア ! バカホシュ ! そろそろ憲法改正、特に9条の改正を阻んでいるのが「国民のせい」にするのをやめろ !
こみやこういち says:
10月 24, 2018
平和主義は貧困への・・・1ページ1ページが面白いので、なかなか先に進みません。
この間、25歳の女性の美容師と話した時に、「小宮さんの話を聞いていると暗くなる。
絶望しかないって話じゃなくて、希望は無いんですか?」と言われました。
「だってしょうがないじゃないか、勉強すればするほど絶望しかないんだから」
「大体、生きるのに希望がいるなんて思っている奴がバカすぎるんだよ。
やらなきゃいけないことがあって、ただそれをやる。自分の生きているうちに結果がでない事でも、
やらなきゃいけないからやる。自分のために生きるから希望を欲しがるんだよ。
目的のために生きれば、自分なんてどうなったっていいってなるから楽しく生きられるんだよ」
その子に話が通じたとは思ってませんが、言葉にすることで、自分の意思がはっきりしました。
絶望を語る人は信用できるが、希望を語る人は全員、詐欺師と思っています。
SATOKENJI says:
10月 24, 2018
「世の中には希望を歌って退屈させるヤツもいる。
オレは絶望を歌って面白がらせるのさ」
──セルジュ・ゲンスブール
名無し says:
10月 28, 2018
でもなあケンちゃん。頭痛くて本文読んでなくて悪いんだけど。
心理や精神の分野でも自己肯定感や幼い頃の親との愛着形成、自分を褒めることや小さなゴールを見つけて自分にご褒美をあげる必要性が訴えられているでしょう
その自己肯定や自分を褒めてあげる方向性や方法が虚構の非現実的な傲慢であってはいけなく
明治や敗戦以来の認知の歪みや乖離が問題であり自己を率先して喪失させることで自己を間違って慰めてきたこともあれば、
左派も嘘や捏造含む戦前の暗黒化と連続性の否定で幼稚な幼児、または当時は未熟児の日本の親米”保守”もどきに対し愛着形成や健全な自己肯定感をわざと崩壊させいわゆるネトウヨ系という魑魅魍魎を発生させた責任がないとは言えないでしょう。もちろん明治近代化以来欧米化西欧化キリスト化でジャップ男子は自ら自己を捨て日本女子を外人に売ったのだからそんな男は日本女性に見捨てられて当然なのですが「日本の男と来た日には、ちょっと屈強で強そうな外来人に威圧されただけで膝を屈して女を差し出しながら、都合の良いときだけはヤらせろだなんて成り立つもんですか、まったくもう」
とはいえ西部さんのような天才の声でさえも通らない時代状況でこんなちっぽけな庶民が筋を通して小さな声をあげ続けることは小心者の鬱気質にはあまりに孤独で、心身が折れます。
あの西部爺ちゃんでさえ末路は自殺なのだと後追い的な陰鬱さに支配される。理性で全てを計算し測れるという傲慢さと未知の無限の途方さへの絶望的ニヒリズムから脱するにはガハハとユーモアで笑い飛ばすしかないと言ったではないかジジイ!あの自殺をユーモアにできるだろうか!!
そんな中なんの道しるべもなく総合性・一貫性・誠実性のインテグリティを孤独に保ち続けることは壮絶である
西部爺ちゃんは責任も取らずにとんでもない修行に賛同者を巻き込んだのだ。
ネトウヨの現状追認、現実逃避の現状礼賛は悪質で不幸になる
本当の意味での日本の本来性(そんなものはないとクライテリオン周辺者からは言われるだろうが)や長所短所を客観視し俯瞰的に認識しお前らは私らはできるんだというアプローチもないことには(正しい経済政策を為せば復活できる、空気や雰囲気主義の問題点、しかしその集団主義が良い方向にいけば力を持ち得た、非宗教性による一貫性やフィロソフィーレベルの視点の欠如やご主人が変わる度に従順すぎる等)
私は陰鬱さと憂鬱に支配され動けなくなっている
poti says:
10月 29, 2018
日本以外のアジア諸国を中心とした大東亜共栄圏の誕生かな?
まぁ、日本に関しては考え方と行動を改めてからまたお話しをしましょうという事で。
別に日本なんて無くても東アジアはもう回るでせう。
話は変わって朝鮮半島の統一に関しては基本的に賛成。
戦争が終われば戦後処理の一環で平和裏に拉致被害者の処遇決定だって出来ましょう。
まぁ、中国経由で拉致被害者が自力帰国する方が政府の対処による解決よりも早そうな雰囲気で御座いますが。
大体自国すら統治できない連中が領域秩序の再編に手を出すとか、蚊帳の外に門前払いが丁度いい。
いても邪魔なだけ。
それと、遂に安倍総理は現実認識を捨てて爽快になったように見えます。
この分だと来年は今より更に酷くなるでしょう。年の瀬も近づく最中、
ああ、やっぱりなという気分に包まれつつ生き残りの為の準備と自己鍛錬を心ある有志の方は行われたく。