2月に刊行される新著
『右の売国、左の亡国 2020年、日本は世界の中心で消滅する』は、
目下、仕上げ作業がほぼ終わったところ。
店頭に並ぶのは
2月24日〜25日くらいになるとのことです。
くしくも前作
『戦後脱却で、日本は「右傾化」して属国化する』の刊行から
ちょうど一年ですね。
両者を読み比べていただくと
この一年の変化が
いろいろな意味で実感されると思います。
それはさておき。
先月、社説で日本外交を
「冷静かつ常に用意周到」と大絶賛したことで知られる朝鮮日報に、
今度はこんなコラムが出ました。
ヾ(℃゜)々\(◎o◎)/韓国はみんな狂っている、まともではない\(◎o◎)/(゜ロ)ギョェ
(※)顔文字は原文にはありません。念のため。
まともではないと言っても
日韓合意や少女像をめぐる話ではありませんよ。
朴槿恵大統領のスキャンダル、
いわゆる「崔順実ゲート」が表面化していらい、
政治が混乱して収拾不能になっていることを評した言葉です。
何でも国民がブチキレて
見境なしに炎上する状態に陥ったばかりか
最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)前代表はじめ、
次期大統領に名乗りを上げた人々が
そろって無責任な人気取り政策ばかり掲げているのだとか。
いわく。
今、韓国は国が理性を失いつつあると感じる。
大統領になるという指導者らは、権力欲に目がくらんでいる。
政治家は扇動し、大衆は集団狂気を噴出させている。
理性が行方をくらまし、
憤怒と感情、アブノーマルがのさばる国になった。
全てが滅びようとしているかのようだ。
問題は、国全体が非正常に慣れ、
あまりにも無感覚になっている点だ。
無責任な公約が守られるだろうと信じる人もいない。
むしろ、自虐的・扇情的であるほど、大衆の人気も高まる。
大衆は近視眼的な利己主義に走り、政治家は迎合する。
誰も冷静に国の未来を考えない。
国は「他殺」されないという。
これは、外敵が来る前に、内部の矛盾のせいで自滅するという意味だ。
古今東西、人類史において国が「自殺」する原因は共通している。
利己主義とポピュリズムだ。
大衆が目前の利益に駆られ、支配エリートが迎合するとき、国は衰亡する。
韓国は今、そんな状態にある。
・・・なんと言うか、
帰国中の長嶺安政・駐韓日本大使には
このまましばらく東京にとどまっていただきましょうか
と反応するしかないのですが、
私が注目したいのは最後に引用したセクション。
この主張は1975年、
グループ1984年を名乗る学者たちが「文藝春秋」に発表した
「日本の自殺」という論考と
ハッキリ言って瓜二つなのです。
「日本の自殺」は1976年、PHPから単行本として刊行。
1984年には同社より文庫化されました。
現在も文春新書から出ていますが、
これは単行本(および文庫版)の前半部分のみを収録した短縮版です。
あいかわらず韓国は周回遅れで日本を追っているのか?
という感じですが、
じつは「日本の自殺」こそ
自由主義的な改革(=社会全体のアメリカ化)を推進しなければ日本の繁栄は維持できない
という路線のさきがけとなった本。
実際、グループ1984年のメンバーは
消費税導入を最初に構想した大平政権や、
国鉄や電電公社の民営化を断行した中曽根政権のブレーンとなりましたからね。
そして自由主義的な改革の絶対視が
構造改革とグローバル化という形で、
1990年代後半以後に見られるわが国の低迷を引き起こしたことは
みなさん、ご存じの通り。
ひょっとしてわが国も、
1970年代に理性を失った状態に陥り、
そこから立ち直るつもりで
さらなる衰亡にいたる道へと踏み出してしまったのではないのか?
裏を返せば、
現在の日本に見られる閉塞的な状況の根源は
40年前までさかのぼることができるのではないか?
・・・お気づきの方もいらっしゃるでしょうが
これは『僕たちは戦後史を知らない』から
私が一貫して提示している戦後史観です。
やはり、人の振り見て我が振り直せですね。
ちなみに『右の売国、左の亡国』はもとより、
藤井聡さんと進めている「炎上」テーマの新書でも
この点をさらに掘り下げますので
ぜひご覧下さい。
また『僕たちは戦後史を知らない』では、
文春新書版『日本の自殺』が
なぜ原著の前半しか収録していない短縮版になったのか
という点についても分析しました。
こう言っては何ですが、
ページ数の問題では全然ないのですよ。
詳しくは同書の280ページをどうぞ!
