まったくの偶然ではありますが
私はかの宮沢賢治さんと
生年月日がきっかり70年違い。
生年ではありませんよ。
生年月日です。
で、宮沢賢治さんは1896年8月27日生まれ。
要するに、本日は私の誕生日だったりするわけです。
というわけで、次の一年もよろしく!
本日も新著『平和主義は貧困への道 または対米従属の爽快な末路』の
仕上げ作業に没頭していますが
エキサイティングな仕事をしつつ誕生日を迎えられるというのは
なかなかに幸せなことと思っています。
マジで刺激的ですからね、この本は。
ここ数年出してきた
『戦後脱却で、日本は「右傾化」して属国化する』(2016)
『右の売国、左の亡国』(2017)
『対論「炎上」日本のメカニズム』(2017)
の内容を踏まえたうえで
さらに先まで行けたというか、
向こう側へと突き抜けた感じがしています。
そして何度も予告しているとおり、装幀が凄い。
もうすぐ印刷に入りますが
最後の最後まで
関係者全員が熱中して頑張っております。
ついでに約400ページあるのに
本体2000円という
じつにお得な価格なんですよ。
なにせ200ページ前後で
1500円が当たり前の昨今ですからね。
乞うご期待!!
さて。
平成はもとより、
2010年代にも終わりが見えつつありますが
何かについて実感されるのが
中野剛志さんの名言。
つまりこれです。
今年は来年より良い年になるでしょう。
だって、そうでしょうに。
2019年は消費税が10%に上がるのですぞ。
2020年五輪までは
どうにかこうにか持たせたとしても
その後、ドカンと冷え込む恐れは濃厚。
ついでに外国人の急速な増加により
わが国の民族的単一性が高かった時代も
最終的かつ不可逆的に終わりそうな気がします。
つまり日本は貧困化に歯止めがかからぬまま
従来の「日本」でもなくなるという話。
と思ったら、
こんな記事が話題になっていました。
とんかつ屋の悲劇~行列ができる人気店がなぜ廃業するのか
安くてうまいと定評があり、
開店前から行列のできるような
都内の人気とんかつ店が
次々と廃業しているというのです。
それはなぜか?
じつは「安くてうまい」にウラがあるのですよ。
つまり・・・
それを可能にしているのは、
すでに減価償却の終わった古い設備、
ローンを払い終えた自社店舗、
そして年金をもらいながら夫婦で切り盛りしていることなどだ。
こうした経営を続けてきた場合、
いよいよ世代交代の時期になると
若い現役世代にはとても生活をしていけるだけの
収入を得ることができない。
と言って、急に大幅な値上げをするのは無理。
また、そこまで利益率が悪いと
買収する価値もあまりない。
で、廃業に追い込まれるというわけです。
これが外食産業で言うところの「とんかつ屋の悲劇」。
記事の筆者、中村智彦さんによれば、
これは決して、とんかつ屋だけの現象ではなく、
商店や製造業でも
類似の事例が多々見られるとのこと。
高齢化による人口減少が進むおり、
2020年代には
外食店や商店、中小企業の廃業ラッシュとなるのではないか
という話です。
外食店の数は2014年現在で、
1984年の約7割にまで減少、
1976年と同水準に戻ったということですからね。
経産省と中小企業庁も2017年9月、
今後10年間で
中小企業245万社の経営者が70歳を超えるが、
後継経営者の決まっていない会社が半数あまり(127万社!!)に及ぶため、
このままだと廃業が急増、
2025年ごろまでに
650万人分の雇用と
22兆円のGDPが失われるかも知れない
というレポートを公表。
「落ちるかどうかじゃないんだ、どこまで落ちるかなんだ」(※)個人の感想です。
中小企業の廃業件数は、
すでに倒産の2〜3倍に及ぶとのこと。
しかもその中には
黒字経営のものも少なからずあるというんですから
何ともさびしい話です。
で、さすがに政府も対策に乗り出した。
経営を次世代に引き継がせる
「事業承継」が起こりやすくなるよう、
相続税・贈与税を猶予したり、
M&A(合併・買収)の促進といった支援に乗り出しているとのこと。
とはいえ後継経営者の決まっていない中小企業は127万社!
