先週の金曜、「FRONT JAPAN 桜」をやってきました。
共演は高清水有子さん。
初顔合わせでしたね。
さて。
番組でも紹介しましたが
米朝会談後の状況を理解するうえで
非常に重要な指摘をしてくれたのが
かの平松禎史さん。
いわく。
(米朝)共同声明より無効なのは希望的観測です。
じつはこれ、
10日に私が出演した
「おはよう寺ちゃん 活動中」の内容にたいするコメントなのですが
希望的観測が一番ダメとは
現在の保守派に最も必要な戒めでしょう。
なにせ今回の米朝会談について
保守派は自分に都合のいい解釈ばかり並べ立てたあげく
ことごとくハズした
といっても過言ではない。
思えば消費税8%増税についてもそうだった。
TPP参加についてもそうだった。
というか、
第二次安倍内閣ができていらい、
それ以外の振る舞いを見せたことなんてあるのか?
「過去に学ばない者は過ちを繰り返す」(※)ジョージ・サンタヤナの言葉です。
しかし今回の米朝会談では
希望的観測の鉄人たる保守派も
さすがに追い詰められてきた模様。
さあ、彼らはついに希望的観測を捨てるか?
当然ながら、
これについても希望的観測は禁物。
番組に寄せられたコメントを見ると
希望的観測を捨てるくらいなら、論理的思考を捨ててやる!!
という決意に駆られているとおぼしい方が散見されます。
いくつかご紹介しましょう。
まずはこれ。
佐藤氏の相変わらずの情緒のない論理性に違和感を感じているので、
米朝首脳会談に関してどうせ言うことは決まっていると思って飛ばした。
情緒のない論理性?
論理は情緒がなくて当然です。
「情緒のある論理性」など、私の知るかぎり存在しません。
つまりこれは、
米朝会談について論理的に分析されると耐えられないので耳を塞がずにいられなかった
ということですな。
続いてこれ。
佐藤さんの論調は全くその通りと思いますが、
何か共感できないところがあると思うのは私だけでしょうか。
おいおい。
全くその通りだと思うんだったら
共感できるかどうかなんて関係ないだろうに。
保守派が共感できようができまいが
トランプは金正恩と握手したし
日本政府は移民政策を「移民政策ではない」と言って進めているのだぞ。
つまりはこれも、
分析の正しさは認めざるをえないが感情的に耐えられない、
だから受け入れたくないが、それはいけないのか?
という魂の叫び。
いや、全く問題ありませんよ。
ただし現実には直面できなくなります。
それは自己責任ということで。
とはいえ、最高傑作はこれかな。
ご意見を聞いて思うのは、果たしてそれを草莽の人々が聞いて有意義なのか?ということ。
新聞の記事をどう解釈するかなんて、殆ど無意味に近く、
自国の指導者たる総理大臣を、情報によって信ずるか信じないかという
ミスリードするような発言はよろしくないと思います。
信ずるのに何か理由がいる、と思っていることがそもそも間違いで、
仮にも私たちが選んだに同義である総理大臣を信用するのは理由を問わず当然のことですよね。
例え結果が〝悪いシナリオ〟になったとしても、
恨み言は言わない覚悟でお任せするのが一番ベーターだと考えざるを得ないと思います。
「ベーター」は「ベター」の誤記でしょうが
いや、圧倒的。
これってつまり、
安倍総理を支持するといったん決めたら
どんな不都合な情報にも
目をつぶり耳を塞ぐべきだ。
たとえその結果、国益が毀損されたとしても
総理を批判すべきではない
ということではありませんか。
このような態度を、普通の日本語では「盲信」と言います。
安倍総理が日本をどうにかしてくれるはずだという心情を守りたいあまり
論理的思考の放棄はむろん、
外部の情報まですべて遮断するにいたった次第。
だったらチャンネル桜だって見る価値がないことになるものの
そこには気づかないようです。
ハッキリさせておきますが
政治や国際関係の分析において
論理よりも情緒だの共感だの盲信だのを優先させたら
待ち受けるのは破滅あるのみです。
そして希望的観測にこだわるあまり、
破滅に突き進みたがるような態度を
愛国心の表れとは呼びません。
ここで紹介したいのが
