今日は11:59より

TOKYO MX 「激論! サンデーCROSS」に出ます。

小林節さん、

望月衣塑子さん、

小池晃さん、

白井聡さんといった

多種多彩な方々と一緒。

ぜひご覧下さい!

 

アニメを中心に活躍する映画監督(※)の押井守さん

スタジオジブリについて、

1995年にこう語ったことがあります。

(※)押井監督は実写作品もつくっているので。

 

(ジブリで仕事しないかと)何度か誘われたことあるけど、

ジブリで仕事するのがイヤだという

最大の理由は管理がきついから(笑)。

 

それにジブリの周りには大した食い物屋がないんです。

僕は食生活が貧しいのは耐えられない。

あの人たち(注:高畑勲、宮崎駿)は食べることに興味ないんですよ。

一事が万事で(、)そういう自分の思想というか

体質をみんなに押しつけちゃうんです。

(キネマ旬報臨時増刊『宮崎駿・高畑勲とスタジオジブリのアニメーションたち』。

文中の「笑」は原文)

 

二十年以上前の話ですので

現在のジブリの周囲に「大した食い物屋がない」かどうかは知りませんが

食べることに興味があるかないかは

たしかに人間のあり方の根幹に関わること。

 

宮崎さんが現在、つくっている映画のタイトルにならえば、

君たちはどう食べるか

あるいは

君たちは何を、どう食べるか

というヤツであります。

 

しかるに。

 

日本が経済超大国から

衰退途上国(Ⓒ東洋経済研究会)へと転落していった平成の30年間を振り返ると

どうもわが国では

国民全体の貧困化にともない

サラリーマンの食生活の貧困化も進んだ模様。

どうぞ。

 

ランチ悲哀の平成30年史 

節約され続けた昼食代、ピークから2割も減…新橋の立ち食いそば屋と振り返る 

(withnews, 3月25日配信)

 

何でも1992年から2017年までの25年間で

サラリーマンの昼食代は2割カットされ、

昼食時間も5分短くなっているのだとか。

 

いわく。

 

オフィスビルが立ち並び、「ランチ激戦区」の新橋。

JR新橋駅前のビルにある立ち食いそば屋「丹波屋」は、

正午前になると、最大8人が入れる店内は、スーツ姿のサラリーマンでいっぱいに。

一番人気は春菊天そば(380円)だ。

 

創業は1984年。

その数年後にバブルが始まり、日本は空前の好景気に沸いた。

店主の上田治平さん(81)は、

「バブルの頃かな? 景気が良かったころは天ぷらを2つ、3つ入れるお客さんが多かった。

でも、いまはほとんどいないね。健康を考える人が増えたことも影響しているのかなあ」

と話す。

元の記事はこちら。

 

ちなみに押井守さんも立ち食いそばの大ファンで、

自作に「月見の銀二」なる

プロの立ち食い屋を登場させたほど。

 

月見そばを立ち食いしたあと

いろいろ店主に文句をつけ

代金を払わずに去ることを生業としているのだそうです。

 

それはともかく、

丹波屋の店主・上田さんによれば

景気の変化が感じられたのは2000年代初頭とのこと。

 

1990年代は千円札をポンと目の前に置き、

おつりの小銭を確認しない人も少なくなかった。

それが2000年以降になると、景気が悪くなりお財布事情が厳しいのか、

きちんと小銭を数えて支払う人が増えたという。

 

日本はバブル崩壊を機に、1990年代後半から物価が下がり続けるデフレが始まった。

物価が下がれば、会社の売り上げは減り、給料が削られる。

人々の財布のひもは固くなり、ますます経済が縮こまるという悪循環に陥っていった。

 

2000年代初頭といえば

小泉内閣によって構造改革がいよいよ本格化したころ。

つまりはデフレ不況+構造改革

サラリーマンの昼食を直撃したのです。

 

僕は食生活が貧しいのは耐えられない。

 

押井さんが知ったら

悲しむこと確実の話ですが

1992年に746円だった昼食代は

その後、右肩下がりをつづけ

2005年(郵政選挙の年だ!)に600円台を割り込む。

 

2010年に507円となってからは

多少持ち直し、

2017年は590円だそうです。

 

おっ、アベノミクスの成果か?

