「真相報道バンキシャ!」、いかがでしたか。
盛りだくさんの構成になっている番組なので
実際にコメントできる時間は短いのですが
なかなか充実した内容をお届けできたのではないかと思います。
ところで新幹線放火事件をめぐって
番組でお話ししたコメントを、ちょっと補足しておきましょう。
ご存じのとおり、
新幹線は1964年の東京オリンピックにあわせて開通したもの。
ちなみに新幹線の原型となったプロジェクトは
なんと1940年に決定されていたと言われますので
その意味でもオリンピックとは縁が深い。
(注:東京オリンピックは、当初1940年に開催が決まっていましたが
日中戦争勃発のため返上されました。
その後、ヘルシンキでの開催が発表されたものの、
1939年に第二次大戦が始まったため中止となっています)
1964年の東京オリンピックには
日本が敗戦の痛手から立ち直り、経済的繁栄へと進みつつあることを
世界的にアピールする狙いがあったわけですが、
新幹線もその一環だったのです。
しかるに今回、
車内で焼身自殺した林崎容疑者は71歳。
計算してみると、1943年か1944年の生まれです。
1964年、林崎容疑者は20歳か21歳。
彼は新幹線とオリンピックに、輝かしい夢を見たのに違いない。
ところが半世紀後、
林崎容疑者は生活に困窮することに。
そんな人物が、新幹線の中で焼身自殺したのです。
これは〈発展も繁栄も嘘だった〉という
「戦後への幻滅」の表明と取るべきではないでしょうか?
事件に巻き込まれた方々、
とくに亡くなられた桑原佳子さんは、
むろん、まことにお気の毒です。
しかし、再発を防ぐためにも
何が焼身自殺を引き起こしたか
われわれは考えねばなりません。
関連して注目したいのが、
林崎容疑者が1号車の一番前、
運転席のすぐ後ろで自分自身に火をつけたこと。
この場所の選び方にも、象徴的なものを感じます。
つまり林崎容疑者、
「夢の超特急」だった新幹線が
生活に困窮して身体に火をつけた人間を先頭に立てて走る状態を
つくりあげたのです!
同じ焼身自殺にしても
最後尾の車両の一番奥で火をつけていたら
意味合いはまったく違ったことでしょう。
新たなオリンピックが近づき、
リニア新幹線の建設も始まった昨今ではありますが
はたしてわれわれは、
1964年当時のような夢や希望を
国の未来にたいして描けているか。
これを問い直さないかぎり
今回の事件の教訓は見過ごされてしまうように思います。
ちなみに戦後日本のたどってきた道については
「僕たちは戦後史を知らない 日本の『敗戦』は4回繰り返された」をどうぞ!
ではでは♬(^_^)♬
3 comments
頓珍漢 says:
7月 6, 2015
>1964年当時のような夢や希望を
東北震災にも、オリンピックにも、リニア新幹線にも、政府内閣の態度は、
”何処にそんな金があるのかねーっ!” (’86映画AKIRAで頭にこびり付いてしまった台詞)
借金家計簿・発展途上国・指向にしか見えやしませんっ!。
政府の負債よりも民間の負債がバブル崩壊を起こしてきたのに・・・・
しかもデフレを延長しようとしている。ハッキリ言って間違えるにも度が過ぎ過ぎます。
失礼しました。
マゼラン星人二代目 says:
7月 6, 2015
>「夢の超特急」だった新幹線が
「夢の超特急」
言われてみれば。確かにそれが正しいのでしょう。
でも、余りピンとこない、というのが本音です。
私にとって、新幹線というものは、
「夢」というよりは、むしろ、
「信頼性」「安定性」
の代名詞であり続けました。
それが、今回、とうとう地に足をつけた。
そこにある種の(あまりよくない意味での)「新しさ」があると思いました。
カインズ says:
7月 6, 2015
青春時代の輝かしいオリンピックと苦しい現在のオリンピック、自分の状況と対応するかのような日本の現状。映画に出来そうな内容ですね。ラスト、携行缶を持って新幹線に乗り込む男の背中でfin。映像が見えるかのようです。