かのブルース・スプリングスティーンの右腕として知られる
スティーブ・ヴァン・ザント。
彼は「リトル・スティーブン」の名でソロ活動もしているのですが
1984年のアルバム「VOICE OF AMERICA」には
「I AM A PATRIOT」(俺は愛国者)という
素晴らしい歌が収録されています。
のちにジャクソン・ブラウンがカバーしていますが、
個人的にはオリジナルのほうがパワフルで好きですね。
しかるに1984年、
この曲をライブ演奏したとき
リトル・スティーブンはイントロでこう語っているのです。
最近、この国じゃヤバいことが起きている。
「新しい愛国心」とか言われているようだが
俺には盲目的な自国優先主義としか見えないね。
そんなものは愛国心じゃない。
良き愛国者であるっていうのは
誰の言葉であれ鵜呑みにせず、自分で考えるってことなんだ。
で、祖国が正しい道を進んでいるか
たえず確かめるのさ。
もちろん、どの党派を支持するかなんてこととは関係ない。
愛国ってのは
党派じゃなくて真実に忠誠を誓うことだ。
政治ってのは
要は自由と人権と民主主義さ。
それに基づく政治が正しい政治なんだ。
俺たちは正しい人間だ、そうだろ?
さあ、一緒に歌ってくれ。
やっぱり、アメリカには到底及ばないねえ。
してみるとわが国の保守派は
希望的観測にすがりつくあまり
北朝鮮が核を放棄するずっと以前に
論理的思考を放棄し、
さらには愛国心まで捨て去るかも知れませんよ・・・
「これが認知的不協和ってヤツですよ!」(※)個人の感想です。
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21 comments
ジャクハイ says:
6月 18, 2018
流石に安倍信者丸出しのコメントでは惨めだと思ったのか多少は取り繕っていますが
要は俺たちの安倍を讃えない佐藤氏の言論が気に食わないということしか感じませんね。
自称保守の皆様方は、あの手この手で何とかアイデンティティを保とうと必死のように見えます。
しかしある意味、彼らが羨ましいと思ってしまう自分がいます。
何も考えず盲信することほど楽なものはありません。それが宗教の力なんでしょうね。
SATOKENJI says:
6月 18, 2018
「オレたちの安倍を讃えないものは気に食わない」とすれば
自称保守は現実そのものが気に食わなくなるはず。
日本の没落は続いていますからね。
しかし、現実は厳然として現実です。
気にくわないからといって、否定するのは無理。
できることは、
〈現実を認知する自分の脳の機能〉
を歪めることだけなのであります。
poti says:
6月 18, 2018
所謂ホシュ派はとっくの昔に発狂していると思っておりましたが。
今は措置入院で精神病院に順次ぶち込んでいくべき段階でしょう。
キチガイ共が遂に暴れだしているようなものです。
poti says:
6月 18, 2018
まぁ、朝鮮半島に関しては。最悪核戦争も覚悟しておりましたので、まぁ一安心。
最低レベルの無能がトップに居座っている事を思えば現状ではベターな結末でございましょう。
え、北朝鮮を利するじゃないかって?
馬鹿言え、お前らの望み通りになったら日本は汚染された瓦礫の山ぞ、という話。
拓三 says:
6月 18, 2018
73年と言う月日は残酷ですね。
根底から己が無い。
己が無い思考、論理は妄想に過ぎず。
その妄想を感性と履き違う…..
妄想、現実逃避、認知不虚和、すべて感性で片付けられる日本社会。
現実を直視しない人間に感性は生まれない。そして解らない。
福岡ワマツ says:
6月 18, 2018
>良き愛国者であるっていうのは
誰の言葉であれ鵜呑みにせず、自分で考えるってことなんだ。
>愛国ってのは
党派じゃなくて真実に忠誠を誓うことだ。
良い言葉ですね。
心に沁みました。
心に刻んでおきます。
豆腐メンタル says:
6月 18, 2018
>「過去に学ばない者は過ちを繰り返す」(※)ジョージ・サンタヤナの言葉です。
過去に学んでみましょうかね..
