演劇に関する有名な格言に
芝居は作者、役者、観客の三者によって成立する
というのがあります。
つまり芝居とは
この三者の間で生じる
感動の循環運動なんですね。
作者は、感動したいという観客の思いに応えるべく台本を書く。
役者は作者の意図を踏まえて、台本に描かれたドラマを自分の身体を通じて表現する。
そして観客は、役者の身体を通じて表現されたドラマに接して、
自分が味わいたかった感動を見出す。
ざっと、そういうことです。
ちなみに、この循環運動が円滑に成立すべく尽力するのが
演出家の務めです。
さて。
これにならって言えば、
本は著者、読者、編集者の三者によって成立します。
編集者の務めは
芝居における役者と演出家を混ぜ合わせたようなもの。
「これを読者に伝えたい」という著者の意図を踏まえて、
原稿で展開された世界を本という形で表現し、
著者と読者のコミュニケーションが円滑に成立すべく尽力するのです。
すぐれた編集者が関わるかどうかで
本の仕上がりはかなり変わると言っても過言ではありません。
おかげさまで、今回の本
では、
非常に優秀な編集者が関わって下さいました。
イニシャルを取ってAさんとしますが
この方の貢献には大きなものがあります。
まず本の骨格を詰めてゆく段階で
いろいろディスカッションしたのですが、
Aさんの意見は
コンセプトの説得力や具体性を強めてゆくうえで
非常に役立ちました。
そして執筆開始後は
事故による三ヶ月あまりの入院というトラブルにもかかわらず、
スケジュールをしっかり管理、
装丁や造本まで含めて
ベストの仕上がりになるよう
最後まで尽力して下さったのです。
今回の本は
内容的にバラエティに富み、
かつ奥深いという
充実した出来になったと自負していますが
それもAさんの的確なサポートあればこそ。
内容面での責任は
すべて私にあるものの
腕のいい裏方なくして、素晴らしい舞台が成立しないように
すぐれた編集者なくして、面白い本は生まれないのです。
ではでは♬(^_^)♬