アメリカにおける社会的格差は

1960年代ぐらいまでは

縮まる傾向を示していました。

 

しかし1970年代を境に

むしろ拡大の方向へと逆転。

 

1980年代のレーガン政権が

(新)自由主義的な経済政策を推進したことで

趨勢には拍車がかかります。

 

その結果が

国民の7人に1人が食事の援助を受けているという

現在の状態。

 

格差拡大に歯止めをかけないかぎり

事態はいっそう悪化するでしょう。

するとアメリカはどうなるか?

 

ここで紹介したいのが

同国の作家ノーマン・スピンラッド

1983年に発表した短編

「STREET MEAT(街のクズたち)」。

 

1988年の作品集

「OTHER AMERICAS(アメリカの夢、悪夢のアメリカ)」

に収録されています。

 

舞台となるのは

貧富の差が極端に拡大した

近未来のニューヨーク。

 

富裕層の住む区域は

周囲から厳重に隔離されたうえ

私設警察によって守られています。

 

そして、それ以外の区域は

弱肉強食の無法地帯。

ここではネズミが食料となっています。

 

つまり「ストリート・ミート」という題名は

無法地帯に出没する凶暴な連中(女も含む)と、

彼らがタンパク源として食べるネズミの肉

の両方にかけてあるのです。

 

作者のスピンラッドさんいわく。

 

この小説のニューヨークは、

現実のニューヨークとどれくらい、かけ離れたものか?

思っているほど、距離は大きくないかも知れないぞ。

 

マンハッタンの路上には、すでに何万人というホームレスがいる。

高級高層マンションのすぐ隣には、廃屋と化した建物がある。

貧困層に属する人々の数は膨大だ。

彼らは「仕事につく」などという話を聞いたことすらない。

 

次の経済危機が訪れ、

ちょっとインフレが激しくなり、

ドルの価値がさらに下がり、

失業率が上がりでもしてみろ。

「ストリート・ミート」は、あっさりSFじゃなくなるかも知れないぞ・・・

 

ちなみにスピンラッドさんの公式サイトをご紹介しておきましょう。

興味のある方はこちらをクリック!

 

ではでは♬(^_^)♬