最初に一言。
題名の「感情」は
決して、
断じて、
「勘定」の変換ミスではありません。
貨幣には感情があるのです。
少なくとも、そう主張されている方がいるのですよ。
W(^_^)W\(^O^)/ホットドッグしているわけじゃないぜ\(^O^)/W(^_^)W
ダイヤモンド・オンライン、
9月12日06:00の配信記事より。
ATMでお金を引き出すときに通帳記帳をしてはいけない!
ジャジャーン!
知らなかったでしょう。
いわく。
通帳記帳のタイミングも金運を左右するカギ。
残高の確認のため、引き出すときや、
カード払いなどの引き落としのときに通帳記帳していませんか?
実はこれは金運を落とすNG行動です。
「通帳記帳」ではなく「通帳記入」では?
・・・なんて話は脇に置きましょう。
金運がかかっていますので。
いやあ、知りませんでした。
気をつけなければいけませんね。
とはいえなぜ、
引き落としや引き出しの際に通帳記入するのがNGなのか?
なんと、貨幣が気を悪くするからなのです。
いわく。
お金は「増えていく」という感覚が好きなので、
お金が「増えている」ときに記帳すると、
お金自身も「増えてる!」と感じて、ますます増えやすくなるのです。
逆に「減っている」ときに記帳すると、
お金は仲間が減っていくように感じ、
自分も早く逃げていこうとします。
ですから、ATMでお金を引き出すときは、通帳には記帳しないようにしましょう。
引き落としの直後に預金残高がいくらあるかチェックしたい、
というときも、記帳ではなく残高照会で確認を。
ヾ(℃゜)々!\(◎o◎)/そうだったのか〜\(◎o◎)/!(゜ロ)ギョェ
貨幣に関する考え方には
大きく分けて
金属主義と表券主義の二つがありますが、
感情主義という新手が登場したわけです。
フランス革命政府の経済政策を厳しく批判したエドマンド・バークも、
さすがにこれは思いつかなかったでしょう。
(↓)本書を読めば分かりますが、彼の貨幣観は金属主義です。
ちなみにこの主張を展開したのは
李家幽竹さんという風水師。
その意味では、
風水主義貨幣論と呼ぶこともできます。
感情主義/風水主義貨幣論の詳細については
目下、
中野剛志さんに分析を依頼しているところ(要出典)。
とはいえ中野さんの分析を待つまでもなく、
この話にはいろいろ楽しい特徴が見られます。
まずは、貨幣そのものが「増えたい」という意思を持っており、
ついでに口座残高についての認識能力があると前提していること。
にもかかわらず、
通帳記入を行わないかぎり
当の口座残高が増えているのか減っているのか分からないこと。
残高照会で確認するだけなら、
減っていても大丈夫なんですからね(何で?)。
どうも感情主義貨幣論は
貨幣と預金通帳の間にディープな因縁があると見なしているようです。
通帳主義貨幣論と呼んでもいいかも知れません。
アメリカなどでは
銀行に口座を開いても預金通帳は作られないのですが、
その場合、貨幣の感情はどうなるのでしょう。
ずっと強気なのかな?
だいたいATMでの引き出しが多いとは
消費が活発になっているということ。
これは需要を増加させることで、経済の活性化につながりますから、
遠からず収入も増えてくる可能性が高い。
カネは天下の回りもの、
誰かの支出は誰かの所得なんですからね。
すなわち、
もし本当にお金が「増えてゆく」感覚を好むのであれば
引き出し回数が多くなったときこそ
これは回り回って増える日も近い!
