次の本が追い込みに入っていることもあって
今週は記事の間隔が空いています。
ご了承下さいm(_ _)m
さて。
18日は『FRONT JAPAN 桜』をやってきました。
共演は前回につづいて佐波優子さん。
「人を好きになるのは難しい」発言で物議をかもした saya さんもそうですが
最近、保守系の女性たちの間にも
フェミニスト的な関心の高まりを感じますね。
とかく男尊女卑的なパターンに安住しがちな男性陣が
これにどう対応するかは、非常に興味深いところ。
2015年あたりから、保守論壇は若い男性が払底しています。
このうえ、若い女性たちからもドン引きされるようなことがあったら
いよいよ人材が枯渇するかも知れませんからね。
そうそう、
saya さんに続いて、佐波さんも本日の『激論! サンデーCROSS』に出るそうです。
みなさん、ぜひ見てあげて下さい。
なお次回の『FRONT JAPAN 桜』は、
5月25日(金)に saya さんとやる予定です。
さて。
北朝鮮は5月16日、
米韓空軍が開始した訓練「マックス・サンダー」が軍事的挑発だとして
この日に予定されていた韓国との閣僚級会談を中止しました。
6月12日の米朝会談についても
取りやめの可能性をほのめかしています。
さらに韓国側が、会談中止に遺憾の意を表明すると
判断能力のない無知無能な集団
と罵倒。
完全な核廃棄が実現するまで圧力を加えるべきだとするアメリカと結託している
と批判しています。
事の発端はやはり
ジョン・ボルトン大統領補佐官が
北朝鮮の非核化を「リビア方式」でやると発言したことでしょう。
私の理解するところ、リビア方式とは
1)CVID(完全で検証可能、かつ不可逆的な非核化)の一形態で
2)核開発の完全放棄をまず実行させ、その後で制裁解除や援助を行うもの
と規定できます。
しかしこれだと、
核開発を放棄した後で、アメリカにつぶされるのではないか
という不安を、金正恩が抱いたとしても無理はない。
現に「リビア方式」を受け入れたムアマル・カダフィ大佐は
その8年後、
親米の反体制武装勢力(当然、アメリカも後押ししていたはず)によって
拘束・殺害されているのです。
のみならず北朝鮮は今まで
リビアは核兵器を持っていなかったからアメリカにやられた
と言って、核開発を進めてきたのですぞ!!
ダメ押しと言うべきか、
アメリカは先週、
イランの核開発をめぐる国際合意からも
「生ぬるい」という理由で離脱しています。
北朝鮮メディアは今のところ
イラン合意脱退を取り上げはしたものの、
アメリカを非難するようなことはしていない
とのこと。
とはいえ南北閣僚級会談を中止するにいたった原因は
米韓の合同訓練よりも
1)ボルトンによる「リビア方式適用」の発言
2)アメリカのイラン合意離脱
にあると見るべきだというのが私の考えです。
こう言っては何ですが
このタイミングで合同訓練をやることを
今まで北朝鮮が知らなかったはずはない。
ついでにボルトン発言+イラン合意離脱は
アメリカはいずれ北朝鮮をつぶすつもりであり
「体制保証」など口先にすぎない
と受け取られても仕方ないものなのです。
はたせるかな、
5月17日にトランプはこれについてコメントしますが、
その内容がじつに面白い。
BBCの動画から翻訳しましょう。
リビア方式を北朝鮮に適用しようなんて考えは
全然、持っていないよ。
リビアの場合、オレたちはあの国を殲滅したんだ。
マジでつぶしてやったわけだ。
カダフィを生き残らせてやる、なんてディール(取引)もなかった。
そういうリビア方式が話題になっているようだが
今度のディールとは大きく違う。
金正恩とのディールは、彼が生き残り、
あの国で統治を続けるというものだ。
あいつの国は、グンと豊かになるだろう。
金正恩の国の人々は、えらい勤勉だ、
韓国を見れば明らかだろうに。
産業発展という点からすれば、
オレたちが進めようとしているのは「韓国方式」なんだよ。
まず注目されるのは
アメリカがリビアをつぶしたとハッキリ認めていること。
しかもカダフィ生き残りのディールはなかったと来るんですから
最初から滅ぼす気だったということになります。
しかるにリビア合意がなされたとき、
そんなことをアメリカは謳ったか?
