チャンネル桜の新春生放送スペシャル
「キャスター討論 転換期の日本〜私達はどう生きる?」
いかがでしたか。
(↓)収録後、みなで乾杯しているところです。
今回の討論のハイライトは
やはり sayaさんの
「人を好きになるのは難しい」発言。
いいですか、
好きになっても、結婚となるとためらってしまう
とか
結婚したとしても、仕事のことを考えると子供をつくるのはちょっと
と言ったのではないのですぞ。
ずばり、人を好きになるのは難しいと来たのです。
ついでに佐波優子さんが、あんがい理解を示している様子。
逆に葛城奈海さんは驚いていたようですが、
ご存じのとおり、水島社長は熱血漢。
「だから日本の少子化は止まらないんだ!」といきり立ちました。
というわけで
桜の討論としては珍しく
女性陣にスポットが当たる展開となりましたが
ひとつここで
この討論を100倍面白く見る方法をお教えしましょう。
いかに saya さんの発言にインパクトがあったとしても、
どうしてパネリスト(とくに年長の男性陣)が
あそこまで、あの言葉にこだわったかを
ちと考えてみていただきたい。
いいですか、
討論のテーマはこれだったのですぞ。
転換期の日本〜私達はどう生きる?
つまりは現在の日本が抱える問題と
それに対処する日本人の姿勢を
問うはずだったのです。
しかるに「人を好きになるのは難しい」にこだわるあまり
討論はどんどん、本来のテーマからズレていった。
それはまあ、
国や社会のあり方に
保守主義的な立場から関心を持っているはずの
sayaさんのような女性まで
人を好きになるのは難しいと来たら
この民族に未来はあるのか?
という気になるのかも知れない。
しかしですな、
非婚と少子化によって衰亡の道をたどるまでもなく
現在のわが国は、ヤバい問題を多々抱えているのであります。
緊縮財政と増税(=デフレの継続、ないし悪化)で与野党が足並みをそろえていること。
北朝鮮危機をはじめとする安全保障の問題が、対米従属を深める恐れが強いこと。
憲法改正によって、ただでさえデタラメな現行憲法がいっそうデタラメになりそうなこと。
種子法廃止によって、食糧安全保障がますます脅かされること。
中国の覇権志向に、とてもじゃないが対抗できそうにないこと。
サイバー攻撃にたいする備えが出来ていないこと。
与党が経世済民について結果を出せず、かといって野党にはスキャンダル追及しかできないこと。
これらの点は、私や葛城さん、佐波さんによって、きっちり提起されました。
にもかかわらず、「人を好きになるのは難しい」にばかり、
こだわった理由いずこにありや?!
理解のカギは
2018年は保守派を含めた戦後日本にとっての「年貢の納め時」になるだろう
という点にあります。
「年貢の納め時」とは、この場合
今までのウソ、
詭弁、
ごまかし、
および自己欺瞞が
いかなる顛末にたどりつくか、言い訳の余地なくシビアに問われる時
を意味する。
そして保守派と呼ばれる人々(の大半)も
遺憾ながら上記の諸点と無縁とは言いがたい。
戦後レジームとやらは、めでたく崩壊するかも知れないが
そのときは保守派も道連れだ。
ついでに戦後レジームは
崩壊することで完成するという、究極の復活劇を見せるかも知れないぞ!
要はそういうこと。
そして水島社長は、二度にわたって
この状況分析に全面的に同意すると表明しました。
つまりは保守派もまた崩壊寸前だと認めたのであります。
W (^_^)W\(^O^)/だから日本は宇宙のジョーク、あっソレ\(^O^)/W(^_^)W
この認識から出発して
現在の日本が抱える問題と
それに対処する日本人の姿勢を
3時間にわたってシビアに話し合ったら
すさまじくも圧倒的な討論になったと思いますよ。
とはいえ、ンなことをやらかしたら大変です。
正月早々、自分の首を絞めるようなもの。
いきなり年貢の納め時になってしまうではありませんか。
しかるに、ここで100万ドル級の質問が待っています。
いよいよ年貢の納め時が来るとブルーになっている者にとって
一番、腹の立つことは何でしょう?
決まっているでしょうに。
年貢を納めずにすませようとする者の存在です。
そして sayaさんの発言は
保守派の女性であろうと、結婚や出産は気が進まない
(=世代の再生産に関与するつもりになれない)
と、ストレートに認めるものだった。
なかなか人を好きになれないわけですからね。
年貢の納め時だというのに、年貢を納めずにすませようとしている!
