私が好きな作家の一人に

アメリカのハーラン・エリスンという人がいます。

昨年、84歳で亡くなりましたが、

SF、ホラー、ファンタジーを中心に

多数の素晴らしい短編を書いた人。

 

エリスンさんが私にくれたメッセージ入りサインです。

 

しかるにエリスンさん、

ナポレオンばりに眠らないことで有名でした。

何せ青春時代(1950年代)には

昼間は働き、

夜は学校に通い、

毎月出るSF雑誌をすべて読みふけり、

分厚い同人誌を編集し、

創作に精を出しながら

なお食事と睡眠を取っていた

という逸話があるくらい。

 

作家として成功したあと、

1981年のインタビューでも

こうコメントしています。

 

睡眠時間は平均3時間くらいだ。

2、3日、ぶっ続けで机に向かったあとでも

6時間くらい眠れば充分さ。

そして、また仕事をする。

睡眠時間6時間、というのは取りすぎで

2〜3時間のほうが調子がいいようだ。

 

いや、カッコよく思えたものです。

 

しかしエリスンさん、

このインタビューが出たころから

体調が悪くなってゆき、

慢性疲労症候群に悩まされることになる。

1990年代以後は心臓発作にも襲われました。

 

そのため若き日の精力的な活躍ぶりとは対照的に、

中年になってからは活動がめっきり低調に。

50歳以後の34年間に刊行した新しい作品集は

ANGRY CANDY (1988)

MIND FIELDS (1993)

SLIPPAGE (1997)

CAN AND CANTANKEROUS (2015)

の4冊しかないはず。

 

いわゆる「睡眠負債」

(日々の睡眠不足が借金のように積み重なり、

心身に悪影響を与えること)が

長年たまっていたのではないでしょうか。

 

若い頃、もう少し寝ていたほうが

円熟期の活動が充実し、

作家としても幸せだったのではないか?

 

今となっては、そう思うわけなのです。

 

さて。

 

わが日本は

じつは睡眠不足大国などと呼ばれます。

OECDが2011年に行った

就業者(15歳〜64歳)の睡眠時間調査を見ると

日本の平均値は男性7時間41分、女性7時間36分。

最下位なんですね。

関連記事こちら。

 

単純に足して2で割れば7時間39分です。

 

ところが同じOECDが

2014年に公表したデータでは

日本の就業者全体の睡眠時間は7時間36分。

2018年になると7時間22分です。

だんだん短くなっているのですよ!

関連記事こちら。

 

ちなみに2018年における

OECD加盟国全体の平均睡眠時間は8時間25分。

日本は1時間以上短いのです。

関連記事こちら。

 

さすがは

24時間戦えますか

とか

24時間働けますか

と、CMが謳った国だけのことはある。

 

ちなみにどちらも栄養ドリンク「リゲイン」のCMです。

前者が1988年〜1992年、

後者が2007年。

関連記事はこちら。

 

ただし睡眠不足に良いことはありません。

先に引用した記事のひとつにいわく。

 

経済と睡眠時間の関係では、

睡眠時間が短いほど経済的な悪影響が出る。

睡眠時間を週平均1時間増やせば、

短期的には1.1%、

長期的には5%ほどの生産性アップが見込まれるという研究もある。

 

おっと、これは本当か?

 

もしそうなら

働く人々が余裕で眠れるようになるだけで

デフレ脱却が達成されるかも知れないではありませんか。

 

ただしこれは、積極財政などしなくてよいことを意味しません。

秋田大学医学部教授の三島和夫さん

(睡眠医学の第一人者なのだそうです)は

わが国の働く世代が睡眠不足になる理由を

こう指摘しています。

 

1)働きすぎ。

2)通勤時間の長さ。

3)スマホ使用時間の長さ。

 

いわく。

(働きすぎについて)

日本人の労働時間は、年間では減少傾向にあるものの、

平日1日あたりの労働時間は増えています。

土日に休む分、残業時間が多く、

米国やフランスの約3倍という報告もあります。

しかも、長時間労働で睡眠時間が削られ、

結果的に生産性が低くなるという皮肉な状況になっています

 

(通勤時間について)

通勤時間と睡眠時間の関係を分析すると、

平日は、通勤時間が長い都市部の人ほど

睡眠時間が短いことがわかります。

都市部で働く人の多くは、

通勤ラッシュと睡眠不足ストレスが重なるわけで、

疲れるのも無理はありません。

 

(スマホについて)

東京都が睡眠不足の人に原因をリサーチしたところ、

過半数が「スマホとパソコン」を挙げています。

(注:寝る時間が短くなるだけでなく)

寝る1~2時間前までSNSやメールなど

ネット上でのコミュニケーションをすれば

感情が揺さぶられ覚醒度が高まり、眠りの質が低下します。

元の記事こちら。

 

働きすぎについては

いわゆる「働き方改革」で

多少は改善されるかも知れません。

 

ただし残業が規制されて収入が減った分、

ストレスで眠れなくなる人や

副業をやりだす人が増えたら元も子もありません。

労働時間が短縮されても

貧困化に苦しめられないだけの

報酬を出さねばならないのです。

 

また通勤時間については

交通インフラや都市インフラの整備が不可欠。

ひいては都市部、

わけても東京への一極集中を解消する必要があります。

 

スマホの使いすぎだけは

各人の心がけで改善できるかも知れませんが

なんと、

人々がぐっすり眠れるようになるためにも

政府は積極財政によって経済を牽引しつつ、

インフラ整備と地方振興をめざさなければならないのですよ!