ではでは♬(^_^)♬
7 comments
フルート says:
2月 2, 2017
朝鮮日報のコラムの、
「今、韓国は国が理性を失いつつあると感じる。大統領になるという指導者らは、権力欲に目がくらんでいる。政治家は扇動し、大衆は集団狂気を噴出させている。理性が行方をくらまし、憤怒と感情、アブノーマルがのさばる国になった。全てが滅びようとしているかのようだ。」
は、正確には、「今、韓国(人?の記者であるわたし)は、国(「他殺」されることはないが「自殺」することはある)が理性を失いつつあると感じている。またこのことは、全てが滅びようとしているかのようにも感じられることなのである」という意味の文章でもあると思うのですが、(飽くまで読みようによってはの話しになっちゃうかもしれないんですけど)なんか<理性によって創られ、理性によって発展してきた国、それが韓国>みたいな前提の存在を考えてしまえる文章のようにも私には見えました。(そんなに理性的な国だったかな…っていう..。)
でもこの記者のコラムのタイトルは、『韓国はみんな狂っている、まともではない』で、これを『(自分を除く、あるいは本当のところ実は“自分も含めた”)韓国(人?、あるいは韓国という国の仕組み?)はみんな狂っている、まともではない』と読み直しちゃえば、ある種のこの記者の非理性性(コラムの終盤に出てくる「自虐的・扇情的」な?)が明らかになるというか、言い過ぎなところがあるように思えてくるのですが、でもどんなに少なくても今までの記事やコラムで、一回もフォールスメモリーの疑いのあるようなことを書いたことは無い!ようにはちょっと見えない(私からは)朝鮮日報のことなので、逆に自分も含めた多くの人が少なからず狂っている、くらいに構えられた方が、(構えられたなら、)この記者の想定しているところの「非理性」や「近視眼的利己主義」の悪化が弱まるという側面もあり得るかもしれないとも思えました。
ベッラ says:
2月 2, 2017
発売が待ちきれません。書店に並ぶ日が待ち遠しい。
実は2月1日も書店に行って「もしかしたらあるかもしれない」なんて・・・お笑いになると思いますが。
それ程待ち焦がれる本なのです。
日本のことを思うといてもたってもいられない一日千秋の思いで発売を待ちます。
SATOKENJI says:
2月 3, 2017
ありがとうございます。
目下、印刷がはじまっている模様です。
ソウルメイト says:
2月 8, 2017
佐藤さんのごしては、痛いくらい的を射ていると思います。日本人は賢いところも勇敢なところも誠実で真面目なところもあるけれど、度し難く愚かてなところもある、そこのところを痛烈に自覚しないかぎり滅び似至る道を歩み続けるしなかないのだろうと思います。このまま行けば、滅びることは、必至でしょうね。
玉田泰 says:
2月 12, 2017
「今、韓国は国が理性を失いつつある」元々そういう国ではないでしょうか?韓国はグローバリズムの行き着く果てとして「悪い見本」としなければならない国ですしね。大体が、ムキになるような相手でしょうか?いちゃもんをつけてきても正論で論破すればいいだけの話では?例え国交断絶しても困るのは韓国だし。
それとも日本が「韓国化」しつつあるということですか?
SATOKENJI says:
2月 12, 2017
日本も1970年代半ばに理性を失いかけたのではないか。
そして1970年代末に理性を取り戻したときには、
理性がどこか歪んでしまったのではないか。
という話です。
詳細は『右の売国、左の亡国 2020年、日本は世界の中心で消滅する』をどうぞ。
玉田泰 says:
2月 14, 2017
そんなコメントをされると、ただでさえ首を長くして待っている先生の新著、待ちきれないではありませんか!今もアマゾンを開いて未発送なのを確認してしまいましたw
それにしても、僕がテキトーのなコメントをすると、必ず先生に指摘されます。やはり先生の眼力は大したものだと恐れ入ります。その前にそんなコメントを残すなという話ですがw
先生の著作に出会ってからもう一年近くになるのでしょうか。「戦後脱却で、日本は『右傾化』して属国化する」を読んだ時の衝撃は未だに忘れられません。時代の空気を先取りする能力をお持ちなのでしょうね。政治からサブカルチャーまであまりに多くの見識をお持ちなのも原動力になっているのでしょうか?
先生は多くの良き読者をお持ちですね。僕も後ろの方で懸命に附いていきたいと思います。
ではでは。