可能性を完全に否定はしませんが、

2008年秋にリーマン・ショックが起きているのを思えば

そちらの影響のほうが大きいでしょうね。

 

だいたい持ち直したといっても

1992年はおろか、

第一次安倍内閣直前の2005年水準すら

まだ回復していないのですぞ。

 

ついでに昼食時間の推移は以下の通り。

1983年 33分

1993年 27.6分

2012年 19.6分

2017年 22分

 

1980年代から着々と短くなっていたんですね。

この5年間は、多少ゆとりが出てきたようにも見えますが

丹波屋の上田さんいわく。

 

(1990年前後は)お店に駆け込んできて、

ワッと食べて5分ぐらいで出て行くお客さんも珍しくなかった。

忙しくて食事をする時間もないって言ってね。

いまはそういう人は少ないね。

 

つまりは不況で仕事が増えないことの影響かも知れません。

上田さんによれば、

かつては1日に2回食べに来る人もいたそうですが

まさしく「24時間戦えますか」を実践していたのでしょう。

 

君たちはどう食べるか。

 

やはりデフレを脱却し、

人々の所得を向上させるほか

昼食を豊かにする方法はないようです。

しかるに、こんな記事が。

 

世界的に見て日本の労働者が低賃金な理由

(プレジデントオンライン、4月19日配信)

 

わが国の平均年間賃金は

昨今の人手不足にもかかわらず

3万9113ドルと、

OECD加盟国でも中の下というところ。

 

第一生命経済研究所の

永濱利廣首席エコノミスト

その原因についてこう述べています。

 

終身雇用、新卒一括採用、年功序列賃金などの慣行のために、

同じ会社で長く勤めることによる恩恵が大きく、

転職しようという誘因が働きにくいのです。

ゼネラリストの育成に熱心なために、スキルの格差も広がりにくい。

結果として労働市場の流動性が低くなり、企業も人材を繋ぎ留めるために高い賃金を出す必要がない。

元の記事はこちら。

 

「格差が広がりにくい」ことが

悪い意味で使われていることに

不吉な予感がしませんか?

 

はたせるかな、永濱さんの処方箋はこうなる。

 

労働市場の流動化を促すために、正社員の解雇規制の緩和が必要です。

業績が悪化しても解雇できないと考えるから企業も賃上げに二の足を踏むわけです。

規制緩和には懸念もありますが、

実際にはブラック企業とレッテルを貼られるリスクがあり、

そう易々と大量解雇に踏み切ることはありえないはずです。

 

ジャジャーン!

 

サラリーマンの賃金を上げる方法、

それは正社員をどんどんクビにできるようにすることだった!!

 

この発言で驚かされるのは

経済を全体として拡大させるべきだという発想がみごとに抜け落ちていること。

だから労働市場を流動化させて

稼げるヤツだけがいっぱい稼げるようにすればそれでいいという結論に

ならざるをえないのです。

 

言っては何ですが、

平均賃金はむしろ落ちるんじゃないですかね?

 

ついでに主席エコノミスト氏、

「そう易々と大量解雇に踏み切ることはありえない」などと言っていますが

これは要するに希望的観測。

 

希望的観測で物事を割り切ろうとすると

いかなる悲惨な運命が待っているかは

昨今の日米関係が示す通りでしょうが。

 

W(^_^)W\(^O^)/エコノミストも宇宙のジョーク、あっソレ\(^O^)/W(^_^)W

 

もはやサラリーマンは

月見の銀二にならって

立ち食いのプロをめざしたほうがいいのではないでしょうか?

 

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ではでは♬(^_^)♬

 

(おまけ)

トークショー楽屋にて。この気迫あふれる saya さんを見よ!

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