本日、安倍総理は内閣改造と、

自民党の党役員人事を行います。

 

都議選で大惨敗を喫し、

支持率も急落した現在、

ここでコケたら後がありませんので

まさに背水の陣。

 

どんな顔ぶれになるかをめぐっては

すでにいろいろ情報が出回っているものの

最終的には発表されてのお楽しみ、というところでしょう。

 

ただし噂されていた

小泉進次郎さん

橋下徹さんの入閣は

結局、実現しない模様です。

関連記事はこちら。

 

それはともかく。

 

今回の改造では、

「人心の一新」がキーワードになっています。

 

8月1日の自民党役員会でも総理は

 今の内閣が発足して、あさって8月3日でちょうど1年となるので、

これを機に人心の一新を図るため、内閣改造と党役員人事を行いたい

と述べたとのこと。

関連記事はこちら。

 

けれども、ここで注目すべき点がある。

人心の一新と言いつつ、

総理は政権の骨格を変えないことも明言しているのです。

 

おいおいおい。

「一新(する)」とは

すっかり新しくするとか

まったく新しくなるという意味ですぞ。

 

骨格を変えないままで一新を図る!!

これは明らかなパラドックスです。

どうやったら、そんな芸当が可能なのでしょう?!

 

・・・しかるにお立ち会い。

言葉の解釈をちょっと変えるだけで

政権の骨格を変えないことと

人心の一新を図ることは

みごとに両立します。

 

「人心」とは読んで字のごとく

人の心、

とくに多くの人の心のこと。

 

ゆえに「内閣改造で人心の一新を図る」とは

ふつうに考えれば

1)閣僚の顔ぶれを変えることで

2)内閣を構成する人々の気持ち(=人心その1)を新しく切り替え、

3)それによって国民の気持ち(=人心その2)もまったく新しいものにする

ということになる。

 

しかしですな。

要は支持率の下落に歯止めをかけ、

あわよくば回復を図りたいというだけであれば、

こういう「人心一新」もありうるのです!

 

1)閣僚の顔ぶれを変えることで

2)内閣を構成する人々の気持ちが新しく切り替わったかのような印象を作り出し、

3)ゆえに今までの問題や失策もチャラになったかのごとく思わせることで

4)「こちらも気持ちを新しくしなければならないのだろう」と国民に錯覚させる

 

なに、どこかで聞いたような気がする?

その通り。

これは『対論「炎上」日本のメカニズム』の第四章で指摘した

「ホワイトアウト」のバリエーションです。

 

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もっと言えば

骨格を維持したままで一新を図ることができる

と考えること自体、

この章で提起した「知性のめまい」の典型例なんですな。

 

で、「知性のめまい」は遅かれ早かれ「ホワイトアウト」にいたるというのが

第四章の主要なポイントなのです。

 

だとしても

今までの問題や失策がチャラになったように思わせようとしたところで

今までの問題や失策が本当に帳消しになるわけではない。

 

よって内閣が人心の一新、

ないしホワイトアウトをめざしていても

国民規模でホワイトアウトが生じるかどうかは別の話ですが、

ここはひとつ、総理のお手並み拝見とゆきましょう。

 

いや、ホワイトアウトなどに頼らず

本当に人心を一新し、

目下の危機的状況を正面突破できれば

それに越したことはないんですよ。

 

ただし覚えておきたいのは、

2012年12月26日、

第二次内閣を発足させたばかりの時点で

安倍総理は組織したばかりの内閣を

「危機突破内閣」と位置づけたこと。

 

いわく。

国家、国民のために

目前の危機を打ち破ってゆくという覚悟において

本日、危機突破内閣を組織をいたしました。

関連動画はこちら。

 

これは何を意味するか。

そうです。

危機突破内閣として始まったはずの政権が

4年半たっても危機突破に成功しなかったからこそ

支持率急落という現在の危機的状況があるのですよ!!

 

そのような総理が

〈危機突破できなかったことによって生じた危機〉を突破できるのか?

 

だ・か・ら、

『右の売国、左の亡国』と言うのですよ!

 

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ちなみにこのとき、

安倍総理はこんなコメントもされています。

 

(総選挙に勝ったとはいえ)

まだまだ、わが党にたいして

完全に信頼が戻ってきているわけではない。

政治全般にたいする国民の厳しい目が

続いていることを実感をいたしました。

 

あるいは、こんなコメントも。

 

長引くデフレによって、

額に汗して働く人たちの手取りが減っています。

 

日本の安全保障は他人事ではなく、

今そこにある危機であります。(中略)

内閣をあげて、外交・安全保障体制の強化に取り組んでまいります。

 

2017年に言っていることと、

ほとんど同じじゃないですか。

フランスのことわざではありませんが、

まさに「物事は変われば変わるほど同じもの」であります。

 

(↓)革命派も、自分の利益を追求する場合は別として、新味に欠けることばかりしていたとか。

フランス革命の省察

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一新ほどのマンネリはなし!!

これぞ、世のいつわらざる真実と言わねばなりません。

 

ちなみに、

それでも「一新」「一新」と唱えねばならないことを

日本語ではこう申します。

「一新上の都合」。

 

ではでは♬(^_^)♬