『フランス革命の省察』を訳していて面白かったのは
エドマンド・バークが民主主義について
きわめてシビアな評価を下しているというか、
相当いかがわしいもののごとく論評していること。
たとえば。
2400万人の意志は、
20万人の意志よりも優先されるべきだという議論がある。
けれども冷静に考えれば、これもバカげた話だ。
多数の人々の意志や利害は、しばしば大きく相反する。
人々が悪しき選択をなす際には、
その度合いもいっそう極端なものとなろう。
(↓)本書88ページの記述です。
2400万人とは、革命勃発当時のフランスにおける平民の人口で、
20万人は、同じく聖職者と貴族の人口(どちらも概算)であります。
要するにバークは
民衆に首尾一貫した政治判断ができるのか?!
と指摘しているのですが、
227年経っても、事態はあまり変わっていない模様。
毎日新聞は13日〜15日の三日間、
JNNと協力して世論調査を実施しました。
全国289小選挙区ごとに
コンピューターで無作為に数字を組み合わせて作った電話番号へと、
調査員が電話をかけるRDS法を使ったそうで、
全国の有権者7万3087人から回答を得たとか。
福島第1原発事故で帰還困難区域などに指定されている市町村の電話番号は除いたそうです。
しかるに、結果は一方ではこちら。
衆院選中盤情勢 自民、最大300超も 立憲は勢い増す
自民党は小選挙区、比例代表とも堅調で、
単独で300議席を超える可能性がある。
希望の党は最大で54議席にとどまる見通しで、
結成当初の勢いは感じられない。
立憲民主党は公示前勢力(15議席)を大きく上回る
40議席台を確保しそうだ。
「小選挙区で4割が投票態度を明らかにしておらず、情勢は変わる可能性がある」
とのことながら、
最大で54議席ということは
希望の党は公示前よりも議席を減らす恐れが強い。
57議席あったんですからね。
例の「排除」発言が引き起こした大炎上が命取りになりつつあるわけで
炎上に頼って生きる者は炎上によって滅ぶ
という感があります。
(↓)「あんたは火を使いすぎる」(『風の谷のナウシカ』、村人の台詞)
だとしても単独で300議席超えの可能性とは
自民党の圧勝ではありませんか。
安倍内閣、予想以上に支持されていたんだなあ・・・
と、言いたいところですが。
同じ調査から、他方ではこんな結果が出ているのです。
「安倍首相続投望まず」47%
衆院選後も安倍晋三首相が首相を続けた方がよいと思うかを聞いたところ、
「よいとは思わない」が47%で、
「よいと思う」の37%を上回った。
今回の情勢調査で自民党は300議席を超える可能性があるという結果が出たが、
首相の人気とは必ずしも合致していない。
「よいとは思わない」と回答した人の
比例代表の投票先は
立憲民主党が26%、
希望の党が20%となっているそうですが
自民党に投票すると答えた人も12%いたそうです。
逆に自民支持層で「よいと思う」と答えた人は76%。
「分からない」と答えた人がどれだけいたかにもよりますが
20%ぐらいの人は
自民党支持だが選挙後の安倍続投を望んでいないものと思われます。
来年の総裁三選を望んでいないのではありませんぞ。
選挙後の続投を望んでいないのです。
で、その安倍総理が総裁を務める自民党が300議席超えで圧勝の勢い?
こんな勝ち方をしたら、総理は続投に決まっているじゃないですか。
議院内閣制の国で、
しかも選挙中に、
与党の人気と総理の人気がこれだけ乖離するとは
いかなることでありましょうか。
W(^_^)W\(^O^)/今度の選挙は巨大なジョーク\(^O^)/W(^_^)W
だ・か・ら、
『右の売国、左の亡国』と言うのですよ!!
孫崎享さんは、ツイートでこう発言。
どうしたらこんな馬鹿な現象が起こるのか。
毎日新聞「衆院選中盤情勢 自民、最大300超も 立憲は勢い増す(定数465)」、
衆院選後も安倍首相が首相を続けた方がよいと思うかを聞いたところ、
「よいとは思わない」が47%で、「よいと思う」の37%。
(カギカッコを一つ追加)
多数の人々の意志や利害は、しばしば大きく相反する。
人々が悪しき選択をなす際には、
その度合いもいっそう極端なものとなろう。
バークの言葉が思い出される次第でありました。
ではでは♬(^_^)♬
5 comments
マゼラン星人二代目 says:
10月 18, 2017
>自民党支持だが選挙後の安倍続投を望んでいない
あるいは、下馬評の、立憲民主が五十議席を伺う(ことによると全勝)、というのがすでにしてそういう数字なのかも知れません。
連日の躍進報道がバンドワゴン効果になって、「自民党シンパだが安倍おろしだけは促したい」という層が「希望の党」を選ばずこちらに奔る。
(立憲民主党がどれだけ伸びても政権交代にはならない、お灸として丁度よい。それに、自民党内のいわゆる穏健保守にとって「希望の党」と立憲民主党のどちらが与しやすいか、等々)
私は、立憲民主党について、「今回の躍進は序の口、同党はそのポテンシャルを決して出しきっておらず、伸びしろはまだまだある」という立場ですが、この種の「バブル説」「焼け太り論」も可能性としては考えないわけではありません。
マゼラン星人二代目 says:
10月 18, 2017
>こんな勝ち方をしたら、総理は続投に決まっているじゃないですか。
「自民党が圧勝する」のは事実。
しかし、その一方で、
「選挙運動で、すくなくとも一部の候補者が安倍隠しを行なっている」のも事実。
両者に因果関係があるかないかは本当のところ検証不能でわからないのだが、そこを強引に結びつけて、党内政局の口実にする者が幾人か出てくる。
こんなところではないでしょうか。
>「すくなくとも一部の候補者が安倍隠しを行なった」
私の地域の候補者がそう。添付ポスターが、安倍さんの図像ありから図像なしに差しかえられている。
マゼラン星人二代目 says:
10月 20, 2017
>党内政局の口実にする者が幾人か出てくる。
そこまで行かなくても安倍さんは続投するものの、実権を失ない傀儡化する、とかはありそう。
組閣人事で、岸田さんや野田さんの容喙を許す、
あるいは、二階さんなり麻生さんなりに「総裁をお支え申しあげます」などと凄まれて主導権を握られる、
等々。
福岡ワマツ says:
10月 21, 2017
「景気回復、この道しかない。」(衆院選2014)
「この道を。力強く前へ。」(参院選2016)
我が国が歩む「道」を指し示し、その道を先導する指導者たろうとしてきた安倍総理ですが、安倍政権の指導によって我が国が歩むその道中とは、相当に国力を消耗するものになりそうな感じがします。
まさに国難レベルの。
まあ、経世済民に背を向けるならば、道理ではあるのでしょうが…(ー。ー)
その道中の艱難辛苦を表すと、こんな感じになるんじゃないでしょうか?
『マッドアベノミクス 総りのデスロード』(絶惨公開中!)
通りすがり says:
10月 21, 2017
簡単な話でしょう。
現状維持は望むが、権力の腐敗は止めたい。
それは無理ってなもんです。
人は相反する要求を同時に行うものですね。
聖徳太子が居ても困っちゃうのではないでしょうか。