と喜んで、
ますます増えようとするはずなのです。
かりにそうでないとすれば、
それはデフレマインドに毒された心得違いの貨幣と言わねばなりません。
しかし心配ご無用。
感情主義/風水主義貨幣論では
貨幣に認識能力があるのです。
通帳の上に『富国と強兵』をデンと置き、
「読め!」と命じておけば
勉強して反省することでしょう。
けれども気になるのは、
このような貨幣論の信奉者が、
わが国では多数派なのではないかということ。
感情主義/風水主義貨幣理論を
国家財政に当てはめるとこうなるのです。
1)お金は「増えていく」という感覚を好む。
しかるに政府は通貨発行権を持っている。
ゆえに国債をどんどん発行すれば、
お金自身も「増えてる!」と感じて、ますます増えやすくなるはずである。
2)ところが、これは財政支出拡大につながる。
つまりは政府からお金が出て行くわけだが、
するとお金は仲間が減っていくように感じ、自分も早く逃げていこうとする。
通貨発行権を行使すればするほど、政府は金運を落とすのである!!
3)よって政府の金運を良くするには、
通貨発行権の行使ではなく、
民間部門のお金を吸い上げる形(つまり増税)で政府のお金を増やし、
かつ歳出はできるだけ切り詰めるべきである。
おっと!
プライマリーバランス黒字化論者の主張と瓜二つではありませんか!!
ひょっとしてわが国の経済政策は
風水によって決まっているのでしょうか?
そして緊縮財政こそ望ましいという発想は、
自民党の一部若手議員を別とすれば、
与野党を超えて広範に見られます。
だ・か・ら、
『右の売国、左の亡国』と言うのですよ!
藤井聡さんが反発してやまない公共事業悪玉論の背景にも
もしかしたら風水があるのではないでしょうか。
風水は地勢や水勢を占うわけですが
インフラ整備は、どちらにも影響を与えますからね・・・
(↓)某市場移転問題も、この角度から考えると面白いかも知れませんよ。
ではでは♬(^_^)♬
10 comments
Daniel says:
9月 14, 2017
風水師の怪しげな金儲けに、週刊ダイヤモンドが悪乗りした、ふざけた記事だなぁ、いかにも週刊誌らしいと読み飛ばしていましたが、佐藤先生の手に掛かると、こんな楽しい背景が浮び上がってくるんですね。
面白いなぁ。
感情主義貨幣論の一種に、「金持ちになるには、長財布を持て。」ってのもありましたね。二つ折りタイプの財布だと、「お札を折る」ことに繋がるので、お札が痛がる(!)し、自分の心理的にも良くないのだとか。
偶像崇拝の一種かと思って、ビックリしました。統計学的な経験論ではありましょうがね。
そういえば、金属主義って、偶像崇拝の一種なのかもしれませんね。私はどうしても、アロンが鋳造した金の小牛(旧約聖書・出エジプト記・第32章)を思い出します。
豆腐メンタル says:
9月 14, 2017
このところの健康志向の有様を見るようで。。
「体が喜ぶ」とか言ってよくお祭り騒ぎしてますね。
どうもタチの悪い炎上のようです。
その軽薄さとご都合主義加減に「ご先祖様は泣く」と思うのですが。笑
根拠があやふやな風水や健康法の多くはやはり独善的で鼻につきます。
何かの指針にするにはあまりに近視眼的。
「でも大丈夫!」
なんてCMのセリフがなぜか頭をよぎりました。
全体や事実が興味なさすぎる(理解できない)頼りなさから目をそらすためのアイテムですか。
やはり偶像崇拝ですかねぇ。
tinman says:
9月 14, 2017
クーロンズゲートVRが晩秋発売予定というので、カネの妄人の妄想が記事になったのでしょう。
邪気払いに剥きえびを食べたくなりました。
(木村央志さんは、剥きえびが苦手らしい)
tinman says:
9月 17, 2017
通帳の妄人、ATMの妄人等と個別具体的な例を挙げるのが適当だったかもしれないです。
ちなみに、ゲーム中にお金にまつわる妄人は登場しません。
(最近プレイした記憶によると、自分がサイコロになる夢を見る男がいるくらいだった)
いそうでいない、といういいさじ加減だと思います。
反孫・フォード says:
9月 14, 2017
頓珍漢なことばかり浮かんでしまうのですが、
>(時事通信)民進党執行部は14日、離党を検討している衆院議員に再聴取する方針(略)混乱が長引けば党へのダメージが大きくなると判断
民晋党も似たような雰囲気になりました。小池等晋党の口座に合流するのでしょうか。
この際言うだけ前原氏も俺も本当は一緒に辞めたいっ!と本音宣言し、小池晋党口座に移動するだけにすればいいのに!