討論の流れが、ひたすら彼女の言葉にこだわるものになったのも
無理からぬ話と言わねばなりません。
・・・賢明なことで知られるわがブログ読者には
説明の必要もないでしょうが、
これはもちろん
不都合な真実を突きつけられたら
それについては(渋々)認めつつも、「より本質的な真実」を別に持ち出すことで、
不都合な真実の重要性を否定する
という、認知的不協和のメカニズムそのもの。
だからこそ
積極財政の必要性を説きつつ、出産や育児については「自助努力」論で片づけたがる
とか
「社会が悪い、政治が悪い」とか言い訳するなと述べつつ、
現総理の振る舞いについては「アメリカが悪い、財務省が悪い」と言い訳する
といった
楽しいパラドックスが生じるのです。
・・・すなわちあの討論では
今や保守派にとっても年貢の納め時が来たと認めつつ
その認識から何とか逃れようとする
という、集団レベルの認知的不協和が生じていたのですよ。
ひらたく言えば
saya さんをダシにして
「私達はどう生きる?」というテーマを
直面せずにすませようとする空気が生まれた次第。
けれども、このメカニズムを踏まえると
番組はじつに面白くなる。
不協和がどう発生し、
どう広まっていったか、
この点に注意しながら話の流れを追う。
これぞ、新春キャスター討論を100倍楽しむ方法なのであります!
ついでにここらへんの本を参照すると
いっそう楽しくなりますよ。
ではでは♬(^_^)♬
(↓)討論の美女トリオでありました。
11 comments
豆腐メンタル says:
1月 5, 2018
新年明けましておめでとうございます。
本年も何卒よろしくお願いいたします。
>年貢の納め時だというのに、年貢を納めずにすませようとしている!
そうやって足掻いている内に経路から抜け出せなくなるのですね。
以下もその現れでしょうか。
朝日新聞の社説に元旦からニヒルな気分にさせてもらいました。
上っ張り保守論説と呼ぶに相応しい、トンマな社会扇動不動産会社です。
https://www.asahi.com/articles/DA3S13297256.html?ref=editorial_backnumber
さて。戦後保守の側はどうでしょう。。
佐波さんの、トイレ掃除中に結婚したくなった話はとても女性的で興味深かったです。ナショナリズムと女がリンクする年貢の納め時!
男はどうなのでしょう。最近は平和っぽいですが、命を賭した年貢を納め続けてきました。少なくとも酒に強くなる。笑
全編を通じて、防災対策で挙げられる『自助・共助・公助』という言葉が思い起こされました。
考察的という意味で中性であり、また年齢も中間ということで、先生がハブになり健全な環境が実現しました。
それにしても今回の”桜”、ともすればお正月の挨拶の延長で終わりそうな?と覚悟していましたが。。ガチ討論で年貢を収める可能性があったとは。そんなことなどつゆ知らず楽しんでしまいました。泣笑
あと、なんとなく避けてきた「君の名は」の放送を観た私。
やはり。というのが率直な感想です。セカイ系っス。和製インセプション?
幾重にも閉じているというか…其処此処で閉じているというか…ともかく、閉じられすぎている世界に私としては共感しかねます。
物語に感動しないというのではなく、なんでもアリやないかというツッコミに近い違和感を拭えません。当然、身体性は絶望的なんじゃないでしょうか(したり顔)
村上春樹に通じると、東ナントカさんも言及していたようですね。
村上さんが苦手な私であります。
shun says:
1月 5, 2018
佐藤先生
あけましておめでとうございます。
本年も宜しくお願い致しますm(_ _)m
まだ番組見れてないので、書き込みやめようかと思いましたが
とりあえずご挨拶だけしたく・・(笑)
sayaさんがそんなことおっしゃられたのですね・・。
でも気持ち分からないでもないですね。
戦後日本の辿ってきた道が「人を好きになれない(厭世感?)」という言葉に
集約しているのかなという気がなんとなくしました。
でも年始から暗い話にはしたくないですね(笑)
やはり自分も他の皆も希望を持って生きてほしいです。
また番組見させてもらいます!
今年も佐藤先生のますますのご活躍をお祈りしております。
saya says:
1月 6, 2018
佐藤先生 先日はお世話になりました。
先日の討論をこのような形で総括して下さって、大変感謝しています。
私自身は自分を含めた同世代の一部が感じている
恋愛がなかなかしづらいという状況を気軽に発言したつもりだったので、
3時間もの討論の大枠がこの発言で決定してしまった事に戸惑うばかりでした。
正直、公共インフラの民営化など他に話し合うべきポイントはたくさんあったと思うので
こんな発言しなきゃ良かった、、と自己嫌悪に陥ってしまった次第です(涙)
しかしながら先生の指摘はやはりその通りだと思います。
過剰に反応するのはやはりそうであってほしくない現実に直面してるからなのかもしれません。
今日から佐藤先生も寄稿されている 三橋先生の新 経世済民新聞に参加させて
頂く事になりました。
団塊世代を始め、先輩方への崇敬の念を抱きつつ、
私の世代なりの想いも伝えていけたらと思っていますので
よろしくお願い申し上げます‼︎
半ライス大盛 says:
1月 6, 2018
番組見ました!