 

してみると

政府の財政出動に厳しい制約を加えたがる

戦後日本型の平和主義は

貧困への道であるばかりか

睡眠不足の道でもあるんですな。

 

「ちょっと、睡眠不足はお肌の大敵よ!」(※)お姉さまのお言葉です。

COVER+OBI

うなずいたアナタはこちらをクリック!

 アニメから sayaさんの熱唱まで、豪華絢爛たるプロモーション動画はこちら!

 

春眠暁を覚えずと言いますが

日本再生への道は

国民が快眠を心がけ

政府も国民がよく眠れる環境を整える

ことの中にあるのかも知れません。

 

十分な睡眠は生産性向上への道なんですからね。

そして生産性が上がれば

人手不足の問題も解消に向かい、

外国人労働力(つまり移民)を入れる必要も薄れる。

いろいろ展望が見えてくるではありませんか!

 

ちなみに総務省統計局

(おい、信用できるんだろうな!)が

2016年に発表したデータによれば

全国の都道府県で

10歳以上の睡眠時間が長いのは

1位 秋田県(8時間2分)

2位 青森県(7時間59分)

3位 山形県(7時間56分)

とのこと。

東北優位ですね。

 

逆にワースト3は

1位 埼玉県(7時間31分)

2位 千葉県(7時間32分)

3位 神奈川県(7時間33分)

東京に通勤する人が多いのではないでしょうか。

 

ちなみに全国平均は7時間40分。

OECDのデータより長めなのは

調査対象の年齢が少しずれているためでしょう。

元の記事はこちら。

 

つづいて起床時間が早いのは

1位 岩手県(6時17分)

2位 青森県(6時18分)

   静岡県(同)

 

逆に遅いのは

1位 京都府(6時52分)

2位 東京都(6時47分)

3位 大阪府(6時46分)

となっています。

 

全国平均は6時32分。

おいおい、「おはよう寺ちゃん」に間に合わないじゃないか!

ちゃんと早起きしてくれよ!!

 

まあ、起きられなくても radiko のタイムフリーで聴く手があるけどね。

 

ならば就寝時間はどうか。

夜更かしのトップ3はこちら。

1位 京都府(11時34分)

2位 東京都(11時32分)

   大阪府(同)

 

早寝のトップ3こちら。

1位 秋田県(10時33分)

2位 青森県(10時38分)

3位 岩手県(10時43分)

 

全国平均は11時12分とのことですが

東北って睡眠に関するかぎり健康的ですね。

 

ついでに睡眠不足(=5時間未満)の人が

多い都道府県となると・・・

 

男性

1位 徳島県(26.2%)

2位 沖縄県(26.2%)

3位 島根県(23.9%)

(※)徳島と沖縄が同率1位のようですが、

小数点第二位以下が省略されているとのことなので

わずかに違っているのでしょう。以下同じ。

 

女性

1位 山梨県(19.7%)

2位 佐賀県(18.9%)

3位 沖縄県(18.7%)

 

逆に少ない都道府県は

男性

1位 宮城県(14.1%)

2位 新潟県(17.3%)

3位 三重県(17.3%)

 

女性

1位 岐阜県(11.5%)

2位 愛知県(11.8%)

3位 島根県(12.3%)

元の記事こちら。

 

沖縄が男女双方で上位に入っているのが目立ちます。

ちなみに男性のトップ3の県は

そろって趣味に割く時間が多いという特徴があるのだとか。

働く時間が短ければいいというものでもないのかも知れません。

1位の徳島と3位の島根は動画視聴の時間も長いそうです。

 

他方、女性1位の山梨と2位の佐賀には

勤務時間が長い

スマホやSNSに費やす時間が長い

という特徴があるらしい。

 

なお良い睡眠とは

睡眠時間もさることながら

身体を休ませる浅い眠りの「レム睡眠」と

脳を休ませる深い眠りの「ノンレム睡眠」とが

そろって正しく働いたかどうかが大きいそうですよ。

 

よく寝て頭がスッキリしたら、読むべき4冊はこちら!

61Ti7IO9EOL

 ご注文はこちらをクリック。

 

『対論 「炎上」日本のメカニズム』帯付き書影

紙版のご注文はこちら!

電子版のご注文はこちら!

 

51kPYzkfkfL._SX338_BO1,204,203,200_

紙版のご注文はこちら!

電子版のご注文ははこちら

 

フランス革命の省察

紙版のご注文はこちら!

電子版のご注文はこちら!

 

ではでは♬(^_^)♬