そして党首候補になりますっ!と、言うだけ言えばいいのに!
反グロ宣言なんか忍風琳通い議員だから言うだけも無いだろうなぁ。
無茶苦茶頓珍漢なコメントしか浮かばない統合失調症な者で失礼しま舌。
レギーム作 says:
9月 14, 2017
李家幽竹さんの記事を読みましたが、「お金は束縛を嫌う」ともありました。
これは、お金が留まって、「増えたい」とする感情(?)とは矛盾しているような気が・・・。
束縛を嫌う、お金様の機嫌を損なわない為に増税するとすれば、緊縮財政の考えにも組み込めますね。
そんな、むずかしいお年頃のお金様に、「富国と強兵」を「読め!」と命じたところで、
きっとそれに反抗して盗んだバイクか何かで走りだしちゃいそう。
人間が神羅万象にある種の感情を持たせるのは、昔からそうだし、それはごく自然のことでしょう。
けど、なにもそこまで気を遣うようなマネーまでせんでも・・・って思いますけどねぇ。
poti says:
9月 16, 2017
天下国家を占いで運営していくとか、ジャップ共は未開の土人並か古代中国でも罵倒されるレベルに劣化しておるのだなぁ、と思う次第。
怒りを通り越して呆れと軽蔑を覚える今日この頃でございます。
tinman says:
10月 19, 2017
【補足】【訂正】
クーロンズゲートの雑誌広告(アエラ)で、バーク「迷信は弱い心の信仰である」が引用されたことがあるそうな。
公式サイト
http://www.sonymusic.co.jp/Amusement/kowloonet/menu/package/koukoku.html
「ゲームクリエイター作法」(p219)によると、英語名句辞典からの引用で、
バーク「迷信は弱者の信仰である、本文ママ」か
エリオット「人間というのは、あまり多くの現実には耐えられない」かで迷って、バークにしたとか。
(パンフレットでは、エリオットとバークが共に引用されている)
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Desert/8476/kowloon/index.html
「ミーハー精神まる出しながら、オーラを放つ言葉によって、狂いと歪みを表現したかった」とのこと(読点を一つ追加)
佐藤先生の新訳では「弱い心の持ち主にとって、迷信は宗教の代わりになるものと言える」(p187)と滑らかに意訳されてますね。
日帝の鉄杭を笑えないです。
p.s.
リツイートでお察しの通り、シャイニングはクーロンズゲートの元ネタです。
(「ゲームクリエイター作法」で、とっておきの映画12本のひとつに数えられている。)
10/19追記:引用に不備があったので、9/19の投稿を一部修正して再投稿いたします。
訂正前のアーカイブ
https://web.archive.org/web/20171001223906/https://kenjisato1966.com/%E8%B2%A8%E5%B9%A3%E3%81%AB%E3%81%AF%E6%84%9F%E6%83%85%E3%81%8C%E3%81%82%E3%81%A3%E3%81%9F%EF%BC%81%EF%BC%81/
注:ミーハー精神とは、「モータルコンバット」の雑誌広告の影響を受けたことを指すようです。
tinman says:
12月 19, 2017
誤「ミーハー精神まる出しながら、オーラを放つ言葉によって、狂いと歪みを表現したかった」
↓
正「ミーハー精神まる出しながら、オーラを放つ言葉によって狂いと歪みを表現したかった」
m(_ _)m
tinman says:
12月 19, 2017
誤(p219)
↓
正(p219-220)
誤(読点を一つ追加)
↓
正(2つめの読点を追加)
m(_ _)m