まずは告知を少々。

28日から29日にかけて、ネットに記事が二つ配信されました。

 

一つは BEST TIMES

「2010年代末、世界はみな疲れている」(前編)。

 

現在の世界の状況は

グローバリズムへの疲れから、ナショナリズムの潮流が生じている

というより

グローバリズムとナショナリズムの双方に疲れて

どちらの路線もおっくうになっている

と見るべきではないかという議論を

いっそう詳細に展開しました。

 

近く後編も配信されるはずです。

ご覧になりたい方はこちら。

 

もう一つは東洋経済オンライン

「上意下達が大嫌いな日本人こそ『民主的』だ〜トップダウンを強制しても成功できない理由」。

ご覧になりたい方はこちら。

 

中野剛志さん、施光恒さん、柴山桂太さんとやっている

研究会での討論を採録したもの。

11月23日に配信された

「『欧米は個人主義、日本は集団主義』は大嘘だ〜『忖度』はアメリカでも日常茶飯事な理由」

の続きです。

 ご覧になりたい方はこちら。

 

ついでに『平和主義は貧困への道 または対米従属の爽快な末路』

28日、Amazonの日米安全保障部門で

売れ筋ランキング1位・ほしい物ランキング1位の2冠を達成。

 

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日本がいよいよ総崩れとなったあげく

疲労困憊のせいで破れかぶれに明るくなる

いわゆる「大英雄」状態になだれこみそうな2019年は

これらを読んで現実を直視するところから始めるのが良いでしょう。

 

「でないと、頭の中がコピペだらけになっても知らないわよ」(※)お姉さまのお言葉です。

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それはともかく。

今年もあとわずかとなりましたが

こんなニュースが飛び込んできました。

 

藤井内閣参与が退職=「消費増税はリスク」─政府

(時事通信、28日配信)

 

見出しの後半、

政府も消費増税はリスクだと思っている

という印象を与えかねませんが

そうではありません。

どうぞ。

 

政府は28日、藤井聡佐々木勝内閣官房参与が

同日付で退職したと発表した。

 

藤井氏は京大大学院教授で、

第2次安倍内閣が発足した2012年12月から参与として

国土強靱(きょうじん)化政策を担当。

積極的な財政出動による経済成長を訴え、消費税増税には慎重な立場を取っていた。

藤井氏はフェイスブックで

「デフレ下の消費増税が極めて深刻なリスクをもたらすことが懸念されている。

一学者、一言論人として必要だと信ずる政策論を全力を賭して発言し続ける」と説明した。

元の記事はこちら。

 

つまりは

藤井さんが内閣官房を去ったと政府が発表したが

彼は消費増税はリスクだと訴えていた人物である

ということです。

 

一緒に辞任した佐々木さんは

災害医療や危機管理を担当していたということですから

安倍内閣は一日のうちに

防災関連の参与を二人も失った次第。

 

ちなみに佐々木さん、

災害医療の第一人者なのですが

この18日には石原慎太郎元都知事とともに

日本外国特派員協会で会見、

自衛隊の医療体制が抱える不備について

政府の姿勢を厳しく批判しました。

いわく。

自衛隊員の命が軽視され、(国は)役割だけを負わせている。

あえて、今言わなければならないと思った。

関連記事こちら。

 

つまりは抗議の辞任ですが、

ならば藤井さんはどうか。

 

三橋貴明さんもブログで紹介していますが、

藤井さん、フェイスブックで辞任についてこう述べています。

 

平成二四年十二月二十六日の第二次安倍内閣の組閣から六年、

京都大学の本務であります学究・言論活動と

参与職の両立を図って参りましたが、

本年は骨太の方針での七か年の財政方針、

五か年の国土強靭化基本計画、

そしてその初期三か年の緊急対策等、

当方が参与した行政の当面の方針が策定されたことに加え、

学究、とりわけ「言論活動」がこれからますます重要な局面となりますことから、

今後の本務への参与職の影響を鑑み、

安倍総理ともしっかりとご相談させて頂いた上で、

参与職を辞する決意を致した次第です。

 