トゥキュディデスに倣うなら、朝鮮半島は米中という覇権国と新興国の「利益」「名誉」「恐怖」のぶつかり合いの最前線。
ハーバードのグレアムアリソン教授はこれを「台頭する国家は自国の権利を強く意識し、より大きな影響力(利益)と敬意(名誉)を求めるようになる。チャレンジャーに直面した既存の大国は状況を恐れ、不安になり、守りを固める」とまとめています。
日本の難問は、この開戦前夜的時代にこれまでの安全保障戦略が意味をなさないであろうこと。
しかもトランプは反グローバル秩序と反積み上げ式意思決定がお得意なようです。ハシゴ外しはお手の物。
私の浅い観測ですが()北の核を表層にする今の国際問題は、ジャパンハンドラーなんだそうなジョセフ・ナイの「キンドルバーガーの罠」路線だ、というものです。
その罠とは「覇権の凌ぎ合いをするが平和と安定はもたらさない2つの大国がもたらす地域の混沌状態」と要約できるでしょうか。。
ともかく、米朝会談のみを取り出して主体性無くどうこうするだけならば子供でもできると。
tanza says:
6月 18, 2018
わが国の保守派?
具体的には、その論客とは誰のことなんだろう。
中川八洋氏が言うには、保守論客なんか私を除いて絶滅状態だと。
momo says:
6月 18, 2018
>佐藤氏の相変わらずの情緒のない論理性に違和感を感じているので、
>米朝首脳会談に関してどうせ言うことは決まっていると思って飛ばした。
「佐藤は政府を批判するから愛国者ではないので、いつも言う事は決まっている。ゆえに聞く耳を持つ必要はない。」という事でしょう。
佐藤さんは保守派(だけではないが)にとって大事な事を指摘してくれていると思います。
しかし彼らにとっては現実逃避が大事な事なんでしょう。何せ佐藤さんの言論は彼らの精神の拠り所を粉々に破壊してしまうのだから。
逃げたくなる、あるいは逆ギレしたくなる気持ちだけはとてもよく分かります。
縫殿助 says:
6月 18, 2018
初めてコメントさせていただきます。
今回の記事ではしみじみと感じさせられましたが、
>佐藤氏の相変わらずの情緒のない論理性
とか
>佐藤さんの論調は全くその通りと思いますが、何か共感できないところがあると思う
などの心情の吐露というのは、一種呪術的な人間の宿痾で、『安全』と『安心』の世界の話と共通しますね。
『安全』と如何に論ぜられても、”理解”じゃなくて”信じ”られないので、『安心』はしない。安全性の論理的説明に対する”危険ではない”ことの証明をしてみろ、という、よく色んな所で見受けられる『論理』と『情緒』の永遠と続く不協和音と同じものを、わかりやすく見せられた気分です。
こうなっちゃうと、今取りかからなければならない課題にいつまでも取りかかれなくなっちゃうんですよね。
彼らには、映画『イノセンス』より、バトーの台詞を送ります。
ー 幸運が三度姿を現すように、不運もまた三度その兆候を示す。
見たくないから見ない。気付いても言わない。言っても聞かない。そして破局を迎える ー
SATOKENJI says:
6月 18, 2018
「安全」と「安心」ならまだしも、
この場合は「危険だぞ!!」と言われながら
なお安心にしがみつこうとしているわけで・・・
Naitou Kazuki says:
6月 18, 2018
佐藤さんは、桜の自分の動画へのコメントを例として引き出し、いろいろ批判しているが、なぜ、そんなコメントが書かれるようになったのか考えたことがあるのだろうか?結論から言えば、チャンネル桜の水島氏が、それらのコメント書いた視聴者を生み出してきたのだ。安倍総理への妄信、幻想は彼が植え付けたのであり、安倍総理のTPP参加表明から消費税増税の時期、安部総理を批判するコメントを削除し、書いた人をアクセス禁止にしてきたのは彼だ(今もチャンネル桜のコメント欄は操作されている。そのことを佐藤さんは知っているのだろうか?)。当時までは、まともな安倍批判する良質なコメントがたくさん書かれていた。コメント数も現在の比ではなかった。ところが、消費税増税決定以後、それらの良質なコメントを書いていた人たちは自ら去るか追放されてしまった。そして、現在のような気持ち悪い水島氏に媚びるようなコメントばかりが多くなった。批判すべきは、あのようなゴミコメントではなく、水島氏その人、チャンネル桜そのものではないか?良質な=自分の頭で考えることのできる保守派の視聴者はチャンネル桜のコメント欄にはもういない。もう一度言うが、佐藤さん自身が出演しているチャンネル桜=水島氏が、佐藤さんが批判するような意味での保守派を生み出してきた元凶のひとつなのだ。
