昨日の記事

「保守派の行動原理は困難を避けて逃げ回ることのように見受けられる」

では、

とかく自分たちが天下国家を動かすかのごとき

大言壮語を並べたがる日本の保守派(の大半。以下同じ)が

じつは困難に立ち向かう勇気などなく、

現実主義の名のもと

安易な近道を探したり、

あれこれ小細工を弄することを

一貫した行動原理にしているのではないかと指摘しました。

 

なにせ

日本人として安倍政権に物申す!

などと意気込んでおきながら

戦後日本の抱える経路依存性を考慮しないまま物申したところで

提言に実効性はないし、だいいち相手にされないぞ

と言われたくらいで

感情が制御できなくなり

「じゃあ、どうするの?」と叫び出すくらいですので。

 

ちなみに感情が制御できなくなったまま

物を考えるのは不可能ですので

この段階で当然、思考停止にも陥ることになります。

 

くだんの言動が

いかなる総崩れ的な顛末を迎えたかは

すでに繰り返し書きましたし、

直接、動画で確認することもできますので

ここでは繰り返しません。

 

つくづく、見応えのある討論だなあ。

 

ちなみにこの動画のコメント欄には

さらに以下のコメントが追加されました。

 

佐藤氏が言う「経路依存性」は重要概念。

ちゃんと現実と対応し説明してるように見える。

 

および

 

佐藤健志氏の指摘する

【経路依存性(Path dependence)】という解説は非常にわかりやすく、

親中左翼も、親米右翼も「経路依存性」の罠にはまって

そこから抜け出せないでいることに気づくことが

現状変更の出発点になると思います。

そのことに気づかずして

真に日本の取るべき道を示すことは不可能であろう。

 

言い替えれば保守派は

1)現実に対応できない。

2)現実を説明できない。

3)真に日本の取るべき道を示すことはできない。

と、こうなってしまいます。

 

そして。

 

佐藤氏の発言を聞き著述を読むたびに

いつもその凄さを痛感せずにはいられない。

水島社長の態度は、正直にいうと見苦しい。

「じゃあどうする」を訊くのはいいが、

無駄に感情的な訊き方をするようにみえる。

見苦しく残念だ。

中野剛志氏や佐藤氏のように、

的確に安倍政権の実態を認識し論評して見せる人物のいうことを、

どこかけむたがる癖が水島社長にはあるのではないか?

であるならば、安倍政権に「物申す」などというタイトルそれ自体が無意味になるが。

 

完膚なきまでに言われましたな。

 

(>_<)(×_×)ああ、致命的な絶望不足(×_×)(>_<)

 

けれども世の中、

困難に立ち向かう勇気を持った人々も存在します。

経路依存性と聞いただけで頭の中が真っ白になり

「知性のめまい」に陥る保守派の体たらくを見て

ならば、そのような状況を突破するにはどうしたらいいか?

と、しっかり考える方々。

 

あ、「知性のめまい」とは

もうすぐ発売される藤井聡さんとの本

『対論「炎上」日本のメカニズム』において

重要な役割を果たす概念です。

 

詳細はそちらを読んでいただくとして、

ここではとりあえず

認知的不協和のもとで思考が歪みまくったあげく

「自分は間違っていても正しい」と思い込むこと

だと考えて下さい。

 

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そのような勇気ある人物を、

ここでは二人、ご紹介しましょう。

 

まずは平松禎史さん。

「日本人として安倍政権に物申す」をご覧になって

ブログで3回も取り上げて下さいました。

 

「日本人として安倍政権に物申す」・困った時の「じゃあ、どうするの?」

「右・左・保守」の経路依存性・人の道をば たどらまし

続:「右・左・保守」の経路依存性・人の道を ばたどらまし

 

論旨を私なりに整理すればこうなります。

1)戦後に経路依存性があることを直視できない論理的帰結として、

保守派は「戦後に自分たちがやってきたこと」からも脱却できない。

ゆえに堂々めぐりに陥るのは必定である。

 

2)この点を突っ込まれると、「じゃあ、どうするの?」と感情的になったあげく、

自分たちは戦前の経路へと戻ろうとしているのだなどと主張するが、

過去70年あまりの経路を無視して、

その前の経路に戻るなどできるはずがない。

ゆえに挫折するのも必定である。

 

3)のみならず戦前の経路そのものが、明治維新までのわが国の経路と断絶している。

ところが保守派はこの点を直視せず、「戦前回帰=日本回帰」と錯覚する。

この時間感覚の脆弱さゆえに、急進主義に陥るのも必定である。

 

4)急進主義に基づいて時の政治に「物申す」試みは

過去の事例を見るかぎり、ロクでもない結果に終わってばかりだった。

 

そして「人の道をばたどらまし」という言葉をもとに

このような結論を提示します。

 