ついてはこれからは、

これまで通りの研究・教育と国土強靱化等の直接的行政支援はもとより、

政府、国会における適正な政治判断を促す世論形成、言論活動に対して、

さらに全力を投入して参りたいと思います。

 

とりわけ、今、参与就任以前から一貫して主張して参りました通り、

「デフレ下の消費増税」が極めて深刻なリスクをもたらすことが懸念されています。

この危機を乗り越えるべく、一学者、一言論人として必要だと信ずる政策論を、

力の限り、全力を賭して発言し続けて参る所存です。

フェイスブックはこちら。

三橋さんのブログ記事はこちら。

 

藤井さん、6年間本当にお疲れさまでした!

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ここから先は私の解釈ですが、

赤文字の箇所を見るかぎり

消費増税阻止をいっそう強く訴えるために内閣官房を去った

と受け取るのが自然ではないでしょうか。

 

11月に刊行された単行本

『「10%消費税」が日本経済を破壊する』

表現者クライテリオン別冊

『消費増税を凍結せよ』のせいで

官邸に居づらくなった可能性も考えられます。

 

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アウフヘーベンマンの藤井さん、

財政均衡主義に基づく緊縮志向という政府の方針を

積極的なインフラ整備による防災と経世済民の達成

どうにか両立させるべく奮闘してきたわけですが、

ここにいたって

ついに限界に達した気配が濃厚。

 

裏を返せば、

これは消費税増税阻止がかなり困難であることを

示したものとも言わねばならない。

 

『「10%消費税」が日本経済を破壊する』の冒頭、

藤井さんはこう書きました。

 

好むと好まざるとにかかわらず、

増税はもう避けられないのだろうと

「諦めて」しまっている向きも多かろうと思います。

確かに、2019年10月に増税することは

法律で定められてはいます。

 

ですが、

もちろん法律は変えられるのであり、

「確定」しているわけではありません。

 

実際、増税予定日まで一年となった

2018年9月20日に行われた

与党・自由民主党の総裁選を機に、

「消費増税を巡る空気」が、

少しずつではありますが、「確実」に変わり始めました。

 

表現者クライテリオンのメルマガでは

「消費税、2019年10月から10%に引き上げ 安倍首相が表明へ」 

という報道について

法律で決まっていることを予定通り進めているというだけであり

消費税について何か新たな考えを示したわけではないのだから

総理が「表明した」と報じるのは

消費増税の既成事実化をもくろむフェイクニュースの類いだ

という趣旨の批判まで加えています。

ご覧になりたい方こちら。

 

けれども今回の辞任を見るにつけ

消費税の10%引き上げは

論理的にはまだ阻止可能だとしても

安倍総理をはじめとする政府首脳の中では

完全に確定した既成事実となっている

と思わざるをえません。

 

そして推測ではありますが

今週の日経平均急落を前にしても

くだんの姿勢をなお変えようとしなかったことが

藤井さんをして

この政権はアウフヘーベン不能だ!

という認識にいたらせる決定打となり

辞任を最終的に決意させたものと思われます。

 

しかし内閣官房の中にいても阻止しえなかったことを

外部から言論で阻止しようとするのであれば

よほど鉄壁の論陣を張らねばならない。

 

そのためには

藤井さんや三橋さんが展開している

データを活用した具体論とともに

財政均衡主義と戦後日本型の平和主義との関連について

より多くの人に認識を持ってもらいたいところです。

 

消費増税の強行は

もとより緊縮財政路線、

すなわち財政均衡主義に基づくものですが、

『平和主義は貧困への道』で論じたとおり

これは経済政策をめぐる議論から導き出されたものではなく

敗戦によって生じた戦争忌避、国家忌避の風潮の産物。

 

この点を踏まえて

経済政策と平和主義を切り離すことが

わが国を没落の黄昏から救うためには

大きな意味を持つのです。

 

お姉さんが消費者金融の看板で囲まれているのは、思えば象徴的ですね。

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藤井さん、

まずは年末年始の休みでゆっくり疲れを癒やして下さい。

そのうえで2019年、新たな言論を全力で展開されんことを!

 

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ではでは♬(^_^)♬