すべてがM&Aの対象になるわけではないでしょうが、
かりに1/4としたって30万社以上。
デフレ不況が続く中、
これだけの数の会社の合併・買収が
国内の資本だけで、
しかも10年で達成できるわけがない。
すると、どうなるか?
こうなるのです。
中国人富豪たちの仰天告白「間もなく日本で中小企業を爆買いします」
(現代ビジネス、8/22配信)
三洋電機の白物家電事業、
東芝の白物家電やテレビ事業、
NECや富士通のパソコン事業、
レナウン、シャープ、タカタなど
少なからぬ日本の大企業は
すでに中国をはじめとするアジア企業によって
買収されるか、資本面で傘下に置かれています。
しかしこれからは
医療、環境、消費分やで
優れた製品や技術を持ち、
ブランド力のある中小企業にも
買収が広がってゆくだろうとのこと。
2017年の2月には
中国の投資ファンドによって
300億円規模の買収ファンドが
日本で設立されたとのこと。
記事いわく。
(中国系ファンドは)老舗企業に狙いを絞ってくるだろう。
創業100年を超える老舗企業は日本に約3万3000社もある。
その半数は従業員10人未満の小さな会社だ。
後継者のいない老舗企業も数多く、廃業は年間400件を超えている。
老舗企業は、それだけでブランドという貴重な企業価値を持っている。
製造業でいえば、類稀な技術と技能を持ちあわせている。
非製造業でいえば、長年培われた技能や伝統が持ち味である。
中国を中心とした外資系企業が、
後継者不在の中小企業に対する有力な買い手となるのは間違いない。
中小企業の場合、
M&Aに必要な資金が少ないこともあって
中国人富裕層ならポケットマネーでも対応できるのだとか。
言い替えれば2020年代、
少なからぬ日本人は
勤務先が廃業でなくなるか、
あるいは中国人に買収されるか
という二者択一に直面する可能性が高いのであります。
このところ、保守界隈の一部では
貿易問題をめぐる米中対立の深まりを受けてか
習近平は落ち目だ!
中国も終わりだ!
などという声が聞こえてきますが
はたして、そんなことを言っている場合なのでありましょうか。
それはまあ、
2020年代の日本は
落ちるかどうかではなく、どこまで落ちるか
という感じになりそうですから、
とにかく中国没落論で憂さ晴らしでもしないことには
とてもやっていられない
ということなのかも知れませんが。
「それはクライテリオンではなく、暗いインテリ論というのでは・・・」(※)個人の感想です。
8月21日の記事
「北方領土問題は着実に進展しています。ただしロシアの都合に合わせて。」
で紹介したアニメ映画
『イノセンス』の劇中歌ではありませんが
生ける世に
我(あ)が身悲しも
夢は消ぬ
怨恨みて散る
というのが、
2010年代の日本の終着点かも知れませんよ・・・
けれども、そういう状況にたいして
なお立ち向かう方法がないわけではない。
これについては
『平和主義は貧困への道 または対米従属の爽快な末路』の
終章で論じています。
重ねて、乞うご期待!!
sayaさんも読むと言っていました。
そして、刊行までに読んでおくべきはこの4冊!
