憲法九条の擁護をめぐって

東大和九条の会が墓穴を掘り、

安保法制の合憲性をめぐって

政府・与党が墓穴を掘りと、

〈バケツリレー〉ならぬ〈墓穴リレー〉の感が濃厚な昨今でございますが・・・

 

またまた出ました。

今度は憲法学者です。

以下、毎日新聞の報道より。

 

憲法改正:「いつまでぐだぐだ言い続けるのか」 佐藤幸治・京大名誉教授が強く批判

 

日本国憲法に関するシンポジウム「立憲主義の危機」が6日、

東京都文京区の東京大学で開かれ、

佐藤幸治・京大名誉教授の基調講演や憲法学者らによるパネルディスカッションが行われた。

出席した3人の憲法学者全員が審議中の安全保障関連法案を「憲法違反」と断じた

4日の衆院憲法審査会への出席を、自民党などは当初、佐藤氏に要請したが、

断られており、その発言が注目されていた。

 

基調講演で佐藤氏は、憲法の個別的な修正は否定しないとしつつ、

(憲法の)本体、根幹を安易に揺るがすことはしないという賢慮が大切。

土台がどうなるかわからないところでは、

政治も司法も立派な建物を建てられるはずはない」と強調。

さらにイギリスやドイツ、米国でも憲法の根幹が変わったことはないとした上で

「いつまで日本はそんなことをぐだぐだ言い続けるんですか」

と強い調子で、日本国憲法の根幹にある立憲主義を脅かすような改憲の動きを批判した。

 

戦後作られた日本国憲法は

GHQ(連合国軍総司令部)の押し付けとも言われる。

しかし、佐藤氏は

日本の政府・国民がなぜ、軍国主義にかくも簡単にからめとられたかを考えれば、

自分たちの手で、日本国憲法に近いものを作っていたはずだ」と述べた。

 

もとの記事はこちら。

 

菅義偉官房長官によれば

わが国には安保法制を合憲と見なす著名な学者も多々いるはず。

にもかかわらず、

こんな違憲派の学者に参考人となるよう依頼したあげく、

断られたら、べつの違憲派に話を持っていったのですから、

自民党も摩訶不思議というか、

自滅の誘惑に駆られているのでは? と思わせる政党です。

 

しかし、佐藤教授も負けてはいない!!

(憲法の)本体、根幹を安易に揺るがすことはしないという賢慮が大切。

この箇所にご注目。

 

おっしゃる通りです。

憲法の根幹を変えてしまうような改正は認められないというのが定説。

た・だ・し。

 

日本国憲法は、大日本帝国憲法を改正したものです。

そして改正にあたっては、主権のあり方をはじめ、憲法の根幹が変えられています。

上記の事実は、日本国憲法について何を意味するでしょう?

 

しかり。

佐藤教授の主張に基づくとき、日本国憲法に正当性はありません。

「いつまで日本はそんなことをぐだぐだ言い続けるんですか」

というくだりで批判されているのも、

じつは改憲派にあらず、

70年近くも「憲法を守れ」とぐだぐだ言い続けた護憲派なのです!!

 

それではみなさん、ご一緒に・・・

爆笑・嘲笑・失笑の嵐!!!

 

断っておけば、われらの教授もこの点について

完全に無自覚ではない。

だからこそ、GHQによる押しつけがどうこうという話が出てくるのです。

ところがここで、よせばいいのにさらなる墓穴を掘ってしまう。

 

日本の政府・国民がなぜ、軍国主義にかくも簡単にからめとられたかを考えれば、

自分たちの手で、日本国憲法に近いものを作っていたはずだ」

 

・・・ということは佐藤教授、

敗戦後、日本の政府・国民はアメリカ民主主義に簡単にからめとられたとお考えなのですな?!

だからこそ、よしんばGHQに押しつけられなくとも

GHQの教えを金科玉条として内面に取り込み、

そっくりの憲法をつくったに違いない、と。

 

これって、

ある意味での潜在的な所のいわゆるそれ自体

または占領軍のプロパガンダ丸呑み

というやつではありませんか。

 

そこまで主体性のない国民に、

憲法を自主的に制定する能力(または資格)があるんですかね?!

 

佐藤教授、

このブログをご覧になられたらぜひご一報を。

ご紹介したいセンセイがおります。

(おそらくは教授のお嫌いな)保守派と目されておりますし、

かなり重度の陰謀論者でもありますが、

必ずや意気投合されることでしょう。

 

安保法制を実現させたい人々が、当の法制を違憲と考える人物を国会に呼び、

安保法制を違憲と考える人物が、日本国憲法の正当性そのものを否定する。

わが国のパラドックスは目下、このあたりまで来ているようです。

どこまで続くか、墓穴リレー!

 

というわけで、こちらをどうぞ。

「愛国のパラドックス 『右か左か』の時代は終わった」

 

電子版もご用意しています。