明日、4月1日をもって
平成最後の月が始まります。
ついでに明日の11:30ごろには
新しい元号が発表されることに。
これがエイプリルフールだったらスゴいのですが
さすがにそれはないでしょう。
ちなみにツイッターなどSNSでは
元号発表=改元と早とちりした人々により
「平成最後の日」という書き込みが相次いだ模様。
改元は5月1日なので
平成最後の日は4月30日、
ちょうど一ヶ月先です。
お間違えないよう。
元号発表を担当する菅義偉官房長官は本日、
ラジオ番組で以下のように発言。
いよいよその日が来た。緊張感でいっぱいだ。
新しい時代にふさわしい元号を選びたい。
(新元号が)広く国民に受け入れられ、
日本人の生活に深く根ざすものになるよう期待する。
官房長官、
衆参同日選の可能性についても
解散権は安倍晋三首相の専権事項なので、
ないと100%はいえない。99%(ない)とはいえるかもしれない
と発言していますが、
これはつまり「50%はある」と解すべきでしょう。
総理の専権事項である以上、
官房長官だって、結局どうなるかは分からないはず。
となれば、やるかやらないかの二者択一ですから
確率は50%となります。
ついでに2019年という特定の年の国政選挙は
後にも先にも1回限り。
統計学では
1回限りの出来事について
発生する確率を想定するとすれば
何であれ50%となるはずなのです。
1回限りである以上、頻度に基づいて確率を計算することができませんので。
それはともかく。
今回の改元、
いろいろ盛り上がっているようです。
プリンスホテルは全国7ヶ所で
新元号カウントダウンウェディングを容易。
グランドプリンスホテル高輪の場合、
5月1日0:00に式を始め、
リムジンで東京をドライブして
シャンパンで乾杯するのだとか。
お笑い芸人のプリマ旦那さんは
改元にあわせて芸名を変えるとのこと。
当然、新元号を使うそうです。
ただし官房長官の希望通り
(新元号が)広く国民に受け入れられ、
日本人の生活に深く根ざすものになるかどうかについては
ちょっと気がかりな点もある。
サイバーエージェント次世代生活研究所長の
原田曜平さんは
改元をめぐる盛り上がりをこう分析します。
1)インターネット時代で興味や価値観が多様化した現在、
元号は数少ない「共通の話題」となっているため。
2)若い世代は元号を使う機会が激減しており、
ゆえに元号への敬意が薄れているため。
東洋大学研究助手の鈴木洋仁(ひろひと)さんも
日本人が元号になじみがなくなったことが最大の要因です
と述べました。
要するに敬意もなじみもないから
いじっても平気になったということですな。
「元号まで爽快になるんじゃないでしょうね」(※)お姉さまのお言葉です。
アニメから sayaさんの熱唱まで、豪華絢爛たるプロモーション動画はこちら!
もっとも鈴木さんによれば
若い世代はなじみがないぶん
元号をスタイリッシュでクールなものとして再発見している
とのことですから
悪いことばかりとは言えませんが。
とはいえ、もっと気になるのは
改元による情報システムへの影響。
これについては経産省の商務情報政策局も
「改元に伴う情報システム改修等への対応について」
という文書を発表しています。
経産省は2月の後半から
全国10箇所で説明会を実施しているようですが
前回の改元(昭和⇒平成:1989年)時と比較すると、
現在の情報システムは、規模 や構成が大きく異なるため、
前回改元時の対応とは異なる対応が求められる。
と明言。
今やシステム間連携(システム間のデータのやりとり)が
広範囲化、多様化、複雑化しているため
ただシステムを改修するだけでなく
テストによる確認が不可欠とのことです。
で、民間事業者などに提示しているポイントは以下の通り。
1)情報システムで和暦を使っているかどうか確認する。
2)対応が必要かどうかチェックする。
3)改修の作業計画を立てる。
4)改修後のテスト計画を立てる。
5)改修が間に合わなかった場合の対応を考える。
ただし文書の末尾には、こう書いてあります。
改元日以降、皆さまの情報システムの改修が間に合わないなどの場合でも、
国民の皆さまから行政機関等に対 して
ご提出いただく文書・データ等については、
「平成」表記のままでも有効なものとして受付予定。
してみると経産省、
システム改修が間に合わない事例が多々出てくることを想定しているのでは?
