前回記事につづいて
今日もウルトラマンがらみのネタでまいります。
「ウルトラセブン」第25話に
ポール星人というのが登場しました。
かなり寒い星の出身らしく、
地球防衛軍基地を凍らせたうえ、
地球そのものを氷河期にすることで
侵略を果たそうとするんですな。
ところがウルトラセブン、
たまたま寒さに弱かった。
故郷のM78星雲には冬がないから・・・ということですが
なぜ星雲全体に冬がないのか、
私は理解しておりません。
それはともかく。
弱点を突かれたせいでウルトラセブンも苦戦しますが
むろん最後には勝ちます。
しかしここで、
撤退してゆくポール星人が
しょうもない負け惜しみを口にするんですよ。
いわく。
ウルトラセブン、われわれの負けだ。
だがわれわれは、
お前の弱点を知っただけで満足している!
おい、ちょっと待て!
真面目に侵略する気があるのか?!
ウルトラセブンの弱点が分かったのなら
作戦を立て直して、また攻めてくるのが筋だろう!!
・・・とまあ、子供心にもツッコミを入れていたわけですが
今にして思うと
ポール星人流の負け惜しみは
現実の世界でもしばしば使われています。
本来の目的が達成されていないことを認めつつ、
別の二次的な目的が達成されたことを理由に
あたかも本来の目的が達成されたかのごとく振る舞う、というテクニック。
たとえばこんな感じ。
われわれがめざしたデフレ脱却は達成されていない。
しかし景気は「穏やかな回復基調」にある。
だからわれわれの政策は成功している。
あるいはこう。
われわれの応援した候補は当選できなかった。
しかし短期間のうちに、多くの支持が集まった。
だからこれは実質的な勝利である。
してみるとポール星人、
故郷の星に戻ったあとは
われわれの地球侵略は失敗ではない!
ウルトラセブンの弱点を知るという
それなりの成果を挙げた!!
と力説していることでしょう。
ちなみに地球防衛軍のエリート部隊
ウルトラ警備隊の友里アンヌさんも、
ツイッターで判断するかぎり
ポール星人には真面目に侵略する気が不足していたのではないか
というご意見のようでした。
ではでは♬(^_^)♬
3 comments
Guy Fawkes says:
12月 27, 2015
佐藤先生の言葉をお借りするならば…「幻想(ファンタジー)としてのごっこ遊び」
もっと辛辣に表現するなら、それによって犠牲になる人々が大勢いるにも拘らず
そこには見て見ぬ振りで自分達の大義を正当化する「質の悪い冗談」でしょうか。
『戦争論』で有名なプロイセン軍人であるカール・フォン・クラウゼヴィッツは
「戦術の失敗は戦略で補う事が出来るが、戦略の失敗は戦術的勝利では覆せない」という
有名な言葉を残しています。
しかし、そもそもの戦略が存在しなければ先にもありました様に
「真実は存在せず、あらゆることが許される」という『なんでもあり』に回帰する。
嗚呼、なんという堂々巡り…
マゼラン星人二代目 says:
12月 31, 2015
>ポール星人には真面目に侵略する気が不足していたのではないか
意外と合理的な選択かも知れません。
ポール星人にしてみれば、地球人やそれに肩入れするウルトラセブンの脅威を除くことが重要なので、地球の侵略と制圧という事業は彼らにとって、そのための数ある手段のひとつでしかない。よって、仮に寒冷化作戦でウルトラセブンの弱体化に成功したのであれば、彼らの目的は達せられたことになる。
>地球人やそれに肩入れするウルトラセブンの脅威
『ウルトラセブン』の世界観のもとでは、地球人というものは、自分たちで考えているほど善良でもなければ平和的でもなく、むしろ、好戦的でエゴイスティックな存在とされている。(ギエロン星獣のエピソードやザンバ星人に対すえるやり方、そして何よりも「内なる外国」ともいうべきノンマルトに対する仕打ちを想起のこと)
SATOKENJI says:
12月 31, 2015
今度、ポール星人に会う機会があったら確認しておきます。