理想的な経路をたどることができれば、それに越したことはない。

だが理想的な経路を(なかなか)たどれないのが人間である。

そして悪い経路をたどったとしても、

それに依存して脱却できなくなるのが人間だ。

だとしてもこの点を自覚して、自分の歩んでいる道を見直すぐらいはすべきではないか。

 

まさに立派な見識です。

実際、左翼思想の本質は

自分たち(だけ)は理想的な経路を歩んでいるはずだ

と妄想崛起するところにあるのですから、

経路依存性と聞いて「じゃあ、どうするの?」と口走るような人物には

謹んで左翼の称号を差し上げねばなりません。

 

そして三橋貴明さん。

「経路依存性とPB(プライマリーバランス)目標というブログ記事で

こう書かれました。

 

先日のチャンネル桜

「【討論】日本人として安倍政権に物申す[桜H29/6/3] 」

を観ていて衝撃を受けたのは、

佐藤健志氏が「保守の定義」をされたときです。

 

『「保守的な改革姿勢」とは何か

(国体の)変革を行う際にも、

「問題のない箇所はそのまま残す」という先達たちの手法を踏襲するのが望ましい。

新しく建築する部分も出てくるだろうが、

元の設計ができるだけ保たれるよう、十分に配慮した方が良い。』

 

これは『フランス革命の省察』の終わりの方に出てくる一節ですが

三橋さんはなぜ衝撃を受けたのか。

 

三橋さん、この発想は保守主義の基本であり、

かつ常識や良識にかなったものだと認めます。

しかし・・・

 

よくよく考えてみると、

今回の骨太の方針2017において、

財政について、

「基礎的財政収支(PB)を2020 年度(平成32 年度)までに黒字化し、

同時に債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指す。」

と、まさに「玉虫色」的な表現になったことは、

むしろ「保守」の思想に沿っているのではないかと考えてしまったのです。

 

まさにおっしゃる通り。

財政規律重視の単年度均衡主義という経路にしたがうかぎり

プライマリーバランスの2020年度黒字化目標を捨てないのは

「保守」なのです。

 

ゆえに三橋さん、こう述べている。

 

わたくしは「保守派」などと名乗ったことはありませんし、

名乗る気もありませんが、

PB目標の破棄は日本においてラディカル(急進的)というのが実情なのでしょう。

その前提に立たなければならないという話です。 

 

これも正論。

ただし問題は

「繁栄を維持するためには、物事を急進的に変えねばならない」という発想こそ

かの構造改革志向をもたらしたことです。

 

じゃあ、どうするの?

・・・なんてことは言いません。

辞書を引くと分かりますが

急進的というのは「ラディカル」の二番目の語義なのです。

では、一番目の語義は何か。

「根本的な、基礎の、本来の」。

 

これで話は見えてきます。

 

経世済民、すなわち国民生活の保守という

経済のラディカルな(=根本的な、基礎の、本来の)目標を達成するには

財政均衡志向の経路を維持するわけにはゆかない。

ゆえにプライマリーバランス黒字化に固執するのは

一見、保守的なようであろうと

ラディカルな(=根本的な、基礎の、本来の)ところでは経世済民に貢献せず、

その意味で保守的行為ではない。

 

逆にプライマリーバランス黒字化目標の破棄は

従来の経路を大きく変えようとするものであろうと

ラディカルな(=根本的な、基礎の、本来の)ところで経世済民に貢献するものであり、

その意味で保守的行為である。

 

すなわち政策転換とは

二つの経路依存性のせめぎあいと解釈すればいいのです。

当然、経世済民に貢献する経路を尊重すべきですが

相手側の経路にも依存性(=保守のメカニズム)が成立していることを無視してかかるようでは

国民生活の保守などおぼつかない。

まして経路依存性と聞いただけでカッとなるありさまでは

まったくの論外として片づけられるのがオチであります。

 

いいですか、

プライマリーバランスの一件など

内閣官房参与の藤井さんがさんざん物申して

まだあのレベルなのですぞ。

 

政権に参加してもいない保守派が

お花畑的な極左革命願望を「世直しの覚悟」と錯覚したあげく

戦後日本の経路依存性を理解しようともしないまま

日本人として物申す! などと格好つけた(つもりになった)ところで

物笑いのタネになるのが関の山。

 

だ・か・ら、

『右の売国、左の亡国』と言うのですよ!!

 

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・・・とまれ、三橋さんの姿勢が

平松さんの表現を借りれば

経世済民の道をばたどらまし

であることは、もはや明らかでしょう。

 

理想的な経路を歩むのは決して容易ではありませんが、

その困難に立ち向かう勇気を持った者だけが

世の中を良くすることに貢献できるのです。

 

ですから、くだんの勇気を欠いた者にはこう言わねばなりません。

物申すなど百年早い、圧倒的に絶望が足りない!!

 

ではでは♬(^_^)♬

 

(↓)近代保守主義の原点である本書の定義にしたがえば、日本の保守派の大半は革命左翼です。

フランス革命の省察

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