「おはよう寺ちゃん 活動中」、いかがでしたか。
今日は放送で展開された話題のうち、
私自身が「あっ!」と思ったものについて書きます。
番組スタッフから事前にいただいたテーマの中に、
もし今年、「憲法九条を保持する日本国民」がノーベル平和賞を取っていたらどうなったか?
というのがありました。
で、具体的に考えてみたのですが・・・
愕然となりました。
私は今まで、
平和賞受賞は改憲を阻害するかに見えて、じつは促進するのではないか
と主張してきたものの、
考えれば考えるほど
かりに今年取っていたら、プラスの影響もマイナスの影響も、まったく及ぼさない
可能性が強いと思ったのです。
むろん鷹巣直美さんはじめ、推進派は有頂天になること確実。
左翼マスコミも盛り上がります。
しかし一般国民の反応はどうでしょうか?
安倍総理は改憲論者ですが
現在、改憲が政治的な争点としてクローズアップされているわけではありません。
多くの人々にとっては
景気の動向、自分の暮らし、あるいは消費税率のほうが、よほど切実だと思うのです。
一時的に「へえ、九条って立派なんだな」というムードになったとしても
あっという間に冷めるのでは?
では、政界の反応はどうなるか。
これも(良いか悪いかはともかく)鈍そうです。
改憲がクローズアップされていないときに
「平和賞を取ったんだぞ、九条は絶対だ!」と叫んでも
政権に打撃を与えることはできません。
となると、何事も起こらなかったかのごとく「政治とカネ」にこだわるのでは?
佐藤栄作さんが非核三原則で平和賞を取ったときも、
野党は核持ち込みとの矛盾を攻撃するのではなく、
田中総理の「金脈問題」を追及しました。
それが再現されるのでは、ということです。
国会議事堂の前に市民団体が集まって
「平和賞に輝く九条を変えるな!」と叫んだとしても、
議事堂の中では
「盆踊り大会にうちわを配るのは公選法に触れるかどうか」が論じられる。
そして一ヶ月たち、二ヶ月たち、
消費税率引き上げをめぐる結論が出るころには
たいていの人が受賞を実質的に忘れているのでは。
「平和賞受賞? ああ、言われてみればそうだったねえ」という次第です。
10大ニュースには入るでしょうが、
エボラ出血熱の流行、
イスラム国の勢力拡大、
ウクライナ危機などを向こうに回して、トップが取れるとは思えません。
朝日の虚偽報道とか、STAP細胞の捏造疑惑などと
大差ないレベルの扱いになってしまうのです。
鷹巣さんたち推進派も、当初の熱狂が冷めた時点で
まず愕然となり、つづいてがっくりするのではないでしょうか?
平和賞受賞は改憲を阻害するかに見えて、じつは促進するのではないか
というのは、
日本の将来をめぐる危機感が国民の間に共有されていることを前提としての話で、
そうでない場合、
阻害もせず、促進もせず、巨大な空振りに終わる
という結果が待っているのかも知れません。
つまり推進派の思惑通りにはならないものの
保守にとって望ましいかどうかも、かなり微妙ですね。
いかなる政治運動も、国民の無関心には勝てませんので・・・
ではでは♬(^_^)♬
1 comment
フルート says:
11月 5, 2014
佐藤先生は今年佐世保でバラバラ殺人が起きてしまった時(正確には事件直後のブログに書かれました「バラバラ殺人の文明論」という論考に於いて)、いつもの佐藤先生の挨拶(ではでは♪)は使われませんでした。それと同じ様に今週の寺ちゃんでは「グッモーニン・エブリバディ!」は使われませんでしたけれど、考えてみますと
改憲派のリーダーである安倍総理の認識は
「TPPは歴史の必然です。」
安倍政権支持だが中国とのお商売に差支えがあるので改憲不支持、な経済人の認識は
「TPPは国防の為にも成るんですよ。」
左翼とアメリカと安倍政権の経済政策には反対だが、安倍政権絶対支、という保守派の認識は
「安倍さんは日本の為に左翼やアメリカの策略と戦っている。だが左翼やアメリカの蠢動に乗じ様とする者がいる。安倍政権を守ろう。」
左翼とアメリカと安倍政権の経済政策には反対であるが、左派側の経済政策に関する主張には尤もな点を見出せる柔軟性を持っている、従って安倍政権絶対支持と言い切る・考える事はしない。の保守派の認識は
「改憲しさえすれば、左翼・アメリカ(の軍事戦略、或は軍事的恫喝)・並びにアメリカに引っ張られて行っている安倍政権の経済政策などを抑え込む事ができる。乃至少なくともその方向に進む事は、自明な事の筈である。」
極端な左翼の認識は
「安倍政権は私たち日本国民から平和を奪おうとしている。(※安倍政権の支持率を支えているのだって日本国民ですし、何より国際社会は現在に於いても各国とも<理念の話としては別ですが>平和=生得的なものであり且つまた不変のもの、という様な認識で行動してはおりませんので、その点から言っても『私たち日本国民から、奪おうとしている。』は変だと思いますが・・)」
大まかで抜けてしまった部分があるかと思いますが・・いずれのグループも、敵対グループのせいで自分達は上手く行っていない、と考えているか、或はTPPの推進・反対、改憲の推進・反対というそれぞれの意向全てに於いて、まるで作用因に対する目的因の過剰が起ってしまっているかの様な、左派保守派関係無しの(詰り両方ともの)、現在への未来の取り込みが加速してしまっている点を見逃していて、日本の戦前と戦後の歴史両方に筋を通す・或は賢も愚もありのまま受け入れその両方を生かす・とこの様には思い至らない、バラバラへと向かわせる遠心力の方が日本には強くて、この遠心力を適度に制御できる様な、全体を包含できる様な、そういう見識・そういう主体性が国民の多くにあれば良かったんですが・・今はまだダメだったのでしょうか。。(確かに戦後日本人にとっての一番の拠り所は、お金だったのかも知れませんし・・)
次回の寺ちゃん出演も楽しみにしています!