世界一、豊かな国と言われるアメリカですが
じつは国民の7人に1人が
食事の援助を必要とする状態に置かれている。
ウソみたいな話ですが、事実です。
そしてこれは
1980年代いらい同国が取ってきた
新自由主義的な政策の帰結。
ここで思い出されるのが
ブルース・スプリングスティーンが1982年に発表した名盤
「ネブラスカ」。
いわゆるロックのアルバムではなく
アコースティック・ギターとハーモニカ、
それに少々のシンセサイザー以外は
何の楽器も使われていない
非常にシンプルな作品です。
ちなみにすべての楽器を演奏したのは
スプリングスティーン自身。
描かれているのは
社会的格差がどんどん広がり
貧困は自己責任として片付けられる社会での
労働者階級の姿です。
アメリカのロック評論家グレイル・マーカスは
「ネブラスカ」について
ウォルター・カープという人物の文章を紹介しつつ、
こんな趣旨のコメントをしています。
われわれが平等につくられているということは
アメリカ人がみんな同じ生活水準にあるべきだということではない。
それが意味しているのは、
政府は国民を経済システムの歯車のごとく扱ってはならないということだ。
しかし、レーガン政権(当時)がやろうとしているのは、
まさに国民を経済の歯車として扱うことである。
富裕層にたいしては
もっと経済活動に投資して下さいとばかり、
いっそう豊かになるような政策を取る。
貧困層にたいしては
黙って奉公していればいいんだとばかり、
いっそう貧しくなるような政策を取る。
こういう世界では
どんな人間もお互いから切り離される。
歯車にすぎないのだから当然のことだ。
だから「ネブラスカ」に登場する人物は
自分の人生に社会的な広がりを持たせることができない。
そんな人間が取りうる、唯一の反抗的行為は何か?
殺人である。
たしかに「ネブラスカ」では
殺人が繰り返し描かれます。
タイトル曲の主人公など、ずばり連続殺人犯。
彼は電気椅子に送られる直前
「どうしてこんなことをしたんだ?」と聞かれて
こう返事します。
「だんな、世の中ってのは残酷なものじゃないんですか」
世界一、豊かなくせに
7人に1人が食うに困っている国で
これを否定するのは難しいでしょうね。
ではでは♬(^_^)♬
2 comments
kazu says:
8月 25, 2014
おはようございます。
このことに限らず、新自由主義的な政策の齟齬がいろいろな場面で現れつつあると思います。
リーマンショックとかユーロ圏の苦境とか・・
この様な事実を素直に見れば、新自由主義的な政策が間違いなのでは?と政策を担うような優秀なエリートの方々であれば気づくと思うのです。
しかし現実には全く進路変更を行う気配さえない、それどころか新自由主義的政策が加速するばかり。
これは一体どういうことでしょうか。
エリートの方々の考えがよくわかりません。
メルケル says:
8月 25, 2014
恐ろしい…。
しかし悲しいかな、このままでは我が日本もズルズルとこの『ネプラスカ』の世界へと近づいて行ってしまうのは必定ですね。
しかし、それならどうすればいいのか?一国民に出来る事は何もないのか?
そんな悩みを持つ多くの方に、物の考え方と言うか思想の面で多くのヒントをくれるのが、佐藤先生の最近のご著書『震災ゴジラ~国家のツジツマ~僕たちは戦後史を知らない~コモンセンス』の流れだと言う風に解釈しております。