謳ったわけがないでしょうが。
こういう振る舞いを、ふつうの日本語では「だまし討ち」と言います。
となると、
いかに後半部分で発展を約束しようと
金正恩の視点に立てば
こんな疑問が湧いてくるはず。
「オレの国」とか、何やら持ち上げているようだが(※)
ヤツの提唱しているディールは、そもそも信用できるのか?
「リビアとは違う」とか言って
結局は滅ぼしにかかる気なんじゃないか?
(※)冒頭の箇所を除けば、トランプは「ノース・コリア」という表現を使っていません。
「ヒズ・カントリー」(彼の国)「ヒズ・ピープル」(彼の人民)と言っています。
・・・これは正当な戦略的判断です。
よしんばリビア方式を適用しなかったとしても
アメリカがCVIDまで譲歩するとは信じがたい。
つまり北朝鮮にしてみれば
在韓米軍の撤退とか
前倒しの援助実施とか
よほどの条件がつかないかぎり
非核化をおいそれと進めるわけにはゆかないのです。
もっとも、国家間の生存競争においては
この程度の駆け引きはあって当たり前。
閣僚級会談の中止をもって、
米朝会談も中止か? と推測するのは
いささか時期尚早でしょう。
北朝鮮だって、韓国を無知無能と罵倒しつつ
イラン合意離脱をめぐってアメリカを批判することはしていないのです。
まあ、ジャブの打ち合いが始まったぐらいのところではないでしょうか。
とはいえ、ちょっとうらやましいのが
アメリカの善意を安易に信用しない北朝鮮の態度。
朝鮮戦争がまだ正式に終結していないのを思えば
当然のことではあるものの
外交とは本来、これくらい疑心暗鬼にやるべきだと思うのですよ。
しかるにわが国はどうか。
敗戦いらい、アメリカの善意を信用してばかりで
希望の同盟ならぬ「希望的観測の同盟」を築いてきたのが実情ではないか。
♬だから日本は宇宙のジョーク、あっソレ♬
イラン合意離脱をめぐり、
アメリカのある政治学者はこうコメントしています。
この離脱が世界に与えたメッセージは以下の通り。
国際的合意には有効期限がある。
が、核兵器は生涯にわたる安心を与えてくれる。
私なりに言い直せばこうです。
アメリカは裏切るかも知れない、だが核兵器は裏切らない!
・・・いえ、私だって国際平和には賛成ですよ。
善隣友好にだって賛成です。
だとしても、あらゆる外交関係は
外国は裏切るかも知れない、だが武力は裏切らない
という鉄則のもとに構築されるべきではないでしょうか。
これを忘れ、同盟国同士なら100%共にあるはずだなどという
お花畑的妄想に取り憑かれたら最後、
遅かれ早かれ、この鉄板印籠発言が待っているのであります。
「バカ野郎、だから言っただろうが!」
(↓)そういう状態に陥らないため、読むべき3冊はこちら!
そして、おのれの善意に流されないことも重要ですね。
ではでは♬(^_^)♬
3 comments
poti says:
5月 20, 2018
言い換えると。同盟者は裏切るかもしれないが実力は裏切らない。
よそ者は裏切るかもしれないが、自分のとこの田畑は裏切らない。
そういう話でございますなぁ。危機に於いて裏切らない味方は黄金より価値があるのですが、
ジャップ共はその辺りが解っていない。だからジャップなんだなぁ。
マゼラン星人二代目 says:
5月 21, 2018
>外国は裏切るかも知れない、だが武力は裏切らない
>武力は裏切らない
留保なしの賛成はできない。
何も河本大作とかを持ちだすまでもない。
自衛隊を政権与党の私兵扱いの(前)防衛大臣。
国会議員を「国民の敵」呼ばわりの中堅士官。
殷鑑遠からず。
玉田泰 says:
6月 3, 2018
「世界史・一気読み」読み進めています。実に面白い。
一つの時代を、それぞれの執筆者が専門の視点から様々に読み解くという企画の本は初めて読みました。一つの時代のうねりを立体的にイメージできます。
シリーズ化して欲しいです。個人的には、日本・近現代史編を出して欲しい。明治維新~現代の先生の見解を読んでみたいです。