風街マロン says:
6月 23, 2018
その通りだと思います。
三猿 says:
6月 19, 2018
>>目をつぶり耳を塞ぐべきだ
笑い男ではないが、ついでに口もつぐんでくれたらいいのですがね
おっと原文に目を閉じるはなかったかな
山上 says:
6月 21, 2018
https://twitter.com/wadamasamune/status/1009649430239141893
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31591190Q8A610C1FF8000/
さすがに3時間後に反故にされた事が目に入らないレベルの狂信者というわけではなく
下層の信者どもに自分の載る月刊誌を売ったりする、バカが更なるバカをカモにしてる図じゃないんですかね
それともこの「いくらなんでも」が甘いくらいヤバい連中なんでしょうか
風街マロン says:
6月 23, 2018
ある方のtweetで、「信頼する(trust)」と「信じる(believe)」は違う。国債を「信じて」買う人はいないでしょ。
と書かれていて、納得したことがありました。佐藤先生が紹介している方も「信じる」とは書いているけど「信頼する」とは書いていません。要するに、信頼できないから、信じるしかないってことだと思います。
せい says:
6月 24, 2018
>最高傑作はこれかな
男は黙って、安倍支持していればいいとか
ファンとかなら分かりますが、、
せい says:
6月 24, 2018
最近ツイッターで、こんなのがありました。
「某有名出版社に務めてる知人曰く、新人賞に応募されてくる作品では定年退職したオジ様方もかなり投稿してくるらしいのだけれど、その大半が「うだつの上がらない会社員が仕事で大逆転して一目置かれるようになり、若い新入社員の愛人ができて…」という展開で読んでて辛いことこの上ないという。」
保守の人も、ライトノベルを書く才能があるのかも知れません。
SATOKENJI says:
6月 24, 2018
>うだつの上がらない会社員が仕事で大逆転して一目置かれるようになり、若い新入社員の愛人ができて…
そのあと会社が外資に乗っ取られ、愛人もアメリカ人か中国人の役員のもとに走ったという展開になったら注目します。
Muse says:
6月 30, 2018
>番組に寄せられたコメントを見ると
希望的観測を捨てるくらいなら、論理的思考を捨ててやる!!
まあ、チャンネル桜にコメントする視聴者達の言説、つまり、安倍晋三に対する盲目的信仰に基づいた思考停止人間どもの戯言は別に今に始まったことではありません。というより、現在及び将来に亘って日本社会を滅茶苦茶にしようとする人間の所業をいまだに庇い立てするなど、正気の沙汰ではない。
というか、「絶望が足りない!」などと公言し、それこそ単なるアリバイ作りのための「お茶を濁す」程度の安倍政権の政策批判にとどまり、その実は安倍晋三に対する徹頭徹尾の盲信者が親玉のネットメディアだから、そこに集まる視聴者達のレベルも推して知るべしというところ。
玉田泰 says:
7月 7, 2018
希望的観測と言うより、最早、願望でしょうね。
「信ずるものに何か理由がいる。というのがそもそもの間違いで・・・」
まさに「盲信」ですね。更にいやらしいのは、盲信するためのもっともらしい(と自分が勝手に思う)理屈をでっち上げることです、半ば無意識の内になんでしょうけれど。そんなのは思考と呼びません。