熊本を震源地とする地震が
まだ続いています。
4月14日、
震度7の地震が起きたと聞いたときも驚きましたが
(なにせ7以上の震度はありませんので)
気象庁によれば、
その地震は「前震」にすぎず、
4月16日に起きたマグニチュード7.3の地震が本震だったとか。
ちなみに16日の地震、
阪神大震災クラスのものだったそうです。
しかも今後1週間のうちに
最大震度6程度の地震が発生する恐れがあるとか。
このような連続発生は
観測史上、例のないことだそうです。
犠牲となられた方々のご冥福を祈るとともに
被災されたみなさまに
心よりお見舞い申し上げます。
また生き埋めになったり、
閉じ込められたりした方が少なからずおられる様子。
無事に救出されることを祈念いたします。
5年前、東日本大震災が発生したとき
今後、日本列島周辺では地震活動が活発化する
といった趣旨の指摘がなされましたが
やはりその通りだったと思わざるをえません。
国際情勢のみならず
災害対策という点でも
わが国の安全保障をめぐる環境は
厳しさを増しているのです。
いよいよもって国土強靱化の必要性が痛感されますが
強靱化論の提唱者である藤井聡さんは
くしくも昨日発売された「表現者」66号に
「『国土強靱化基本法』の適用を真面目に考える」
という論考を発表しました。
じつはこの論考、
「国土強靭化基本法が適切に運用されない、という危機的事態」
について考察したもの。
そこでまず挙げられているのは
強靱化の歩みが遅ければ、
十分な強靱化が果たされる「前」に危機的事象が生じ、
そして、
取り返しのつかない「深刻な事態」が生じてしまう
という危険性です。
つまりは緊縮財政志向のせいで
強靱化の方針があるにもかかわらず
巨大災害への対応に失敗してしまうわけですね。
藤井さんいわく。
強靱化を優先するのか
財政規律を優先するのかという問題は、
究極的には
「災害で被る被害と財政危機で被る被害のいずれが大きいのか」
という問題に帰着する。
裏を返せば現在、わが国政府は
「天災によって国家それ自体が滅び去ることよりも、
借金が増えることの方が怖い」
と言わんばかりの姿勢を見せていることになるのです。
いかんせん、これは本末転倒ではないでしょうか?
新日本経済新聞に書いた
「国家の店じまい」ではありませんが、
下手をすれば
日本は巨大災害に襲われた地域から
順番に疲弊・消滅してゆくということにだってなりかねません。
そのうえで首都直下地震が来たらどうするのでしょうか?
今回の熊本地震によって
財政規律優先の姿勢が改められ
強靱化を可能なかぎり迅速に推進するという方針が
揺るぎなく確立されることを切望します。
10 comments
博史 says:
4月 17, 2016
>>今回の熊本地震によって
財政規律優先の姿勢が改められ
強靱化を可能なかぎり迅速に推進するという方針が
揺るぎなく確立されることを切望します。
残念ながら、その可能性は限りなく低いと思います。 阪神大震災、東日本大震災、いずれも起きた直後は
復旧や復興のために尽くそう という空気が流れましたが、時が経つと
阪神大震災後⇒橋本政権による構造改革(消費増税含む)
東日本大震災後⇒電力自由化、反原発運動 復興増税
など、トンチンカンな方向に行ってしまいましたからねえ。
中野さんの言葉をお借りしますが、過去2回の大震災で「真っ当な方向」に進まなかった我が国が、
今回の地震を機に真っ当な方向に舵を切れる可能性などゼロに近いのではありませんか。
むしろ、”これを機にTPPだ””これを機に水道民営化だ””これを機に移民だ”などという
ショックドクトリンを警戒する必要が生じると思います。
ホワホ says:
4月 17, 2016
大災害や大事件にアフィンしている例はあっても
典型的な例なんか無いですからね
観測史上も何も当たり前かなと
だからこっちが被害に応じてどうするのかを
整理整備するのが大事なんですが
「ここには電灯が当ってるからここに鍵は無いけどここ探す」
この形式がこんなところにも染み出してるってことなんですかね
反孫・フォード says:
4月 17, 2016
熊本隣接圏の揺れでも怖くて怖くて眠れませんでした。
AKIRA3巻のTOKIO崩壊緻密描写をまた見ていました。
金田達は崩壊したTOKIOの地下鉄をバイクで走るのです。
詰まらないコメント、すみません。
カインズ says:
4月 17, 2016
表現者拝読しました。
他国の属国になる、強靱化の遅れにより日本が破滅する。そういった非常事態を非常事態だと認識できないことが、日本の問題なのだなぁと感じさせられました。このような状態では、国土強靭化基本法が作られても「仏作って魂入れず」になってしまうのもむべなるかなと思ってしまいます。東日本大震災でも目覚めなかった日本人が、此度の震災で覚醒するというのも望み薄です。
震災を無駄な公共事業の言い訳にしてはいけません。九州の復興のためにも、グローバル化を推進して外資を呼び込みましょう。そういった方向に進んでしまう気がしてなりません。
mash says:
4月 17, 2016
まさしく藤井先生や佐藤さんの言う通りだと思いますが
阪神淡路大震災や東日本大震災後の後でちょっとそういう事は盛り上がるんですが
ちょっと時間が経つと風化されて結局財政問題があるからでなあなあで終わってるのが
今までだと思います。この問題にちゃんと向き合ってちゃんと対応するかそれとも財政問題があるからって
ショックドクトリンな対応になるかは属国化するかどうかの境目だと思います。
Guy Fawkes says:
4月 17, 2016
既に同じ事述べられた方々がいらっしゃるのですが、20年前の阪神・淡路大震災といい、5年前の東日本大震災といい
この後にいつも待ち受けているのが「〜なくしては我々の存在はありえない!」とする改革…即ち、ショックドクトリン。
何故この様な既定路線を走り続けなければならないのかといえば、
3年前に佐藤先生が上梓した「震災ゴジラ!」でお書きになった通りですね。
我々は戦後はおろか、明治維新以降の近現代に於いて主体性に対してあまりにも無頓着であった。
かといって、全否定とまではいかずとも今更近代にまで遡って考え直す事ができない。
かくして、敗戦は永続し、私たちは戦後史を知ることができない。
この地震も「第○次敗戦」 のパラダイムに組み込まれてしまうのでしょうか…
SATOKENJI says:
4月 17, 2016
上記コメント、語句を一ヶ所変更しました。
マゼラン星人二代目 says:
4月 17, 2016
確かに痛ましい事件です。
しかし、正直申しあげて、今回の地震には世界観の更新を迫るような
インパクトはなかった。
あと、インフラの更新話もいいが、全国五十四箇所の地表にへばりつ
いている原子力地雷はどうするんでしょうか。
係数がゼロなら乗ずる数をいくら盛ったところで積はゼロにしか
なりようがない。
そのことだけは覚えておいてください。
何はともあれ、これ以上の核のオウンゴールはまっぴら。
話はそれからです。
せい says:
4月 19, 2016
中野剛志さん「僕はバカだから、脱原発なんぞはしないっ!」といって締めくくった、あの動画を思いだしました。
正確なニュアンスを伝える文章を書く自信がないので、痛快だったとだけ。
SATOKENJI says:
4月 19, 2016
「利口なヤツはたんと強靱化をめざすがいい。オレたちはバカだから、強靱化なんぞはしないっ!」
こうならないことを祈りましょう。