11月30日〜12月1日にかけて

ブエノスアイレスでG20首脳会合が開催されました。

 

G20自体のテーマは

発表された共同宣言の第2項によれば

(1)将来における「仕事」のあり方

(2)発展のためのインフラ整備

(3)食糧供給の持続的維持

(4)女性の活躍の推進。

共同宣言(英文)こちら。

 

ただし第4項には、こんな一節があります。

We welcome the strong global economic growth

while recognizing it has been increasingly less synchronized between countries

and some of the key risks,

including financial vulnerabilities

and geopolitical concerns, have partially materialized.

We also note current trade issues.

 

世界経済が力強く成長していることは喜ばしい。

ただし国家間の格差が拡大していることは問題だ。

さらに、いくつかの重大なリスクが

全面的にではないにしろ表面化している。

たとえば金融面での脆弱化や

地政学的な対立などである。

われわれは貿易をめぐる昨今の問題についても留意したい。

 

赤文字の箇所のうち、

「国家間の格差の拡大」はグローバリズムの弊害ですね。

つづく「金融面での脆弱化」は、

途上国がインフラ整備をめぐって中国の援助を受けたはいいが

中国にたいする債務を抱え込んでしまうことを

指すものと見られます。

 

「地政学的な対立」は、米中の通商対立を念頭に置いたものでしょうし、

「貿易をめぐる昨今の問題」

アメリカなどで見られる保護主義の傾向のこと。

 

今回の共同宣言では

「保護主義と戦う」という表現が

アメリカの要請で削られたと報じられていますが

ロイター通信によれば

それに代わって盛り込まれた表現こそ

「貿易をめぐる昨今の問題」だったのです。

元の記事はこちら。

 

他方、宣言の第20項には

気候変動と関連したパリ協定の完全な実施

が謳われていますが

つづく第21項には

アメリカはパリ協定からの離脱をあらためて表明する

とある。

 

すなわちこの宣言、

現在の世界でトラブルを起こしやすいのは中国とアメリカだ

とほのめかしているように思えるのですが、

同時に

中国に比べればアメリカのほうがマシ

という姿勢も見せている。

 

第27項ではWTO改革へのコミットメントが謳われているものの

これは自国の産業に莫大な補助金を出す

中国への牽制を狙っている可能性が高い。

ロイターも第27項を「トランプの勝利」と形容しました。

 

アメリカ・ファーストの方針で

強引な真似をやらかすトランプも困るが

「グローバリズム+覇権志向」の組み合わせで

自国の支配力を強めたがる習近平はもっと困る。

どちらかを取れというならトランプだ。

 

これがG20の結論のようです。

 

裏を返せば、それだけ中国は脅威だということではないだろうか。

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はたせるかな、

G20に合わせて行われた

トランプと習近平の米中首脳会談では

深刻化しつつあった通商対立について

とりあえず休戦することが合意されましたが

合意内容を見ると、アメリカのほうが押し気味。

 

・アメリカは中国からの輸入品への追加関税を90日間、猶予する。

・かわりに中国は、農産物、エネルギー、工業製品などの輸入を

 かなり大量に増やす。

・中国による米農産物の輸入は、ただちに開始される。

・技術移転の強要、および知的財産保護に関する交渉をただちに開始する。

・金正恩も交えて、朝鮮半島の非核化に取り組む。

 

これが骨子ですからね。

関連記事はこちら。

 

というわけで

アメリカはとりあえず

中国の覇権主義的グローバリズムに待ったをかけそうですが・・・

 

こんな記事もあるんですよ。

 

次の戦争では中・ロに勝てないと、米連邦機関が警告

(ニューズウィーク日本版、11月15日配信)

 

ワシントンにある連邦機関「アメリカ平和研究所」

(UNITED STATES INSTITUTE OF PEACE)が

11月13日、98ページの報告書を発表しました。

 

国防総省が1月に発表した国防戦略を

詳細に検討したものとのことですが、

いわく。

 

次の紛争で、米軍は受け入れがたい甚大な人的被害と

多大な経済的損失を被る可能性がある。

中国またはロシアとの戦争では、

簡単に勝てないどころか、負ける可能性すらある。

特に、同時に2つ以上の戦線で戦うことを余儀なくされた場合、

敵の軍事力に圧倒されるリスクが大きい。

元の記事はこちら。

 

中国もロシアも

軍事力の刷新を進めており

アメリカの優位を揺るがそうとしているから

とのことですが、

さらにこんな指摘も。

 

加えて、敵はアメリカ国外で米軍と戦いつつ、

アメリカ本国で破壊工作やサイバー攻撃など

国力を衰弱させる攻撃を行う可能性があり、

それを想定しない戦略立案は

愚かで無責任と言わざるを得ない。

アメリカの軍事的優位はもはや絶対的なものではなく、

その事実がアメリカの国益と安全保障に及ぼす影響は深刻だ。

 

アメリカの統合参謀本部議長

ジョセフ・ダンフォードも

11月、講演でこう述べたそうです。

 

(中国やロシアとの)競争が必ずしも紛争になるわけではない。

しかしアメリカの軍事的プレゼンスに挑戦し、

世界のあらゆる領域で米軍に挑戦し得る

2つの国が現れた事実は無視できない。

 

今回のG20で

トランプはプーチンとの会談をキャンセルしましたが

あるいはこれも

中国を抑え込もうとするとき

同時にロシアと渡り合うのは得策でない

と判断したからかも知れません。

 

何にせよ、

そう遠くない将来

アメリカが中国を抑え込めなくなる可能性は

決して少なくないのです。

 

さあ、わが日本はどうするか?

 

戦後日本型平和主義にこだわったまま

アメリカの現地妻でありつづけた場合

「中国を抑え込んでやるから」としぼり取られたあげく

抑え込めなくなったときに捨てられ

シャレにならない顛末が待っているのではないでしょうか。

 

それどころか、

抑え込めなくなった中国とアメリカが手を組んで

日本をいっそうしぼり取ることだって考えられます。

ロシアがその話に乗ってきたりしたら、もはや目も当てられない。

 

「ついでに、もう手遅れかも知れないぞ」(※)個人の見解です。

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平和主義はやはり貧困への道!

これが本日の結論でありました。

 

「ね、この本は真理でしょう」(※)お姉さまの発言です。

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ではでは♬(^_^)♬