さて、G・Sさんの年賀状に仕込まれていた歌ですが。
曲名はこれです。
I’VE BEEN WORKING IN THE THEATER.
みなさんご存じ、アメリカ民謡
「線路は続くよ、どこまでも」
(I’VE BEEN WORKING ON THE RAILROAD)
のパロディ。
さしずめ、「舞台は続くよ、どこまでも」。
しかしこの曲、日本では佐木敏さんの訳詞によって
明るく楽しい汽車の旅を歌ったものと思われていますが、
じつは線路工事のキツい労働を歌ったもの。
19世紀後半、アメリカの大陸横断鉄道建設に関わった
アイルランド系の人夫たちから生まれたとのことです。
そして「舞台は続くよ、どこまでも」は、
この歴史をちゃんと踏まえていました。
G・Sさんの歌詞いわく。
I’VE BEEN WORKING IN THE THEATER
ALL THE LIVELONG DAY
I’LL BE WORKING IN THE THEATER
JUST TO SPEND A HAPPY DAY…
オレは劇場で働いている
日がな一日、芝居暮らし
明日も劇場で働くのさ
楽しく一日を過ごしたいから
この詞には感動しました。
G・Sさん、
「楽しく一日を過ごしたいから」と歌っていますが、
芝居づくりも非常にキツい仕事。
私も垣間見たことがあるものの、
起こりうるトラブルはすべて起きるぐらいに思っていた方がいいというか、
想像もしなかったトラブルさえ起こらなければラッキー、という感じの世界です。
とくにG・Sさんは
舞台制作を統括する立場になることが多いのですが、
これはつまり、ありとあらゆるトラブルを持ち込まれるということ。
歌い方がブルースっぽいのにも、隠された意味があるのかも知れません。
そんな現実にもかかわらず、
楽しく一日を過ごしたいから明日も劇場で働くと宣言する。
舞台づくりにたいする深い愛情と、
職人的な心意気を感じるのは私だけではないでしょう。
ここの箇所、もとの歌詞では
JUST TO PASS THE TIME AWAY
(何も考えず、ただ身体を動かしている)ですから、
大陸横断鉄道の建設にかかわった人夫たちより
ずっとポジティブになっています。
カッコいいですよ、G・Sさん!
ますますのご活躍を!
あなたの舞台はどこまでも続きます!
ではでは♬(^_^)♬
1 comment
KATO says:
1月 9, 2015
舞台芸術の世界の真にハ-ドですね。戯曲を書かれる佐藤さんには周知の事でしょうけども。舞台は生き物。どれほど念を入れて注意深く準備を重ねても、トラブルは発生してしまうんですよね。職人気質はその中で培われるのでしょうね~。大陸横断鉄道の現場も、それほど高度に専門的な技術は要しなかったとしても、建造に関わった工夫達は、いわば自分達が明日のこの国の社会を創ってるんだぞ!!との気概もあったかも知れません。キツイけども楽しくもあるというそんな場だったのかな?とも思います。そういう意味でも、G・Sさんの替え歌はとても素敵なセンスの成せるわざですね。