12 comments
momo says:
8月 27, 2018
中国没落論には賛成なんですけどねえ。
問題は中国が没落するまでに日本が存在しているかだと思うんですよ。
なまじっか保守の皆さんは他者を攻撃している時は正論というか、冷静で的確な分析ができるからタチが悪いです。
ホワホ says:
8月 28, 2018
と、このようにそもそも合法的かつ正当的に侵略できるので
中国は謀略なんかする必要が無いんですね
私が多くの中国謀略論を否定する理由の一つです。
ガードしてない相手にガードをかいくぐる技術なんか要りません
SATOKENJI says:
8月 28, 2018
>そもそも合法的かつ正当的に侵略できる
それどころか、経産省や中小企業庁はM&Aを進めたいわけですからね。
昭和初期の日本では、
「支那には5億の民が(日本が来て解放されるのを)待つ」
というスローガンがありましたが、
今度は中国で
「日本には130万の中小企業が(中国資本で存続するのを)待つ」
なんてスローガンが出てきたりして・・・
クワイ says:
8月 28, 2018
貧困化に歯止めがかからぬまま従来の「日本」でもなくなる・・
うう・・悲しい。日本はどんどん落ちていく・・絶望しかない・・
いつかの佐藤先生の言葉「日本は案外しぶとい。落ちていくが(故に)、日本は失われない」(うろ覚え)
この言葉を聞いたとき私は少し安心しました。しかしこの「日本」が失われないが故に「日本」が落ち続けると考えてもいいような気がしてきました。
日本的であること=全面的に良いこと、とでも言うようなお花畑保守に嫌気がさしていた今日この頃でしたが、佐藤先生の存在を知ることができて救われた気分です笑 大ファンになりました。
私はまだ佐藤先生の著作を読んだことがないのです。入門書として良いものを教えていただけると嬉しいです。
SATOKENJI says:
8月 28, 2018
新作『平和主義は貧困への道、または対米従属の爽快な末路』をお勧めします。
ただし9月15日発売(Amazonの表示が一日早まりました)ですので、
それまでは『僕たちは戦後史を知らない』か、
『新訳 フランス革命の省察』でウォーミングアップされるといいでしょう。
拓三 says:
8月 28, 2018
最近「ジャップ.com」が誉め言葉に聞こえてしまう今日この頃で御座います。
ジャップには日本人と言う意味が含まれていますが…..
この国の人達はいったい何人なのでしょう ?
どこを基準に世界情勢を考えているのでしょう ?
保守 ? 何を ?
も、も、もしや、ホシュの皆様はアングロサクソンに憧れて…..w
まっ、アングロサクソンなら遠に自主独立を果たしているやろうけどネw
レギーム作 says:
8月 28, 2018
「凄いのにお得」にもなにかウラが?なーんてね。
ありがたいこってす。
SATOKENJI says:
8月 28, 2018
これについては、編集者の情熱と、みなさんからの支持以外、何らウラはありません。
クワイ says:
8月 29, 2018
ありがとうございます。
新作は必ず買います。久しぶりに紙版にしようかな。
バークはいつか読まなきゃと思っていたので、読んでみたいと思います。
いや、返信嬉しいので手にはいるもの全部読ませて頂きます。
ヤン・ウェンリー命 says:
8月 30, 2018
ウォーミングアップにまず一冊、ということでフランス革命の省察を買って一読。
ええ、無茶苦茶面白かったです。一気に読んでしまいましたよ。
という感想は感想として、記事への感想ですが・・・
せっかくデフレを生き残ってきたら、最後は中国ファンドに買い取られるとか冗談じゃねーっ!ってなもんです。
私も自営業を14年(社会人のときにはデフレでした(笑))しておりますので、どうも他人事とは思えずです。
さて、いろいろと末期的症状の日本においてどう立ち向かうのか・・・考えておりますけどもあまり良い考えも浮かばずです。
9月16日を超楽しみにしております。
SATOKENJI says:
8月 30, 2018
ありがとうございます。
Amazonの商品ページでは、発売日が9月15日に前倒しとなりました。
ただしこの日も土曜日ですので、配本自体は14日(金)に行われる模様です。
よろしくお願いします。
玉田泰 says:
9月 24, 2018
遅くなりましたが、お誕生日おめでとうございます。
しかし、息をするのがやっとの業界に
「新陳代謝しろ」と言うのも酷な話ですが、
そのように日本は表舞台から姿を消すのでしょうか?