今年も3・11がめぐってきました。

早いもので、あの震災から6年となります。

 

というと、かなり時間が経ったような印象もありますが

復興はまだ十分ではない模様。

この記事をどうぞ。

 

復興「2020年度以降も」4割 42市町村長調査

 

これによると毎日新聞は

岩手・宮城・福島の沿岸部、42市町村の首長

(岩手12人、宮城15人、福島15人)にアンケートしたのですが

国が復興のめどとし、

東京オリンピック・パラリンピックも開催される2020年度までに

復興事業を終わらせる見込みが

「ない」と答えた首長が約4割(注:16人)に上った

とのこと。

 

とくに福島県は

見込みがない 13人

見込みがある  1人

分からない   1人

という結果だったそうです。

 

岩手県では陸前高田市と大槌町、

宮城県では山元町の首長が「見込みがない」と答えたとか。

 

詳細はこちら。

 

さらに

東京五輪・パラリンピックの開催準備が本格化する中、

「震災復興(五輪)」の理念が薄れていると感じるか

という質問への回答は

薄れている    21人

薄れていない   11人

分からない・その他 9人

となりました(※)。

(※)合計すると41人なので、回答者が1人足りませんが、この点は脇に置きます。

 

震災の風化については

「かなり感じる」と「ある程度感じる」と答えた首長が39人。

復興の進捗については

10人が「遅れている」と答えました。

 

政府の策定した復興予算については

29人の首長が「評価する」「ある程度評価する」と答えました

地元負担については「厳しい」という不満の声も多いようです。

 

詳細はこちら。

 

政府は2020年度(末)で復興事業をほぼ終わらせ、

復興庁も廃止する方針とのことですから

このままだと

2020年東京オリンピックが終わったあたりで

被災地が本格的に切り捨てられる

恐れが強い。

 

2019年には消費税率の10%引き上げが予定されていますし、

オリンピックのあとは反動で景気が冷え込むでしょうから

(1964年大会の時もそうでした)

機能的財政論にもとづく積極財政に切り替えないかぎり

「復興事業の継続?!

何だね、どこにそんなカネがあるんだね?!!」

という話になるのは目に見えているではありませんか。

 

現に「創造的復興*」

「被災地の自立*」といった、

いささかいかがわしい議論すら

すでに聞かれなくなっているくらいです。

 

しかし、それでいいのか?

 

ここで参照したいのが、

畏友・中野剛志さんが大著『富国と強兵』で提起した

地政経済学の概念。

 

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ごく簡単に骨子をまとめれば、こうです。

1)国の経済的繁栄は、安全保障の確立と切り離せない。

2)安全保障の確立は、地政学的条件の考慮なしには達成しえない。

3)よって国の経済的繁栄も、地政学的条件の考慮なしには達成しえない。

 

地政学的条件はふつう、

「地理的特徴を踏まえた他国との力関係」として考慮されます。

しかしわが国の場合、

「自然災害対策を踏まえた国内各地域の力配分」

という点からも考慮される必要があるでしょう。

 

つまりは同じGDP600兆円といっても

東京一極集中で実現するのと

各地域がそろって発展する形で実現するのとでは

わが国の将来にとって持つ意味合いは変わってくるだろう、

ということです。

 

何せわが国は遠くない将来、

首都直下地震

南海トラフ地震に見舞われる危険が高いのですぞ。

 

また最近の北朝鮮の動向や

韓国における朴槿恵大統領の罷免決定などを見ると

朝鮮半島情勢も今後危なくなる恐れが強い。

つまりは日本海がキナ臭くなるということです。

 

北朝鮮で体制崩壊など起きた日には

日本海沿岸地域は難民が押し寄せてきて大変なことになるのは

まず間違いないのでは。

 

こちらをどうぞ。

 

こういう地政学的条件を考えれば

東北の太平洋岸(つまり被災地一帯)については

たんなる復興にとどまらず

発展と繁栄を積極的に推進するのが

自然災害対策の点から見ても

また安全保障政策の点から見ても

国家戦略として正しい、ということになると思うのです。

ですから震災6周年にあたり、こう提唱しましょう。

 

日本全体の繁栄と安全保障のためにも

東北で「富国と強兵」、あるいは富国強靱化を!!

 

とどのつまり、

国というものは一蓮托生なのです。

 

これができないようでは

やはり

『右の売国、左の亡国』ということになってしまいますよ・・・

 

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文中で「*」マークを打ったフレーズ

「創造的復興」

「自立」については

例によって、本書収録の「政治経済用語辞典」で

本当の意味を記しておきました。

 

ではでは♬(^_^)♬