保守と言われる方々の女性観がよく表れていたように思いました。
なんとなく、保守と言われる人は、チ○ポコをブンブン振り回すような
威勢の良さを表すようですね。
西部先生の、女を守れない日本の男は、戦後、女性に見限られたんだ
と言われた言葉を思い出しました。
SATOKENJI says:
1月 7, 2018
明らかな入力ミスを一字削除しました。
通りすがり says:
1月 7, 2018
興味深い番組をありがとうございました!
佐藤さんの使われている「年貢」という表現が独特だなあと思いました。
文明化が進んだ現代にあって、子供を産み、育てることは「年貢」である、というのはハッとさせられました。
そんな少子化についての話題に関心が集まることは集まりましたが、
それについての解決策が、年配方のものと若者からのものでかなり異なっていて、
現実に行われている政策もそれとかなり異なっているということも分かりました。
年配方からは1に自分たちはもっと貧しかったから若者も飢えればよい、2に精子の数が少ない、
そして3は恋愛しないなんて考えられないとのことでした。
若者サイドのsayaさんからは「自主防衛」でした。
そして現実の政策は高等教育無償化です。
年配の方々は「少子化なのは問題だ、けしからん」と言いながら、政策としては幼児や育児の方に向かわず高等教育の方に向かっています。
それは恐らく、年配の方々が若いときに実現されなかった「夢」を今自分達で達成しようとしているからではないでしょうか。
そして、政策が幼児や育児の方に向かわないのは、昔、年配の方々が、育児をあまり受けなかったからでしょう(兄弟同士で面倒を見合うなど)。
政治というのは現在と未来に向けての活動であるはずですが、過去の自分達の「夢」を叶えようとしているのは、
時代錯誤というよりは過去遡り願望と言うべきなのでしょうか。
年配の方々としては若者が頑張っているのを見るのが好きなのでしょうが、
頑張ったら報われるようなレールを敷くもしくは法律を作るのは、年配の方々の仕事であるはずでしょう。
頑張ったら報われるどころか叩かれるような社会においては、そうした根性も出てこないのではないでしょうか。
では、なぜどのようなレールや法律を作ったりしないのかと考えます。
すると、自由が大事だから政府は経済に介入することなかれという自由経済論も1つにはあるでしょう。
そしてもう1つ、女を守れない男が日本の女に見限られたんだというのが、結構符合するように思うのです。
各々が各々を見限っているような社会が出来つつあるのではないでしょうか。
レギーム作 says:
1月 7, 2018
遅ればせながら、あけましておめでとうございます。
デケイドごとに悪くなっているとのことなので、
あけるのが本当にめでたいのかどうかはアレですが(;^_^A
番組を見ました。
sayaさんの件の発言から、多々のヤバい問題に発展出来たのではないでしょうか。
むしろ、「年貢の納め時」に解決してると思うのですがね。
そこから世代間の話になってるのがおかしくて、今の現実の話にいけよ!って。
ところで、「呂律が回ってない」の語源は雅楽の転調ミスから来ているらしいのですが、
言いえて妙で、あの「逸らし(故意の転調ミス?)」は酔っていたいというか、
(次の言葉は個人的にあまり好きではないが)お花畑にいたいことの表れというか・・・。
ラジオで佐藤さんが身体を動かされていると聞き、よかったです。
本年もよろしくお願いします。
玉田泰 says:
1月 11, 2018
うーん、この記事を読んで、どうしても番組を観る気になれません。
キャスターの方々の欺瞞の様子を見るのは苦痛な気がします。
先生のおっしゃる視点で観ると楽しめるのでしょうか?
SATOKENJI says:
1月 11, 2018
>先生のおっしゃる視点で観ると楽しめるのでしょうか?
次の記事
「保守派もあまり多くの現実に耐えることはできない、または認知的不協和の楽しみ方」
に寄せられた、福岡ワマツさんのコメントをどうぞ。
玉田泰 says:
1月 17, 2018
福岡ワマツさんのコメント、そしてそれに対する先生の返答、sayaさんの一連の発言を読んで、動画を観る気になりました。
結果、100倍楽しく観ることが出来ました。
彼らには全く絶望が足りないですね。他人にはいきり立てても、事、自分の問題にはコソコソ逃げ回る。
「肝の据わらない保守」正に宇宙のジョークですw
桜視聴者 says:
1月 12, 2018
【sayaの問題提起に関して】
子供の教育を学校に任せずに、義務教育期間でも無理に学校に行かせずとも、もっと自由に「塾」、「旅行」、「スポーツ観戦」、「芸能観賞」等に行けるような風潮を作れば、親も子供の育てがいが出てくると思う。現状でもそれは不可能ではないが、不登校に似た扱いをされるか、親が変人扱いされてしまう。 自分の子に自分の夢・理想をもっと託せる教育風土ができれば、子作りも楽しくなると、思った。