ならば実際の対応はどうなっているのか。
ITメディアニュースの記事によれば
平成以後に構築されたシステムであれば、
元号、消費税、うるう秒など、
将来的に変更や対応が求められる事案を考慮してあるのが普通だ
とのこと。
ならば心配なさそうなものですが、
その後にこう来るんですね。
改元を考慮したシステムであっても、
機能の追加や改良といった「後付け」により、
テストしてみないとどこに問題点が潜んでいるか分からないケースもあるという。
ちなみにマイクロソフトは1月、
新元号に対応したアップデートを適用しましたが
各地でエクセル2010が強制終了するという不具合が生じたそうです。
地方行政機関などでは
自治体向けパッケージシステムを使っているところが多いので
ベンダー企業(ITのソフトやサービスを提供する会社)が対応してくれるはずであり
大きな問題は起きないだろうとのことですが
マイクロソフトの例を見れば、これだってどんなものでしょう。
ついでに中堅企業などでは
パッケージシステムをカスタマイズしているところも多いのですぞ。
はたせるかな、
産経新聞は30日付けでこんな記事を。
銀行業界ではシステム改修などの対応が急がれているほか、
業務上の負担が大きくなる新システム稼働を延期するなどの動きが相次ぐ。
鉄道業界では和暦から西暦への切り替えも進む。
ただ、対応に未着手の企業も2割に上っており、
政府は今後、情報提供を強化するとともに早期の対応を呼びかける。
九州FG(ファイナンシャルグループ)の肥後銀行は
新しい基幹系システムの稼働を5月から7月に延期。
みずほFGも傘下銀行の出入金や口座管理を担う
「勘定系システム」のアップグレードを7月に設定。
ふくおかFG傘下の親和銀行と十八銀行は
2010年4月に予定していた合併を半年延期するそうです。
しかるにこれだけ影響が大きければ
和暦をやめて西暦にしようとする動きが出てきて当然。
どうぞ。
JR東日本は29年12月から30年3月にかけて
自社の券売機について順次、西暦表示を導入。
JR各社の「みどりの窓口」など指定券の予約・発券システムも
昨年10月1日に西暦表示に切り替わった。
西暦採用に踏み切った背景には、
前回の改元時にシステム改修が間に合わず、
JR職員が切符の日付をはんこで変更するなどの手作業で乗り切った経緯がある。
さらに和暦になじみのない訪日外国人旅行者が多くなった実情も踏まえ、
「サービス向上のため西暦に変更した」(JR東日本広報)という。
4月1日には改正入管法も施行されますから
旅行者のみならず、
定住する外国人(要するに移民)も増えること確実。
となると現在は和暦表記が主流の銀行だって
今後、西暦に移行してゆく可能性は無視できません。
つまり今回の改元をきっかけに
和暦はむしろ衰退しかねないのです。
さらに産経の記事には
「対応に未着手の企業も2割」とありますが
じつはこれ、
自社のシステムで和暦が使われているかどうかを
まだ確認していないありさま。
経産省が提起した5つのポイントのうち
(1)すらクリアーしていないのです。
ちなみに和暦使用を確認した企業でも
14%は改元に応じた対応が必要かどうか
まだ判断していません。
つまり(2)をクリアーしていないんですな。
改元対応も宇宙のジョーク、なんてことになるんじゃないだろうな。
そしてダメ押しというべきか、
改元が行われるのは10連休のさなか。
予想外のシステム障害が発生し、
新しい御代がのっけからトラブルに見舞われる・・・
なんてことにならないよう祈るばかりですね。
ところで。
日本で元号が使われるようになったのは
646年の大化の改新がきっかけです。
今年は2019年ですから
元号が使われてきた期間は1373年間。
しかるにその1373年間で
用いられた元号は全247個!
つまり元号の平均持続期間は5.59年(小数点第三位を四捨五入)。
言い換えればわが国では
平均して5年7ヶ月弱に1回、元号が変わったのであります。
改元ってそんなにすごいことなのか?!
元号が切り替わる前に、読むべき4冊はこちら!
ではでは♬(^_^)♬
4 comments
アトロ says:
4月 1, 2019
多様的でグローバルな現代社会に通用するように、英語読みでも通じる名称にするとか。
流石に元号でこんな遊びしないか。
tanza says:
4月 1, 2019
>統計学では
1回限りの出来事について
発生する確率を想定するとすれば
何であれ50%となるはずなのです。
1回限りである以上、頻度に基づいて確率を計算することができませんので。
ベイズ統計学では、主観確率を認めている。
その意味では、佐藤さんの主観確率が50%ということでもある。
ダイ says:
4月 1, 2019
明治以降の一世一元化への改革と更に長寿化も相俟って元号も比較的長く使用出来るように
1373年の内152年、実に約11%は明治以降で荒稼ぎ
これが明治以降を省くと平均5.02年と更に急ピッチ、崩御は勿論厄災や吉事等を境目に頻繁に改元が繰り返されておりました故に心機一転のスローガンと言っても過言じゃない歴史がある
改元てそんなに凄いことなのか!?!?
しかも現代日本はグローバル化一直線、和暦なんてガラパゴスかつ手間が掛かる物よりスタンダードな
西暦統一の議論が起きるのは当然!
寧ろ和暦が邪魔でしょうがない!
なのに改元ってそんなに凄いことなのか!?!?!?
その様な流れに抵抗は出来ず次第に馴染みが無くなる可能性がある・・
むしろこれが最後のお祭り騒ぎになるやも知れない・・・
と考えたら、それに立ち会っている事は凄いかもしれない。
令和産まれの子供たちが「和暦ってなーに?」なんてならない様に自称保守の人達には頑張って頂きたい
ヤン・ウェンリー命 says:
4月 2, 2019
明日朝7時のブログに書いておりますが、元号まで爽快になったようです。
令和の令とは、万葉集で令月のことだそうですが、他にも命令的な意味以外で使われるのは、令名、令色だそうです。
では令名は「名声を得る」、令色は令色巧言、つまり人の顔を伺いうことなのだそうで。
こうなれば令月だって、天が人に良い顔をしてくれる月、と解釈してもおかしくありません。
実際に令月は陰暦で2月下旬~4月初旬の春の訪れ、なのだそうです。
とすれば令和はどのような意味か? 「外部から仲良しだと評価されること」ないし「人の顔色をうかがい、和すること」と解釈できます。
そもそも和とは精神性(内)であり、外部を意味する令と合わせるのはいかがなものか? と思うのです。
自分の娘は令嬢とはいいませんし……。
元号までダブルバインド! という次第です。行き着く先は? 認知不協和に決まっておりまして、まさしく「元号まで爽快©おねーさん」なのです。
P.S
明日のブログもほぼ同様の意味の記事ですが、書いていて吐きそう(本当)になりました(笑)