イギリスの大物ロック・ミュージシャンに
ロジャー・ウォーターズという人がいます。
1960年代、仲間とピンク・フロイドというバンドを結成。
前衛的・宇宙的なサウンドでカルト的な人気を得たあと
1973年、アルバム「狂気」で大ブレイクしました。
しかるにウォーターズはこのころより
バンドの主導権を握るかたわら
政治的な関心を強めてゆく。
それとともにフロイドの作品も
かつての宇宙的な感覚は影を潜め
音楽を通じて自国や世界の状況を風刺的に批判する
という感じになっていきました。
1980年代、ウォーターズはフロイドを脱退、
ソロ活動を始めますが
政治的な関心はここでも健在。
1987年のアルバム「RADIO K.A.O.S」では
今で言うグローバリズムや新自由主義の風潮をやり玉にあげたり、
1992年のアルバム「死滅遊戯」では
消費文明をきわめようとしたあげく、人類が滅びるさまを描いたりと、
一作ごとに社会批判を続けてきました。
ちなみにご本人の政治的立場は
「国家のツジツマ」でも指摘したように
19世紀的な保守主義者。
つまりは社会主義寄りの立場を取ることで、自由主義の暴走を抑え込もうとする人物です。
より詳しくはこちらをどうぞ。(↓)
さて。
そのウォーターズが最近、
2016年アメリカ大統領選をめぐって
スゴいコメントをしました。
民主党の有力候補、ヒラリー・クリントンについて、こう言ったのです。
もし当選したら彼女は
核兵器を使う最初の女性大統領になるんじゃないかという気がする。
ヒラリー・クリントンには
恐ろしくタカ派的な何かがあるんだ。
ウォーターズは1983年、
ピンク・フロイドのメンバーとして最後につくったアルバム
「ファイナル・カット」でも
サッチャー首相がフォークランド紛争で核を使うのではないかと危惧したことがあります。
しかし、ヒラリー・クリントンへの心配はちょっと意味合いが違う。
ウォーターズはこうも言っているのです。
共和党から大統領選に出たがっている連中に比べれば
(ヒラリーは)はるかにマシだよ。
まったく比べ物にならないと思う。
そのヒラリーにして
核を使う最初の女性大統領になるのではないかというのです。
これはつまり
2020年までに、アメリカは世界のどこかで核攻撃に踏み切る恐れが強い
と述べたにひとしい。
大統領が核を使う、その日は本当に迫っているのか?
ウォーターズの予想が間違っていることを願いますが、
さあ、どうでしょう。
なりゆきが注目されます。
ではでは♬(^_^)♬
2 comments
たかゆき says:
10月 30, 2015
二度ある事は 三度ある かも
子供の頃に見た夢、、
在日米軍基地の方向から 大きなキノコ雲が立ち上がる光景
いまでも 鮮明に思い出せます。
真偽のほどは 定かではありませんが
9.11ではペンタゴンにドローンを突っ込ませたと言われている
お国柄ですから。。。
9.11は アメリカの国民世論を誘導するために
「Remember Pearl Harbor」と同じ効果を狙ったもの と
ぼくは 理解しております。
さて キノコ雲、、
「オレの言う通りにしなければ 横田基地にキノコ雲が
立ち上がるかもしれませんよ」
彼等なら こう言って 日本政府に圧力をかけつづける かな。
もし日本が独立国ならば
ワシントンや ニューヨークの近くに 日本軍基地を持ち
彼等と同じことが 出来るようにするのが
対等な国のお付き合いの仕方というものでは
ないでしょうか。
ぼくの見た夢が 正夢とならぬように
心底 願っております。
Guy Fawkes says:
10月 30, 2015
ロジャー・ウォーターズとピンク・フロイドは洋楽好きの父から名前だけは聞いたことがあります。
聞いた話では事実上のリーダーであるシド・バレットの実家は彼の母親が下宿として貸し出していて、
何とそこに住んでいた人物に60年代に英国留学中の小泉純一郎元首相がいたとか!
話は変わりますが、私が10代最後に阿呆の様に読み返した作家さんで伊藤計劃という方がいました。
この方は長編2作(丁度三ヶ月前の白井聡先生をお招きしての表現者シンポジウムでお渡しした小説です)と絶筆の1作を残し6年前に34歳の若さで夭折されたのですが、今月初めから劇場アニメが公開予定です。
しかし、処女作である『虐殺器官』が制作会社の倒産で先日無期限延期が発表されてしまいましたが…
その『虐殺器官』はこんな近未来が描かれています。
「サラエボで発生した核爆弾テロによって世界中で戦争・テロが激化した結果、
アメリカを始めとする先進諸国は厳格な個人情報管理体制を構築しテロの脅威に対抗していた。
十数年後、先進諸国からテロの脅威が除かれた一方、後進国では内戦と民族対立により虐殺が横行するようになっていた。事態を重く見たアメリカは新たに情報軍を創設し、各国の情報収集と戦争犯罪人の暗殺を行うようになった…」
また、その物語が佳境に差し掛かる中で主人公のモノローグでこんな事が述べられていました。
「サラエボで核爆弾が炸裂した日、世界は変わった。ヒロシマの神話は終わりを告げた。
(中略)冷戦期、核は終末の象徴だった。米ソの核が永遠の冬をもたらし、人類は滅亡する。
「核による終末」という神話を皆が信じこんでいたからだ。
にもかかわらず、それは何かの終わりにも始まりにもなれなかった。
大量に人が死ぬことに、世界は慣れつつあった。」
また、作中の登場人物に虐殺の牽引役とされる言語学者にジョン・ポールというキーマンがいるのですが
これをラテン語の奪格形に変換すると「ヨハネ・パウロ」になる…
「2020年までに、アメリカは世界のどこかで核攻撃に踏み切る恐れが強い」
とウォーターズ氏は発言しましたが、これまたこじつけですが言い換えればアメリカを抜きにしても
「近いうちに世界のどこかが部分的な核戦争に陥る」とも言える様な気がします。
『夢見られた近代』での『第三章「ビンラディン教」の福音』の部分を読みながら、
思わず連想せずにはいられませんでした(苦笑)
長文、大変失礼しましたorz